2023年1月21日 (土)

市東さんの所での座り込みに参加して

 市東孝雄さんの天神峰と南台の農地、そして天神峰に隣接する「中庭」などにある離れや作業場、機械置場、やぐら、大看板などを、空港会社NAAは、裁判所の判決を根拠に強奪、破壊しようとしています。それらは成田空港の運用に何の影響もなく、判決の根拠とされた理由は最早ありません。このNAAによる暴挙は、現在の三里塚闘争の柱ともいうべき市東孝雄さんの存在を抹殺しようとする、ただそのことを目的とした許し難いものです。

 私は、この攻撃が開始された昨年の11月24日以来、昨年すでに2度にわたって4日ずつ市東さんの離れ325745454_1232409740700352_7148038322368 に泊まり込み、現地での座り込み行動に参加し、今年に入ってこの1月16日から19日、3度目の座り込みに参加しました。現場では、全学連の若い学生さんたちを中心に、現地支援連党派が24時間態勢の座り込みで、NAAのこの悪辣な企みを阻止し続けています。325830387_785269569819283_87627646648404

 現場の正面、数百メートルの所に建つ機動隊官舎の屋上からは、24時間態勢でこの行動への監視が行われ、機動隊による突入のすきを虎視眈々と狙っています。見えやすくするために昨年末には、その間にあった林を伐採、撤去し、今また、機動隊官舎の反対側で連日の工事が行われているのも、突入のために空港の中から機動隊を導入するためのものと思われます。事態は非常に緊迫しています。

 この市東さんへの攻撃は、岸田政権による沖縄南西諸島のミサイル基地化を軸とした戦争準備に対応したものです。成田空港の軍事使用のために、「軍事空港粉砕」を掲げた三里塚闘争の解体を直接的に目指したものです。56年間にわたって、日本の軍事大国化を基本のところで阻止し続けてきた三里塚闘争が、彼らにとって目障りであり、許せないものとなっているからです。

 言葉を換えれば、この国の戦争への道を阻止し、反動化を極める岸田政権打倒への道筋を、三里塚闘争の勝利こそが指し示しているのです。現場は、天神峰の畑が県道に面し、非常に守りにくい構造になっています。現状の10人ていどの座り込み、監視の行動では不十分なことは明らかです。戦争への道を阻止する基軸的な「市東さんの農地を守る」この闘いのために、多くの皆さんが、長期にわたって現地に結集され、市東さんの農地などを守る闘いへの結集を訴えます。

 私自身、1月25日から4度目になりますが、現地に入ります。皆さん。市東さんのところに行こう!

                           (松原康彦 記)

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2022年12月15日 (木)

市東さんの農地を守ろう! 現地決戦に参加して

 9月の新ヤグラ裁判での東京高裁による反動判決を受けて、空港会社NAAは、10月18日、争われた市東さんの天神峰にある離れ、作業場などの物件に対する強制撤去の申し立てを行った。この強制撤去には、すでに農地法裁判で結論が出ていた天神峰の農地や離れのある地所、さらには南台農地の一部の強制収用が含まれることになると思われる。11月24日、千葉地裁は、このNAAの申し立てを認める授権決定を強行し、空港会社が「今後、強制的手段を取らない」と謝罪とともにした「約束」など「どこ吹く風」の攻撃が始まった。

 三里塚反対同盟は、11月13日、緊急現地闘争を闘ってこの攻撃への態勢を整えた。11月24日の千葉地裁の授権決定を受けて、怒りとともに市東さん宅入り口(「団結街道」入り口)で24時間体制の座り込みを行い、この攻撃に反撃することを決定し、闘いを全国に訴えた。

 9月2日の東京高裁の闘い、10月9日の三里塚全国集会(成田市内)、11月13日の緊急現地闘争に三里塚関西実行委の仲間とともに行動した私は、反対同盟が反撃を開始する中から呼びかけた11月27日の緊急現地闘争、そして12月11日の「芋煮会」として開かれたデモと集会に参加し、いずれも4日間、現地の座り込み行動に参加した。わずか4か月の間に、延べ11日間、三里塚に赴いた。久しぶりのことだ。

 12月5日午前中には、機動隊官舎と市東さん宅の間にある立ち木などが伐採され、市東さん宅とその前にある天神峰の農地などが、機動隊官舎の屋上にある見張り台から丸見えの状態で、24時間監視される関係が始まった。

 私などは昼間だけの監視行動だが、若い学生のみなさんを中心に、寒風吹きすさぶ夜も、正に24時間体制の座り込み、監視行動が現地では取り組まれている(「からっ風」が激しい寒い夜には、車の中からもあるが)。

