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2017年11月21日 (火)

耕作権裁判を傍聴して (11月20日)

 昨日、11月20日、千葉地裁で三里塚の市東(しとう)孝雄さんをめぐる耕作権裁判の口頭弁論が開かれた。すでに11年を経過したこの裁判は市東さんが耕作している農地の一部が「不法に耕作されている」として空港会社が提訴し、「なぜ、私が被告席に座らなければならないのか!」との市東さんからの抗議と糾弾で開始された。裁判所は、早く人証しらべに入り、裁判を終わらせたいと焦るが、そもそも農地の賃借権の時効取得、あるいは賃借権の合意取得によって市東さんが耕すすべてに正当な賃借権があることを弁護団は大前提にして、ここに土俵を築こうと粘り強く闘いぬいている。この日も、2時間近い法廷となり、次回 2月19日(月)、次々回 5月14日(いずれも開廷は午前10時半)と日程を決めて勝利的に法廷を終えた。

 

 171120法廷に先立って、中央公園でミニ集会がもたれ、反対同盟を代表しての萩原富夫さんの挨拶(後掲)、動労千葉、関西実行委員会(私)、市東さんの会の挨拶があって、裁判所までのデモに移った。

 

 裁判は、大きくは3つの論点を中心にこの日は進んだ。

 第1点目は、偽造と言われている甲8号証、甲9号証についての市東東市さん(とういち=孝雄さんのお父さん)の署名、印鑑の印影について新たな鑑定が提出され、「筆跡については同じような人物が書いたように見えるが書きなれない人が書いた跡がある」、そして「印影については、他の2つの証拠と比較し、明らかに別の印鑑である」ことが、それまでの2つの鑑定を補強して出され、証拠偽造問題はいよいよ明らかとなった。

 第2点目は、小泉(大木)よねさんへの1971年の家屋などの強制収用が、国・空港会社の謝罪に象徴されるように行政代執行の明らかな権利乱用であり、市東さんの農地をめぐる今回の不当な強制収奪の論理は、行政代執行の権利乱用の再来でしかない(これの論述にかなりの時間がさかれた)。

 第3点目は、(東京高裁、千葉地裁がだした)文書提出命令に空港会社が「書類は存在しない」とする虚偽の主張や、市東市太郎さん(孝雄さんの祖父)がこの地に入植したのが1921年であるにもかかわらず、空港会社が1938年と書面で出してきている根拠となるものを提出し、明らかにしろと要求した。

 

 閉廷後説明会が行われ、葉山岳夫弁護士は、「ねばるにねばろう」と方向性を出して語りかけた。

 

 耕作権裁判(口頭弁論)を前にして、中央公園で開かれた集会冒頭、反対同盟の萩原富夫さんが、千葉市民に訴える形をとって、この日の闘いの意義を語った。

171120_2―― なぜ、集会とデモをするか。本日、千葉地裁において成田空港の敷地内で農業を営む市東孝雄さんにたいして、その農地の一部を「不法耕作」と言いがかりをつけて訴えられた裁判です。成田空港会社は、市東さんに対して1町3反、東京ドームの敷地くらいの広さを奪い、そこに住む農民を追い出して成田空港を完成させたいと、法律を捻じ曲げ、証拠をねつ造、偽造して裁判に訴えています。

 私たちは、今日の裁判で、この偽造の問題などを追及していきます。空港会社は不誠実にも、その偽造された文章が作られた過程を報告する文書の提出を拒み、あるいは黒塗りをして真実が分からない文書を提出してきています。これは国会で安倍政権が「森友学園」問題などで行ったのと同じではないですか。

 農民から農地を奪い空港をつくる。これは沖縄において辺野古の海を破壊して米軍基地、あるいは自衛隊が使う基地、そういう軍事基地を新たに作るのと同じことです。あるいは全国で原発の再稼働反対の動きがありますが、住民の声を無視してともかく稼働させる、あるいは新たな原発をつくるとかいうことがあるわけです。

