市東さんの農地に係る請求異議裁判控訴審判決を弾劾する!
12月17日、東京高裁・菅野裁判長は、請求異議裁判控訴審で、市東孝雄さんから出されていた控訴を棄却するとともに、農地強奪の強制収用執行停止を取り消した。断じて許されない。
判決直後に開かれた裁判の報告会で、市東孝雄さんは、「多見谷(地裁)、小林(高裁)、そして今回と、期待はしていなかったが、同じことだ。裁判で明らかにされた多くの証言(への対応)が一つも入っていない。絶対に認めることはできない。まだまだ、天神峰で農業を続ける」と、淡々と想いを語られた。
市東さんと弁護団は、直ちに最高裁に上告するとともに、強制収用の執行停止を求める手続きに入った。その結論は来週(12月21日以降)にも、出されると思われる。
コロナ禍の中で、多くの裁判が延期され、また開始さえできないという状況が全国の裁判所で起こっている。そんな中で、東京高裁・菅野は10月22日の最終弁論の法廷で、早々とわずか2か月足らずで判決を強行することを明らかにした。報告会での弁護団の判決文を見た直後の感想として、いろいろと詭弁を弄して事実を捻じ曲げ、強弁しているに過ぎないということが語られた。
空港会社(国・空港公団)による偽証、証拠偽造、農地法違反などが次々と明らかになり始めた時に、強行されたのが千葉地裁・多見谷裁判長による農地法裁判判決であった。高裁小林決定、最高裁、そして今回の異議審控訴審・菅野判決も、その多見谷判決のペテンを引き継いだものでしかない。その犯罪性は、同じ南台農地の市東さんの耕作を不法と断じて始められたはずの耕作権裁判が、13年余を経過して、空港会社(国・空港公団)による偽証、証拠偽造、農地法違反などが確定されることを避けたい空港会社の意図によって、千葉地裁で今もなお争われ、しかも証拠調べにも入れていないことが如実に示している。そもそも、この請求異議裁判の地裁、高裁段階で、空港会社代理人は、裁判所から幾度も市東さん側の指摘に応えるよう催促されながら、何一つまともに応えようともしないで沈黙を繰り返してきたではないか。
このコロナ禍の中で、経済成長を根拠とした「航空需要」なるものの虚構が世界的に暴露され、それを前提にこの60年余りをかけて進められてきた航空会社経営、空港経営の破綻が次々と明らかになってきている。成田空港もまたそれから逃れられず、来年3月期の800億に上る赤字と第2滑走路の閉鎖にまで至ったではないか。そのことは市東さんの農地問題それ自体が、その虚構の中でしか存在しないことを示している。
同時に、その60年余をかけて、日本は食糧自給という深刻かつ重大な問題を切り捨て、「家族農業を大規模化へ」という虚構を農民、農業に押し付け、耕作放棄地の拡大や離農の流れを生み出してきたではないか。このことに依拠して、冨里空港計画の破綻を、三里塚農民からの機動隊暴力による農地強奪を軸とした襲撃、攻撃によってとりつくろって形成されてきたのが成田空港であり三里塚問題なのだということがある。
私たちは、東京高裁・菅野の無様な反動判決への怒りを、そうしたことを踏まえた新たな闘いへの根拠としようではないか。全国の農民、農業の置かれた現状に、今日の市東さんの闘いはそうしたことを指し示しているのではないだろうか。全国の苦闘する農民と共に、この反動判決への怒りを梃に新たな闘いに進もう! 市東さんの農地を守り抜こう! (12月19日 松原康彦)
【注】1枚目の写真は、報告会で挨拶される市東孝雄さん。2枚目の写真が、判決後、東京高裁に向けて怒りのシュプレヒコール。3枚目が、日比谷公園霞門を出発する150のデモ。
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