 反対同盟の萩原さん、市東さんは、現地の支援のみなさんとともに、畑の手入れ、毎週2度の産直野菜の出荷の準備、出荷作業を、これまでと変わりなく続けているので、この座り込みの現場に立つことはない。反対同盟の太郎良さんを先頭に、入れ代わり立ち代わりで、若い学生のみなさんをはじめ、駆け付けた人たちで、座り込み、監視行動が続けられている。関西からも来ている。

 機動隊官舎の出入りも今のところ変化はなく、NAA、機動隊は急ぐ様子を見せていない。そもそも成田空港の運用にとって、今回強制収用の対象とされる土地や物件は、何の支障もなく、取り上げたからと言って何の「空港運用の改善」があるわけでもない。ただただ、市東さんへの襲撃、三里塚反対同盟破壊がその目的であるにすぎない。断じて許されない!

 11日の芋煮会で、市東さんは、「気持ちの整理がついた」と厳しい現実の中での迎え撃つ決意を淡々と語られた。私たちは、この市東さんの想いと、三里塚反対同盟のみなさんの闘いへの決意を受け止めようではないか。市東さんはその11日の発言の中で「みなさんの周りで、できることをして、この闘いを広げ、ともに闘ってほしい」と呼びかけた。

 三里塚関西実行委に結集するみなさん、支援していただいているみなさん。この市東さんの呼びかけに応えようではないか。

                            2022.12.15  松原記

下の写真、1枚目は天神峰の畑、2枚目は南台の今回の対象となる畑、3枚目は耕作権裁判で対象となっている2枚目の畑の隣の南台の畑

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2022年12月 5日 (月)

11・28 耕作権裁判傍聴報告  証拠隠し許さず 審理を尽くせ

 強制執行攻防の只中で

 11月28日、耕作権裁判の開廷に先立って千葉葭川公園では集会が開かれ、今日にも権力の不当な強制執行(農機具小屋や看板、農地など)が強行されることを予想して現地座り込み闘争が続けられており、その皆さんと連帯して裁判闘争が闘われました。
 集会の挨拶に立った反対同盟の萩原さんは「私たちは、戸村委員長や北原さん、市東東市さん、萩原進さんたちの闘いを引き継いで農地を守り切る闘いを続けている。強制執行を許さない為にあらゆる工夫をやろう」と呼びかけました。
 関西実行委員会の安藤は「いま、公平と正義が踏みにじられようとしている。許せない動きだ。本日、緊急署名140筆を反対同盟に手渡した。皆の声と力で農地を守ろう。関西では年末団結野菜市を闘います」と連帯の挨拶を行いました。
 (写真は、開廷前の集会後のデモ)
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  NAA、苦しい弁明

 この日の裁判は10時32分に開廷され本田晃裁判長が相変わらずの小声で陳述書の確認を始めるや否や、傍聴席から「マイクを通せ、マイクを立てろ」との抗議の声が起こり、弁護団からも音量調整を要請したのに裁判長は無視、強硬姿勢むき出しの訴訟指揮の中で傍聴闘争が始まりました。
 最初に裁判長から、被告代理人より出されている立証プランでは、弁論が長期間(来年の11月?)に及びそうなので早めに詳細を出してほしい、との要請があり一瀬弁護士は3月17日の進行協議までに提出することを確約。さらに一瀬弁護士は被告の市東さんから藤﨑氏(旧地主)やNAAの職員の釈明を求めていることを強調。このやり取りを受けて、原告代理人の上野弁護士は「従来の説明は間違いだ」と苦しい答弁を繰り返し、反対同盟が確実にNAAを追い込んでいること確信しました。
 結局のところ3月17日の進行協議前までに、速やかに双方が書面を裁判所に提出すこととなり、この日の裁判は閉廷しました。

 市東さん「絶対に負けない」

 短めの裁判が終わり弁護士会館で報告会が行われました。最初に市東さんから「現地では厳しい座り込み闘争が続いている。この皆さんと共にNAAのウソを暴いてゆく。絶対に負けるわけにはいかない」と並々ならぬ決意表明がありました。
 これに応えて、弁護士全員から裁判の解説と感想がありました。その中で、今回の強制執行対象になっている南台農地の説明がホワイトボードわかりやすく解説されました。
 会場からの質疑応答で、現地での座り込みに決起するとの決意表明も続きました。関実の仲間もこの座り込み闘争に参加しています。
                          (安藤 眞一)