 安倍政権、自民党政治の中で、住民無視、労働者が生きられない仕組みを作る、あるいは農業をつぶしていく、そして戦争に向かっていこうとしている。こうした政治に対して、私たち三里塚反対同盟は、たたかっていかなければならないと思っています。みなさんもそれぞれの地で闘っていただきたいと思っています。私たちのたたかいも52年目にはいっています。今日の市東さんの農地を守る裁判はもう11年たたかっています。粘り強くたたかって、安倍政権が進めようとしている「戦争への道」を阻むためにも私たちはしっかりとたたかっていきたいと思っています。

 すべてのみなさん。本日のたたかいをはじめ三里塚闘争にご注目ください。

 

 また、裁判閉廷後の報告会の冒頭、市東孝雄さんが決意を込めた挨拶を行われました。

171120_3―― みなさん。本日の闘争、そして裁判とご苦労様です。裁判が佳境にはいってくると、裁判所の動向がわかるというか。今日も弁護士さんの主張などで少し戻しましたけれど、明らかに裁判長は早く終わらせたいという意思が随所に見られます。それをはねのけて頑張っていきたい。

 この畑を獲られるということは、私に農家をやめろということなんです。そのためにも頑張ってやっていきますので、みなさんよろしく。

 それと11月23日は、12回目になりますけれど、文京区民センター(東京)でシンポジウムがあります。いろいろためになる話があると思いますので、みんさん、ぜひご参加ください。

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2017年11月18日 (土)

今週の産直野菜 (11月18日)

 171118_2三里塚から野菜が届きました。

 サトイモ、春菊、玉レタス、サニーレタス、キャベツ、水菜、葉付きニンジン、大根、ごぼう
 以上9品です。

 内容豊富! 特にキャベツとごぼう。キャベツの巻もきれいですね。寒さが強いからでしょうが。

 明後日、20日午前10時半から、市東さんの南台の農地をめぐる耕作権裁判の口頭弁論があります。請求異議裁判の動きが出てきています。この耕作権裁判も市東さんの農地を守るうえで非常に重要になってきています。
 午前9時から千葉市中央公園で、集会をやって裁判所までデモをします。ぜひお集まりください。裁判だけの場合は傍聴券の配布がありますので、午前10時ころには、千葉地裁1階ロビーにお集まりください。

 来週は、さらに11月23日、農地取り上げに反対する市東さんの会のシンポジウムが開かれます。(詳細は「市東さんの会」のブログをご覧ください。

 さて、これだけの野菜、2往復もしていて、どうしよう?

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2017年11月 7日 (火)

請求異議裁判(11月6日)傍聴報告

 17116昨日、116日、千葉地裁で、昨年10月に最高裁が棄却決定し、東京高裁の小林裁判長による市東さんの農地や作業場の強奪が「確定」したことにたいして開始された「強制収用をするな」という請求異議裁判の3回目の弁論が開かれました。
 裁判所は、次回に市東孝雄さん、萩原富夫さんの証人尋問を(それも30分)やって、一気に最終弁論、年度内の判決に持っていこうとしていました。この危機的状況を目の当たりにして、弁護団の気迫にみちた踏ん張り、傍聴席からの凄まじいまでのヤジと怒号が、とにもかくにも裁判所を、裁判長を思いとどまらせ、次回、38日の弁論が開かれることになりました。

 報告会での市東孝雄さんからの挨拶も、短いながら、この日の緊迫した状況を反映したものとなっています。

17116_2市東孝雄さん  やはり今日の訴訟の中における三里塚裁判ですね、今日だけでなく、いくつかの裁判を観ていると、相当、最高裁からの圧力がかかっていると思うのです。今日は、弁護士さんの力で押し返して、審理を続けさせたことはよかったと思います。ちょっと油断すると裁判長の訴訟指揮が早まるんで、そういうことを注意しながら、これからも闘っていきたい。(左写真は、報告会で挨拶する市東孝雄さん)

