10・22 請求異議控訴審最終弁論(結審)の報告
法廷内外で「正しい判決を下せ」の声
10月22日 、裁判所近くの日比谷公園霞門で決起集会が行われ、各地から結集した100名ぐらいの仲間と共に最終弁論に向けての決意を固めました。 反対同意の挨拶などに続き、関西を代表して安藤から「今日は正しい判決を勝ち取るために法廷内外で頑張りましょう。破綻した成田空港なのに、命を生み出す市東さんの農地を取り上げることは許せない。けさ沖縄の市東さんの会キムチミョンさんから離れていても心は一つ、農地を守るために共闘、連帯しよう、とのメッセージを頂いた。全国の仲間と共に勝利しましょう」との挨拶をしました。
決起集会のあと、
東京高裁周辺のデモに出発、関西から参加した仲間と共に市東さんの会の隊列に入らせていただき、シュプレヒコールを続け、日比谷公園で解散。12時半ごろに反対同盟の市東さんらが東京高裁宛ての「要望書」を高裁担当者に提出し、
1時半の傍聴券抽選に備えました。この日の傍聴者は22名の制限で超狭き門、予想通り関西の仲間は全員落選、4時半の終了まで待機することを決めたとたん、あるグループの優しい配慮で安藤だけ傍聴できることが出来ました(他の皆さんすみません)。
340頁超えの準備書面を提出
100名は傍聴できる102号の大法廷で、わずか22名の傍聴でしたが、たえず拍手と歓声と「いいかげんな判決出すなよ」の声が傍聴席から飛び交い、約2時間40分の緊迫した最終弁論となりました。菅野雅之裁判長は冒頭に「今日は最終弁論です。市東さん、石原補佐人、内藤補佐人は10分ずつの陳述、弁護団からは90分の弁論を」と2時間以内で終わる事との上から目線的訴訟指揮からスタート。最初に市東孝雄さんが裁判長に向かって正々堂々と弁論を開始「2006年から14年間も私の農地を取り上げる裁判が続いているが、私は何も間違ったことはしていない、小作農として大切な農作物を作ってきた。無農薬、有機肥料栽培の農作物を皆さん喜んでくださる。そんな私の農地と農業を無理やり取ることは許せない。おやじに内緒で違法な手続きで農地を売買して出てゆけと言うNAAの不法を許してよいのか。裁判長、この農地は生きている、命を生み出している、この農地を取ることは俺の仕事を奪うことだ。強制執行の許可をしない判決を出してほしい」と感動的な心の叫びを訴えました。
このあと、石原健二補佐人は「市東さんの農地と農業には大きな公共的価値がある。長らく国連の食糧機構にも取り組んできたが、食料の安定供給こそ平和を創り出している。国連もこの観点から家族農業と小規模農業を推進している。市東さんは国連のすすめる農業を実践し、本物の農業だ。千葉地裁は公共性の大きい市東さんを切り捨て間違った判決を出した。市東さんの農地を取り上げは許せない。」と証言。傍聴席から大きな拍手が起こりました。続いて証言した内藤光博補佐人は「憲法学者として市東さんの農地を取り上げる暴挙は民法第一条三項で規定されている権利の濫用は、これを許さないとの条文にあたり、NAAはかつて隅谷調査団のシンポジウムを受けて国として二度と強制収用はしない事を約束したのに、これを反故にして強制的に取り上げようとしている。権利の濫用そのものだ。市東さんが人生をかけて来た農業を奪うな」と裁判長を圧倒する証言をされました。
さらに追い打ちをかけるように弁護団から342頁にわたる膨大な陳述書を提出。先頭で陳述した葉山弁護士は特に「原判決が援用する最高裁昭和40年12月21日判決は、失当であり、本件事案には該当しない。」と強調して地裁判決の不当性を暴露、恣意的な判決に抗議を示し、裁判長に正しい判断を求めました。この日は弁護団全員が、この陳述書を各部ごとに担当し、時には怒り、厳しく弾劾して、持ち時間の90分間をオーバー。途中で裁判長が、マスクをつけて陳述しなさいとか時間を守ってください、と弁護団に訴訟指揮しましたが、委細かまわず弁論を続けました。
弁護団の陳述の後半ではコロナ禍で成田空港が破綻している現実を縷々説明し、市東さんの農地を取り上げる必要性は消滅した、直ちに訴えの取り下げをせよ、と強く求めました。菅野裁判長はNAAの代理人に対し反論を求めたところ「特にありません」と弱弱しく返答。この時、筆者は「あ、もう自分らに都合の良い判決を期待している」と腹の底を見た思いでした。そして裁判長がいきなり「判決を12月17日午後2時に行う」と発言、すぐに会場から「わずかひと月足らずで判決が書けないだろう。もう作っているのか。人間らしい判決を出せ」との怒号と歓声が起こりました。
判決公判は12月17日(木)午後2時
興奮さめやらぬ法廷をあとに、裁判所近くの弁護士会館ロビーで報告会が行われ、 市東さんの挨拶、弁護団からの解説、質疑応答、そして傍聴で頑張った皆さんからの挨拶が行われました。これで請求異議訴訟の区切りとなりましたが、裁判は耕作権裁判をはじめ、まだまだ闘いは続きます。市東さんが法廷で熱く語った「裁判長、この農地は生きている、命を生み出している、この農地を取ることは俺の仕事を奪うことだ。強制執行の許可をしない判決を出してほしい」との決意を我が物にして、正しい判決が下されることを期待しましょう。
報告者 事務局 安藤眞一
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