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2022年12月 3日 (土)

強制執行許すまじ  ー 11・27三里塚報告

11月22日、千葉地裁から「授権決定」(NAAが市東さんの農地やそこにある建造物を撤去収用できることを認めたもの)が出されるという緊迫した情勢の中、11月27日に現地集会がもたれた。急な招請にもかかわらず市東さんの畑に思いをはせた280名の人々が駆けつけました。Photo_20221203173602(写真は、対象になっている天神峰の畑)

[空港との共存はない]

 まず反対同盟から3名の発言が続きました。伊藤信晴さんは「農地は農民のもの」という故戸村一作委員長の言葉通り、市東農地を必ず守る決意を述べました。
 萩原富夫さんはかつての円卓会議で強制的手段は取らないと約束したにもかかわらず(黒野元社長も表明した)「授権決定」を下した千葉地裁とそれを要請したNAAに怒りをぶつけ「気候変動が叫ばれている今日、B滑走路延長や第三滑走路建設を強行し、どんどん飛行機を飛ばすことなどありえない」と訴え、「空港機能強化」の真の狙いが成田の一大軍事空港化にあることを弾劾しました。また成田市長選に立候補の雨宮某が「成田新時代」と称し、空港を核にした成田の「経済特区」化を主張していることにも強い怒りを表明しました。

 思い起こせば関空建設が決定した時、地元泉佐野市では「バラ色の未来」が語られ、高層ビルや大型施設の建設が予定されていましたが、94年に開港した後は市は単なる通過都市にすぎず、空港に依拠した行政はことごとく空振りに終わり、挙句は「泉佐野市倒産?」が話題になったほどでした。
 萩原さんの指摘通り「空港と地元との共存」などありえません。

[出来ることをしよう]

 最後に当該の市東孝雄さんは「(9・2新やぐら裁判控訴審)誰が聞いてもおかしい判決。23日から座り込み、泊まり込み体制に入ってます。強制執行攻撃が来ても各自出来ることをしてほしい」と厳しい状況の中でもいつものように落ち着いた口調ながら強い決意が感じられる発言でした。(写真は市東孝雄さん)Photo_20221203173601
 動労千葉からは「車の両輪として闘ってきた。これからも労農連帯で強制執行阻止を」と、また関西を代表して松原康彦さんは「NAAに何の正当性もない。12月3日まで泊まり込んで全力で闘う」と決意を語りました。

[改ざん、偽造は犯罪]

 弁護団からは「強制執行は国家的強盗行為、執行しても空港に何のメリットもない。裁判所はNAAと一体となって社会の一般常識からずれた判断をしている」と判決の不当性を何度も指摘しました。
 あの森友改ざん事件でも赤木雅子さんが改ざんを主導した佐川元理財局長を訴えた裁判の判決が大阪地裁でありましたが「公務員個人が職務上の行為で他人に損害を与えた場合、国が賠償責任を負い個人には責任なし」と訴えを棄却しましたが「公文書を改ざんせよ」と命令することが「職務」と言えるのか、りっぱな犯罪ではありませんか。犯罪者佐川に何故責任がないのか、全く理解不可能です。(写真は、280名が結集した集会の様子)Photo_20221203173701
 翻って耕作権裁判でも空港公団(現NAA)は故市東東市さんの署名を偽造したり、農業以外の使用目的で旧地主から農地を買い取ったり(農地法違反!しかも耕作者に無断で)と明らかな犯罪行為が存在するにもかかわらず、森友事件同様行政側から一人の逮捕者も出ていません。
 弁護団の発言の通り、まさに裁判所は世間の常識から大きく乖離し、政権に忖度しているとしか考えられません。
 その後、各支援団体、共闘団体からの発言が続きましたが、その中に「芝山の郷土の空を守る会」とか「東海第二原発反対住民」と私が初めて聞いた団体名があり、改めて三里塚のすそ野の広さを感じました。
 集会を終えて空港ターミナルビルまでデモ行進したのですが、これまで何十年も三里塚に来ているのですが、まともにこのビルを見るのは初めてで少し不思議な思いがしました。(写真は空港へのデモ)Photo_20221203173702

[世の中の仕組みを変えよう] 

 反対同盟と支援の仲間は連日の座り込み、泊まり込み体制で強制執行と立ち向かっています。私たちも遠く離れた関西の地ではありますが、この闘いと連帯し、ことあらばまた現地に駆けつけようではありませんか。
 安倍が銃殺され、まさにパンドラの箱が開いたかのように閣僚や自民党議員と統一教会のどす黒い関係が次々と明らかになっています。また岸田政権では新閣僚たちも(そして岸田自身も)不祥事が続発しています。こんな連中が政治を牛耳っているのです。こんな腐敗した世の中の仕組みを私たちの力で、三里塚の力で変えて行こうではありませんか。(下写真は、これも対象となっている南台の畑)