 

 事態の切迫、緊迫は説明するよりも、葉山、大口両弁護士の報告会での報告を読んでいただければと思います。もちろん他の弁護団からも危機感あふれた報告がありましたが、膨大になりますので、お二人で代表させていただきます。

 

葉山弁護士  17116_3今日、最後に裁判長の心性がはしなくもあらわれたと思います。この請求異議の訴訟そのものについては、証拠調べの中で言っているように、本件の最初の裁判、多見谷裁判長の裁判そのものがろくな証人調べもしないで、しかもありもしないことについて勝手に裁判長が付け加えて強引に判決を行った。それが本件の訴訟の中で根本になっている。あらゆる意味で「強制的手段はとらない」ということに関わっている問題です。(右写真は葉山弁護士)

 証人調べというのは極めて重要なわけですね。

 そういった中で、今日は一瀬さん、大口さん、その他が精魂込めてこの準備書面五について徹底的に論じたということなんです。このことについては特に小泉よねさんへの強制執行の凄まじい非人間的なやり口、そういったことについて、これが延々と今に至っている。市東さんの農地を収奪しようとするそのことに明確に現れている。そのことへの反省の上に立って「あらゆる意味で強制的手段をとらない」ということが、これが空港会社、そして国、亀井静香、それ17116_4から松尾という運輸次官も列席した中で公約した。もちろん千葉県も公約した。その根幹をなすものが小泉よねさんの事件ですが、そのことについて力説した。

 そして離作補償料については、「明け渡しをした後で払えばいいんだ」「明け渡す前に払わなくていいんだ」というとんでもないことについて論破した。(左写真は、裁判所に向けたデモ)

 そして認証計画の中においても、萩原富夫さんや市東孝雄さんについてはもとよりですが、農学者、あるいは実際上の小泉英政さん、その場に居合わせた加瀬勉さん、それから空港会社側の工事の関係者、そういうことを合わせて出したわけです。

 その出した矢先に、裁判長の方から、「原告の市東さん、それから萩原富夫さんについては証人の重要性がわかっていますから次回に調べます」というとんでもない発言が出てきたわけです。

 17116_5状況から見ますと、これは極めて緊迫している。今日の警備態勢そのほかを見ましてもですね、通常よりかなり異なっている。(右写真は裁判所への署名提出)トランプ情勢かなというふうに思ったんですが、そうではなく、この裁判そのものについて警備態勢をひいていたということで、警備員の数も相当な、数十人ですか、余計に警備員が来ていた。別の控室に控えていたわけですね。そういう状況の中で本日を迎えた。そういう意味で、安倍政権そのものの中で、この裁判について強引に押し切ろうという態勢が見え見えだということでした。

 それを弁護団のみなさん、傍聴席のみなさんがこれを押し返した。

 次回は、証人調べでなくて、38日、午前10時半、弁論ということになったわけです(裁判長は、1月を主張していた)。

 ともかく重大な正念場を迎えた裁判だということです。そのことへの一層のみなさんの協力をお願いしたい。

 

17116_6大口弁護士  全員の力で裁判所の早期結審というものをいったん跳ね返すことができた。よかったというふうに思います。

この間、最高裁の人事局の締め付けというのは非常に強くなっていて、いろんな裁判官がいますけれども、どんどん裁判を進行させて決着させていく、こればっかりを考えている裁判官が多いのです。そうすると、本件については年度内に判決を出したいと考えると、逆算していけば、次回ぐらいに証人尋問、それで後は最終弁論。それで3月に判決。そういう路線を裁判長は考えていたんではないかと想像されます。

しかし、この問題の重要性、深刻性から言って、そのような裁判官の期日計算によって本件が処理されるということは絶対に認められない。そういう点で、次回は弁論ということになったわけですけれども、裁判所がどういうことを考えているかは露わになったわけでして、次回はほんとに激突だと、我々は一団となってぶつかって行かなければならない。

