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2017年3月 5日 (日)

請求異議裁判の報告会に出て(3月2日)

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 すでに当ブログに3月2日、千葉地裁で行われた市東さんの農地に係る「請求異議裁判」の報告が安藤さんから行われていますが、安藤さんは所用があり報告会にはのこれませんでした。そこで、この日の争点と、裁判の現状の意義が明らかにされました。非常に重要ですので、私の方からメモ的に報告します。

 昨年末の最高裁による市東孝雄さんの上告棄却決定によって、直ちに農地強奪の強制執行が行われるのではないかという危機感が私たちにはあった。214日の審尋によって、「請求異議裁判」が開かれることが確認されるとともに、その裁判の終結まで強制執行は行えないことが確定した。
 
報告会で明らかにされたが、そもそも「異議審」は「例外中の例外」で非常に狭き門だそうだ。「判決後の事情」が根拠とされなければならない。いわば、狭山事件に見られるように、国家意志を問うことにもなり、冤罪事件の再審の門がなかなか開けられないことに匹敵する。
 
しかし、裁判所がとりあえず法廷を開いたことで自らの正当性を主張し、1回の審理で終えようとするのではないかという杞憂が弁護団を含めてあったのは事実だ。だが、安藤さんの報告にもあるように、裁判長の方から、3点にわたる求釈明が原告(市東さん)、被告(空港会社)双方に出され、弁論の機会が保障された。
 
これは、これまで反対同盟、弁護団が長年、多くの裁判闘争の中で、一歩も引くことなく「裁判には勝っていても、判決で負ける」と北原鉱治事務局長がことあるごとに触れていた現実をはね返し、とりわけ農地法裁判、耕作権裁判、あるいはヤグラ裁判などで闘いぬいてきていることによって勝ち取られたことだと言えるのではないだろうか。
 こ
の日、弁護団は次の三点を軸に訴状として裁判所に提出し、この日の弁論を行った。
 第一点は、空港会社、国が平行滑走路の建設に対してあらゆる意味で強制手続きはとらないと約束していた「公的約束」を反故にすることは許されないということである。
 
第二点は、東京高裁の小林裁判長による判決は、当事者である市東さんの意見陳述を許さなかったばかりか、「裁判官忌避」を最高裁で争っている最中に、それを無視して出されたという点で「公正を妨げる」ものであり許されない。
 
第三点は、最高裁判決後、空港会社は「離作補償」を弁済、供託のいずれにしろ取り組もうとせず、「(強制)収用後でもいいのだ」と開き直っているが、これは市東さんが「補償を受ける意志があるか否か」に関わらず、財産権の保障を定めた憲法に違反する。裁判長による求釈明はこの問題を軸に出されている。

 もちろん予断は許されず、楽観的な事態がほとんど見込めないのが現状であることには変わりがない。それが国策とたたかう三里塚闘争の現実であろう。しかし、あの成田治安法という悪法によって天神峰現闘本部撤去の攻撃に対する「異議裁判」の申し立てが門前払いにされた経験をもつ三里塚闘争にとって、たたかいによってこじあけられた地点としてこの日の法廷を見ることができるのではないだろうか。報告会で、弁護団からの意見にもあったように、私たちはどんな小さなことでもこじ開けていく、それがもっとも大切な確認点ではないだろうか。

 2・12「国策とたたかう農民・農地を守ろう!アベ政治を許さない!」集会で確認されたように、このような在り方が、三里塚はもとより、沖縄、福島のたたかいを「安倍打倒」に向けて進めていく上で求められているだろう。そして獲得された時間の中で、三里塚を、市東さんの農地問題をあらためて広く訴え、多くの人々の耳目を集めるたたかいとしようではないか。

 まずは、3・26成田市での全国集会に集まろう! 
                  関実事務局 松原康彦

 

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