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                           (弥永 修)
     三里塚関西実行委員会『実行委ニュース』第183号より転載

 

 

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2022年4月29日 (金)

4・25耕作権裁判報告 空港会社の証拠・証人隠しを追求

 コロナ禍で中断が続き昨年12月に再開された耕作権裁判が、4月25日に開かれました。(下写真は、裁判前の集会)22425_20220429165901

 市東さんの農地をNAAが「不法耕作地」の根拠とする「同意書」「境界確認書」の偽造問題が、最大の焦点です。これらの文書に空港絶対反対を貫いた市東東市さん(孝雄さんの父)が署名するわけがありませんが、これに故市東さんの署名がある。これはおかしい、偽造ではないかということで空港会社NAAに地主との交渉関係記録などの提出を求めましたが、NAAは拒否。2年間本裁判を停止して、千葉地裁、東京高裁で文書提出命令の審査、さらにその決定があっても「交渉記録は残っていない」「担当者は亡くなっているのでわからない」の一点張り。
 しかし今回の裁判でこの交渉に関与した公団(NAAの前身)の用地部職員が20名ほどいることが判明しました。こんなに多くの職員が関与しながら、交渉関係記録・書類がないなどということはありえません。一瀬弁護士はじめ弁護団は、のらりくらりと逃げきろうとするNAAと裁判所を徹底追及し、引き続き関係書類の提出を求め、証人申請していくことを明らかにしました。
 そもそも農地の明渡しを求めているのはNAAです。その農地の地籍の特定や経緯に疑義があり明らかにするよう市東さん、弁護団は求めているのですから、自ら取得した土地はここだと示し、その取得の経緯をきちんと説明しなければならない立場です。証拠を隠す理由はどこにもないのです。
 NAAが口をつぐみ裁判所に下駄をあずけ、裁判所がこれを是認するでは、公平な裁判を期待することはできません。次回裁判は8月22日ですが、6月20日に進行協議を行うといいます。法廷審理をスムーズに進めるための進行協議と言いますが、法廷・口頭弁論では口を閉ざし進行協議という傍聴のない密室審理、秘密裁判で事を進めるやり方は、裁判自体を否定するものです。
 付け加えるなら、今回の裁判でもコロナ禍を理由に傍聴制限が続いています。傍聴者は大法廷にも関わらす30名ほどに限定(筆者も傍聴できませんでした)。さらに現在国会では、裁判の公開原則を踏みにじる民事裁判での「リモート審理導入」が進められようとしているといいます。裁判がいよいよ形骸化されようとしていることに危機感を覚えます。(下写真は、集会後の裁判所へのデモ)

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 なお集会に先立ち千葉市中央公園で小集会が開かれ、千葉地裁までのデモが行われ、集会では反対同盟萩原さん、動労千葉、関実松原さん、市東さんの会三角さんからあいさつがありました。また裁判後、教育会館で報告集会が持たれ、「今日の裁判のようにNAAをさらに追いつめていきましょう」と市東孝雄さんからあいさつがありました。(報告・礒田)

 

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2022年4月23日 (土)

「食と農業の今」 藤原辰史さん 講演会 (4月10日)

 4月10日(日)エルおおさかにおいて京大人文科学研究所准教授の藤原辰史さんを迎えて「食と農業の今」と題した講演会が開催されました。
 三里塚関西実行委主催の集会はコロナ禍の影響もあり2020年3月、反対同盟の市東孝雄さんと大口弁護士を招いて開催された時以来久しぶりのことでした。

[コロナ対策怠るな]

 約60名の参加で司会は全国金属機械労組・港合同南労会支部の樋口曜さんにお願いしました。
 集会が始まるとすぐ参加者の一人から部屋の換気に注意するよう指摘があり、慌てて閉めていたドアを開けたり空調機を調節したりしました。コロナ感染はいまだに収まる気配はありませんが、2年を超え私たちの気持ちの中に「慣れ」という油断が入り込んでいるのかも知れません。改めて三密回避や手洗い、マスクそして換気の徹底に努めましょうと思いました。

[四つの連帯あいさつ]