17116_7我々はこの裁判でいろいろなことを主張しているわけですけれども、大きな柱としては二つあると思います。一つは本件によって市東さんが致命的なダメージを受ける、それはまた日本の農業にとっても非常に重大な損失なんだ。そういう当方の法域の大きさ。それに対し、空港会社の法域というのはほとんど何もない。要するに「空港を完成させたい」ということだけしか言えない。秤にかければ針が飛んでしまうくらいの差がある。これは権利乱用の問題です。

もう一つは、先ほど来言われている、空港公団が行った社会的約束、「あらゆる意味で強制的手段はとらない」ということに反しているではないかという、この二点が大きな主張の柱なわけです。

前者については時間的な制限はないのですけれども、後の方は法律の規定によって最終の口頭弁論終結時までに生じた事項はだめだと、それ以降に新たに生じたものでなければだめだという規定があるわけです。これは我々は無視はできない。なんとか手当をしなければならないということで、この間いろいろ努力をしてきたわけです。

17116_8その一つが、小泉英政さんと空港公団の和解である。これは前の裁判、高裁の弁論が終結した後にギリギリですけれどもなされている。その点で完全にクリアされている。ここで重要なことは、「それは何十年前のことだ」とされがちだが、われわれはそうじゃなくてこの時点で、「強制的手段はとりません」「大木(小泉)よねさんの事件は申し訳なかった」と空港公団(会社)が謝罪したことによって、90年代にやった彼らの約束というものが、彼ら自身によって再度確認されたんだということを出しているわけなんですね。

そういう意味ではどの証人も大切なんですけれども、私としては小泉英政証人を実現したい。それによって、それと加瀬さんともあわせて、三里塚を象徴する大木よねさんの問題を真正面から出して、成田空港問題の本質を提起するとともに、彼ら空港会社(公団)の行った社会的約束が今でも生きているのであり、かつこれが高裁判決、小林判決の後なんだということで、今の裁判所も執行法の枠組みでも突破できないんだという状況を作り出していきたい。

17116_9今日は結果的には良かったわけですけれども、いずれにしろ裁判所の考え方というものが煮詰まってきているということは否定できません。次回の弁論にむけ、我々も所期の目的を実現するために全力を尽くしていきたいと思います。

 

17116_10裁判に先立ち、千葉市中央公園で集会が開かれ、萩原富夫さんが反対同盟を代表して挨拶されました。動労千葉、市東さんの農地取り上げに反対する会などが決意を述べ、関西実行委員会を代表して私が決意を述べました。

集会の後、裁判所までデモが行われ、裁判に向かいました。

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2017年11月 4日 (土)

今週の産直野菜(11月4日)

 17114三里塚から早々と野菜が届きました。

 じゃがいも、鷹の爪、カブ、ネギ、サツマイモ、枝豆 以上6品。葉物がなく、ちょっと淋しいですね。

 それに福島の大内果樹園さんからいただいた梨(新高)が添えられています。10月29日に予定されていた「産直交流会(芋ほり大会)」が台風で流れたのですが、そこにたくさんの梨を届けられていたそうです。
 わたしはひょんなきっかけから2011年秋から毎年、購入させていただいています。今年も2種類、味わいました。ほんとに美味しいですよ。
問い合わせ先 〒960-8057 福島市笹木野字内畑 15-2 大内果樹園
          ☎(TEL/FAX) 024-556-0363

 明後日、市東孝雄さんの農地をめぐり、昨年秋の最高裁決定を不服とし、農地強奪の強制執行をするなと闘われている「請求異議裁判」が千葉地裁601号法廷で午前10時半から開かれます。三里塚反対同盟は、法廷に先立って、午前9時から打ち合わせ(集会・中央公園)とデモを呼びかけています。みなさん。集まりましょう。私たちも駆けつけます。

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