農地を奪い、農民からくらしを奪う
この国の農政=農業破壊を断じて許すな!
三里塚闘争50年
三里塚闘争は50年の長きにわたり闘いぬき、先日、50周年の集会が成功した。その詳しい報告は、当ニュースの他の稿に譲るが、そこで関西実行委員会からの挨拶や決意表明がなかったことが、関実内外から問われた。また批判の声も聞く。永井代表、山本世話人、そして安藤、私の両事務局次長がそろって参加していたこともあり、その人々には奇異に映ったのだろう。
3月27日のあの成田市での集会で萩原富夫さんが反対同盟を代表して「50年を期して、分裂などの過去の壁を乗り越え、新たなうねりの中から市東さんへの農地強奪の攻撃をはねかえそう」という趣旨の提起を行った。
この鮮烈な提起を聞いた時、私は、50周年の集会に「従来の枠組み」にこだわる必要はないと思った。残念ながら「7・3東京集会」はそうした準備の時間も討論もなく行われたために、基本的には「従来の枠組み」を引きずりながら、しかし、萩原さん、反対同盟の想いを反映したものとなった。それを支えるために、「時間もない」こともあり、私は関西実行委員会の発言を配慮することはないことを関実事務局会議の決定とし、反対同盟に事前に申し入れていたのです。私たちは、3・27の反対同盟の決意を反映し、新たなうねりを生み出すことをもって、私たちの三里塚闘争への新たな決意、反対同盟への連帯の想いとしようと決断したのです。
市東さんの農地を守ろう
今、三里塚闘争は、市東さんの農地をめぐり農地法裁判の最高裁決定がいつ出されるか、また、それに引きずられる形で耕作権裁判、あるいは新やぐら裁判がどう進むか、まさに重大な決戦局面にある。同時に「東京オリンピック」を口実とした成田空港の増便、規制の緩和が目論まれており、さらには第3滑走路の建設、暫定滑走路のさらなる北延伸までもが具体的な過程に入ってきた。
参議院選挙の結果としての安倍政権による沖縄・高江、辺野古への襲撃的工事強行、あるいは原発再稼働への前かがみな突入。そして改憲攻撃。こうした反動的な安倍政権の攻撃の中の一つとして、三里塚への攻撃が強まっていることをみなければならないだろう。
その敵の攻撃を前に、三里塚が、従来のままの枠組みにしがみつき、あるいは「スローガン」を徒に叫んでいるだけのものでは、どうにもならないことは余りにも明らかだろう。
今、私たちは改めて三里塚闘争を多くの人々に訴えることが必要となっているのではないか。
農民殺しの農政
三里塚への1966年閣議決定の攻撃は、そのまえの富里空港攻撃と一体のものです。
自民党政権は、1961年の農業基本法で、第1に農家戸数を減らし、農家一戸当たりの経営規模の拡大。第2に「選択的拡大」、単作化への方向付け。第3に生産性の向上を打ち出した。農地法の改悪により農業への企業、法人の参加への道を開いてさらに悪化したとはいえ、この流れは基本的には今日のTPP攻撃に至るまで一つの流れです。それは今日あけすけに語られている「もう農民はいらない」「儲かるものをつくればいい」という流れとして、1960年代に開始された農業切り捨ての流れなのです。だからこそあの機動隊を前面に出した攻撃が起こったのです。
今日、沖縄・高江に全国の機動隊が500人という規模であれ襲い掛かっている。当時、三里塚には全国から1万人を超える機動隊が集められ、傍若無人の襲撃を行った。今も、空港警備隊は全国からの1500人の動員で維持されていると聞く。このことの異常さを今、私たちは沖縄・高江の皆さんの怒りの声で改めて教わっているのではないか。
農民切り捨て、農業切り捨て、そして農地強奪。このことの決定的理不尽さ、暴虐を今一度問わなければならないのではないだろうか。今回の参議院選挙でも、TPPをめぐって争われた東北各県と北海道などでは自民党を打倒したではないか。
TPPの国会批准を許すな
今、三里塚で、萩原さんと市東さんが、柳川さん、島村さん、小泉さん、石井さんなどが農業を続けて行けるかどうか。北総の豊かな大地に、土に魅せられた若い人たちの農業への新たな参入があるとも聞く。こうしたさまざまな農民が生きて行く、農業の新しい在り方が、実は必要とされているのではないだろうか。三里塚闘争とは、そうした本来あるべき農業、農民の生き方を潰そうとしてきた国家権力との闘いではなかったのか。もちろん、ベトナム戦争の時代として「戦争反対」「軍事空港反対」の流れが強く反映した闘いとなったのも事実だが。
もちろんTPP反対がもはや農業だけではなく、医療や労使関係など様々な分野での新自由主義との闘いとなっている。しかし、農業、食糧の問題として非常に重要であることにはかわりはない。少なくとも「農民はいらない」「食糧は輸入すればいい」などという論理がまかり通るようなことがあってはならないことは自明の問題ではないのか。
TPPの国会批准が叫ばれるこの重大な局面でこそ、三里塚闘争に込められた農業のこうした課題を、今一度、私たち自身の軸に据えきって、たたかいの方向を定めなければならないのではないか。それができるとき、はじめて「沖縄、福島とともにたたかう」多くの人々との共闘の輪ができてくるのではないだろうか。
この秋の取り組みを、その第一歩としよう。9月7日、最高裁へのデモ、署名の第3次提出行動、10月9日、三里塚現地全国総決起集会、そして9月26日、新やぐら裁判、10月17日、耕作権裁判の傍聴に。
関実事務局 松原康彦
(関実ニュース 第157号より転載)
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