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 さて主催者あいさつの安藤眞一さんは牧師の立場からウクライナの現状を憂い、平和と命の大切さを訴えました。
 続いて四つの連帯のあいさつ(ひとつはメッセージ)をいただきました。初めに三里塚反対同盟の萩原富夫さんから空港機能強化反対の3・27芝山現地闘争の報告と、2050年CO2半減方針とは裏腹の発着回数2倍化を目論むNNAを弾劾し、市東さんの農地を守る闘いとともに気候変動阻止を反対同盟の闘いの基軸にしたいという表明がありました。
 続いて部落解放同盟全国連の滝岡広治さんはウクライナのの状況を「国というくくりで考えると間違いでは?」すなわち単にロシアという国とウクライナという国の戦争という構図でとらえれば判断を誤ると指摘しました。
 そして狭山裁判が「第三次再審の結果がすべてで後はない」といよいよ最終局面を迎えつつあることを明らかにし、裁判所前行動と署名そして新聞への意見広告と5・22日比谷での闘いを提起しました。

 次に当日滋賀県での独自集会と重なり不参加となった全国連帯労組関西生コン支部の西山直洋執行委員からのメッセージが代読され(別紙)最後は「若狭の原発を考える会」の木原壯林さんでした。
 木原さんはウクライナの原発がロシア軍に占拠され核戦争の危険性が高まっていることに便乗し、維新の松井が非核三原則を否定したり、安倍元首相や高市早苗が「核共有論」に走っていることを「まさに火事場ドロボー」と批判しました。安倍はかつて27回もプーチンと会談を重ね「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう。・・・ゴールまで、ウラジーミル、二人の力で、駆けて、駆け抜けようではありませんか。」と宣っていました。いったいどんな未来なのか、ゴールなのか、説明できるのならやってみろと言いたくなります。
 また、木原さんは「原発推進=CO2減はまやかし、老朽原発再稼働は戦争のためのもの、新しい社会、農地を守ることは人が人間らしく生きるため、資本主義からの人間性の回復です」と語り最後に「原発のない明日を 5・29集会」への結集を訴えました。私たちも氏の提起に応え是非うつぼ公園に駆けつけましょう。

[食と農を考える]

 これらのあいさつの後、藤原辰史さんの講演が始まりました。氏はまず自書「ナチスのキッチン」などを引用し、ナチスが台頭できたのはヒトラーが都市労働者より農村に残っていた保守的な体質を基盤にして「農民が国の主人公でなければならない」(農本主義)と訴えて支持を伸ばしたからと説明しました。しかしナチスの「生きるに値しない性(障がい者)を作りだし、死んでも構わないという思想を流布し実行した」ことは絶対許されない憎むべきことだと弾劾しました。現代でも自民党の杉田水流などに繋がる差別思想です。22410_20220423104802
 そして今日CO2により気候危機が問題になっているが、それだけではなく「人が食することは循環の生態系の一過程を人が担っている」という自然の摂理をモンサント社(2018年にバイエル社に合併吸収された)などの毒性の強い農薬により破壊されている問題にも触れました。(ラウンドアップという商品名で一般家庭にも入り込んでいます)
 そして砂時計の形状にたとえ、一般農家が生産した農作物を巨大企業に一極集中させ、独占的に先進国市民に販売するという今日の資本主義経済を批判しました。
 またコロナ禍で移民労働者が来日できず、日本の農業がピンチになっていることに加え、食料自給率が37%にまで落ち込んでいるという致命的な現実はまさに政治の失政の証だと断じました。
 その他にも子供食堂、原発、満州移民そしてウクライナ情勢など多岐にわたるお話が続きました。レーニン、スターリン、毛沢東も大規模農業を実行しましたが、結果農村自治の喪失を生じさせることなりました。
 日本政府も今日、農業従事者の高齢化や跡継ぎ問題を捉え、大規模農業(会社化)を推進するとしていますが本当に今の社会体制のままでいいのでしょうか。藤原さんの言われる「食と農を通じた世界システムの問い直し」が必要ではないでしょうか。
 個人的にいつも思っているのは、豊作や豊漁であれば人類にとって喜ぶべきことのはずが、現実は値崩れを恐れて何割かを廃棄するということがありますが、これこそ環境破壊であり、世界システムの矛盾を象徴しているように思うのですが・・

[これからも三里塚と共に]

 藤原さんは「有機農業はすぐには採算が採れない、(周囲の)協力が必要」と言われましたが、まさに今三里塚は市東さん、萩原さんの有機農業を三里塚に思いをはせる全国の人々の協力で「共有」していると思います。藤原さんの結びの言葉も「食と農を通じて共有することが大切」でした。
 その後数人の参加者から質問や意見表明があり、成功裡に集会を終えました。
 コロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻という深刻な状況の中の集会でしたが、「食と農」という人間が生きていく根幹に関わるお話を聞いて大変勉強になりました。
                        (弥永 修)

 

 

 

 

 

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2022年1月16日 (日)

三里塚反対同盟の2022団結旗開き (1月9日)

3日前に降った雪の跡が残る三里塚で、2022年の団結旗開きが開かれました。

 バスの都合で朝早く現地に入った私は、萩原宅に、新年のご挨拶。萩原富夫さんと1時間近く、私と同じ世代の静江さん(進さんの連れ合い)とほんとに久しぶりに1時間余り想いで話を中心に話し合えました。

 2219 例年より遅く、11時に始まる東峰神社に集合。新しいしめ縄の飾りつけを行い、記念写真。それから車で移動して、市東孝雄さんの南台の畑に。決戦本部の太郎良さんの簡単な挨拶の後、市東さんの自宅の近くの開拓道路までのデモに出発。100人を超える皆さんが集まられ、新年の闘いに向けた意気軒高としたデモでした。2219_20220116115701

 旗開きの会場となる市東さん宅の中庭には、ここに直接集まれた関西生コンの西山直洋さんはじめ多くの皆さんが。予定通りの午後1時に、反対同盟の宮本麻子さんの司会で集会が始まりました。伊藤信晴さんからの主催者の挨拶に続いて、萩原富夫さんから「われわれは気候変動阻止を三里塚闘争の正面課題に据えて闘うことを決意する(【注】参照)」と、闘争宣言2022が読み上げられました。2219_20220116115702 動労千葉の関道利委員長、関西実行委の私、そして関西生コンの西山さんからの連帯挨拶が。その後、市東孝雄さんが起ち、「今年は還暦です」(実際は72歳)とのジョークを交えながらの「裁判は負けるのが当たり前」と昨年の最高裁決定を意に介しない決意あふれる挨拶をされました。引き続いて市東さんの農地取り上げに反対する会の小川さんなどの挨拶が。2219_20220116115703

 ここで豚汁がふるまわれた。参加した全員に大きなどんぶりバチに2杯ずつ配っても余るほどの具だくさんの豚汁。ほんとに美味しかった(豚汁は、たくさん作れば作るほど美味しくなるそうです)。その中で、支援諸組織、現地支援連などの発言が続き、太郎良さんから、この日出された「決戦本部ニュース」の朗読と団結ガンバロウをやって3時頃に予定通り集会を終え、皆さんはそれぞれの車に分乗して帰途につかれた。2219_20220116115801

 「旗開きなのに、酒がない」ことに気付いた私が萩原さんに聞くと、「今からでます」と。車で来ていない10人足らずがテーブルを囲んで、乾杯。少し歓談して、それぞれの送りの車に分乗して帰途につきました。コロナの影響かとは思いますが、内心「何か変!」とつぶやきながらの帰途でした。

 【注】今、EUなどヨーロッパでは、「陸続きのここで航空機を利用した移動をやめて自動車で移動しよう」という若い人たちによる「気候変動阻止」の取り組みが非常に盛り上がっているそうです。日本で政府が成田空港の第3滑走路、あるいは中部空港や福岡空港の滑走路増設による拡張などを主張しているのは、コロナで必要性すら危ぶまれる成田空港をはじめ、航空機の増加によるこうした政策は、正にこの「気候変動阻止」の流れに逆行するものであり、成田空港の縮小、廃止の本来あるべき流れに反するというのが、今回の反対同盟から出された「正面課題に据える」ことで、若い人たちの中にある「気候変動阻止」の流れと手をつないでいこうと、出されたこの日の提起の大筋です。詳しくは、これから出される署名活動などの趣旨として提起されると思います。
                                                                 (松原記)

                                         

 

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2021年12月 7日 (火)

1年ぶりの耕作権裁判、口頭弁論開かれる(12月6日)

市東さんの農地をだまし取るNAAと国家権力は許せない

耕作権裁判はコロナ禍の影響で法廷が一年間も開けませんでしたが「終わりよければ全て良し」の決意で、関西から2名の仲間と共に参加しました。この日も裁判前の決起集会が千葉中央公園で開催され、反対同盟の萩原富夫さんより「市東孝雄さんに15年間も不法耕作者の汚名を着せて、農地をだまし取った証拠を出さないNAAを追及しよう」とのアピールがありました。安藤は「昨日の大阪うつぼ公園での老朽原発再稼働阻止の闘いと、三里塚の農地を守る闘いは、どちらも私たちの命を守る闘いだ。市東さんの決意に応えて、本日の裁判でNAAと裁判所を押しまくろう」と短く連帯の挨拶を行いました。公園から裁判所までの短い距離をデモ行進し、裁判傍聴の為に傍聴券抽選の列に並び、コロナ禍での人数制限(普段の半数)で見事に外れましたが天の助けで傍聴席に座れました。

この日の裁判は、1年ぶりとあって裁判官の交代もあり、「更新意見陳述」の弁論が行われました。千葉地裁民事第二部の本田晃裁判長は今までで一番か細い声の裁判長で、傍聴席から何度も「聞こえません」との声が起こり大丈夫かいな、との第一印象を持ちましたが、裁判後の報告会で弁護団から「この裁判長は出来るだけ弁論を先送りしたいようだ。今まで三か月に一度の弁論が四か月になっている」との声があがるほどでした。

 先行き不安な訴訟指揮ですが裁判の口火を切って市東孝雄さんは「私の父親が耕作していた農地の地番を間違えて明け渡せとは何事か。私の農地では作物がよく生育している。無農薬・有機栽培の野菜を多くの皆さんに喜んでもらっている。この農業に誇りを持っている。NAAは農地をだまし取ろうとした偽造証拠をすべて出しなさい」と本人陳述を行い、傍聴席から大きな拍手が起こりました。

 続いて、出席したすべての弁護士から弁論範囲を分担しての意見陳述が行われました。

この裁判では、NAAが農地の場所、地番を確定する手続きがズサンで、しかも契約書や地積図に誤りがあったり、市東東市さんの筆跡が偽物で、どこから見てもNAAが市東さんに農地を明け渡せという資格がないことを強調。違法行為を細部にわたって立証する弁論が行われました。特に追求した項目では、かつての文書提出命令に対して、黒塗りの文書を出して、NAA自らが不正隠しをしている実態に対し、再度「交渉記録」や交渉した担当の法理氏などの「敵性証人」申請を行いました。また、葉山弁護士から筆跡鑑定の間違いを指摘し、契約当時に脳梗塞を発症していた市東東市さんが書けないような筆跡で契約書にサインしているのは偽造の証拠だ、と強調。無効な契約で農地を明け渡すことの違法を追及しました。次回弁論は4月25日、次々回は8月22日。詳しい内容については3月11日の「進行協議」で行うことで閉廷しました。

 裁判後の報告会では今後「敵性証人」を裁判所に提出したいの説明がありました。 
                                       報告者 安藤眞一21126_20211207122902

21126_20211207122902 21126_20211207122901 集会後のデモ  21126 集会

21126_20211207122902 裁判後の報告会

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2021年10月22日 (金)

新ヤグラ裁判控訴審第1回口頭弁論が開かれる 敵性証人(NAA職員)を採用し、徹底審理を!

6月の請求異議裁判の上告棄却の判決後で、市東さんの農地をめぐる関連裁判では初めての裁判が開かれました、新ヤグラ裁判の控訴審です。

 市東さん宅前の天神峰の畑(農地法裁判・請求異議裁判の当該地)に建てられた反対同盟の看板・ヤグラの撤去を求めて、NAAが起こした裁判です。Photo_20211022120201 用地買収をめぐる重要証人・敵性証人(元NAA職員)の採用をあくまでも拒否したまま千葉地裁は、昨年12月に不当判決を下しました。

 東京高裁は、ほとんどの裁判で「一発結審」を強行する悪名高い裁判所です。反対同盟と弁護団、そして傍聴者・支援は丁寧で慎重な審理を求めて、裁判に臨みました。コロナ禍の中、傍聴席100席程度に一般傍聴者は36名という厳しい人数制限の中での裁判です。関西から参加した3名は運よく全員抽選にあたり傍聴できました。

 Photo_20211022120301 法廷では冒頭、反対同盟を代表して萩原富夫さんが意見陳述を行いました。萩原さんは論点を4つに整理し、➀反対同盟の立場として、空港建設の経緯と基本姿勢を明らかにした上で、②地球環境と農業を破壊する成田空港、③市東さんの土地取得は違法で、やぐら・看板撤去は不要、④やぐら・看板は市東さんの農地と一体、農業と生活を守ると、きっぱりと訴えました。

 続いて、弁護団全員が控訴趣旨・NAAへの批判を全部で数百頁をこえる陳述書を項目ごとに要約し、また新たな論点からのNAA批判(空港拡張批判)を陳述しました。NAAは相変わらず誠意のかけらもない紙切れ1枚の反論書(要旨)を提出しただけとのことです。

 2時間近くに及んだ弁護団各氏からの力を込めた陳述のあと、渡部裁判長は次回裁判期日を来年1月19日(水)午前10時半(午前・午後の全一日)と指定、審理内容については被告・原告と協議していくとしました。おそらく次回裁判で求釈明、証人・証言を終わらせ、そして最終弁論・結審へと進めようしているのでしょう。(写真は、裁判後の報告会です)Photo_20211022120302

 裁判期日は来年1月ですが、反対同盟側の証人全員の採用はもちろん、地主との用地買収に関わり、経緯を知る元NAA職員2人(敵性証人)の採用を、弁護団・反対同盟を先頭にかちとりましょう。

 この裁判は、法的には収用可能となっている市東さんの農地の上に建っている看板・やぐらの撤去をめぐる裁判です。建造物に手を付けずその農地・用地を収用することはできませんから、現在市東さんの農地の強制収用を阻む大きな支えとなっています。それゆえ絶対に負けられない裁判です。

 なお、裁判に先立って日比谷公園霞門前で打ち合わせ集会が開かれました。反対同盟萩原さんのあいさつ、続いて動労千葉、関実・松原さん、市東さんの会から連帯のあいさつがあり、その後東京高裁・霞が関デモが行われました。211020_20211022120301

 

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2021年7月12日 (月)

三里塚で「樫の木まつり」 (7月11日)

 雨を予想した三里塚でしたが、薄日が差す、蒸し暑い中で、南台の市東さんの農地で、簡単な集会と、そこから市東さんの自宅がある近くの開拓道路までのデモが、参加した150人によって闘い抜かれた。21711

 そして、市東さん宅の前にある作業場で、「樫の木祭り」が始められた。

 21711_20210712154301 主催者挨拶に立った萩原富夫さんは、この6月8日の請求異議裁判の最高裁判決に対して淡々と想いを語られた。「第3滑走路の用地交渉をしている最中で、市東さんの農地を獲るなどという乱暴なことは考えにくい」としながら、「市東さんには母屋があり、所有する畑もある。市東さんはそこでやり抜くと言われている」「私たちが、市東さんの暮らしをともにどうやって守り抜き、闘い抜いていくかだろう」。「その上で実際に何かあれば、私がその先頭に飛び込んでいるだろう」とも。「ともかく、耕し、暮らしをここで続けていくことです」と。

 しかし、その後の集会は、やはり「6・8最高裁判決」への怒りと糾弾の声が最後まで続いた。

 動労千葉、そして私が関西実行委員会を代表してそれぞれ闘いへの想いを語った。その後、関西生コン、沖縄、若狭の原発を考える会、あるいは地元の住民からのメッセージが紹介された。

 21711_20210712154302 そして関東の仲間の歌が先導して、京都からこの日に駆け付けた川口真由美さんが登場。まず冒頭、萩原富夫さんとのデュエットに全体が驚いた。後で、私のFacebookに「音、はずしてました」とご本人からコメントがありましたが、どうしてどうして、大したもの。21711_20210712154202 その上で川口真由美さんの熱唱がつづきました。常に辺野古や沖縄の離島、そして韓国などの闘いの現場に立っておられる川口さんの想いのこもった歌に、全体が浸りこんでいた。

 そこへスイカが配られ、みなさん、大いにその甘い味わいにゆったりと。正に「まつり」を実感。

 しかし、それで終わらないのが三里塚(?)。市民団体の連帯の挨拶と、現地支援4党派の決意表明が、1時間余り続いた。「これ、なんとかならない?」というボヤキの声も。

 それから「お待ちかね」の抽選。市東さん、萩原さんが作った産直野菜、玉葱、ジャガイモ、ニンジンの袋が、次々とみなさんに配られる。私も当たるが、毎週の産直野菜で過剰気味のものなので川口さんに譲った。

 21711_20210712154201 市東孝雄さんから、最高裁判決に触れながら「裁判がすべてではない。私たちにはこの現地の闘いがある」と闘いつづける想いが明らかにされた。最後に決戦本部の太郎良さんから「三里塚に来てください」と語り掛けられたうえで「闘うぞ!」の三唱が行われた。その頃から、待ちかねたように強い雨が降り出した。(この強い雨が一晩続き、翌朝、畑を見るとトウモロコシがなぎ倒される被害がでていたと現地から報告があった。)21712

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