耕作権裁判報告会での葉山弁護士からの説明
1月30日の耕作権裁判の報告会で、葉山岳夫弁護士から、現在の裁判の争点について解りやすく説明が行われたので、掲載します(一部省略)。
「偽造問題」で大きく前進
傍聴闘争参加、ありがとうございます。こういう闘争で、内田裁判長も、こちら側の言い分をある程度聞くという状況です。引き続きよろしくお願いいたします。
今日、こちら側で提出したものは、準備書面の30と31、少し前に提出していた乙122号証。この陳述書は、昔、三里塚の現闘で、今は動労千葉の会館の管理をしている千葉さんが書いている。去年12月に受けとったものです。
その陳述書によると、成田用水反対闘争がありましたね。1984年からですが、その中で、市東(東市)さんが、翌年85年7月21日に反対集会の中で決意表明をしたが、終わって会場に残っていたが、その時にお医者さんのAさんに、「どうも舌がもつれて、旨く発言できなかった」「しゃべろうとしてことばがでてこなかった」とを話していた。これはおかしいということで、翌7月22日に、千葉県の救急医療センターで医者のSさんに診てもらった。CTスキャンを撮ったが軽い脳梗塞だった。右手、右足が不自由ということ。リハビリということで、千葉県立の千葉県リハビリステーションセンターで治療を週一回受けて、その時に千葉さんが市東さんを送り届けていた。
それが85年の12月まで続いた。後は、自然に治って行くのを見守るということになった。回復したわけではなく、右手の痺れとか、右足が若干しびれるというのが残った。ことばは、市東流でとつとつと話すという、おなじみな状況がずっと続いた。
1999年の1月に亡くなったが、それまで元気に活動していた。
法廷で85年12月に二期工事差止め請求訴訟の時に、市東さんの本人尋問を行った。その時に宣誓書に自分の署名捺印をする。その署名捺印した書面、これは市東東市と書いている。これがしっかり自分の特徴を残してるが、ややぎこちない筆跡だ。
「どうしてかな」と、2、3年前にも孝雄さんにも聞いたが、「確か軽い脳梗塞をやったことがある」ということだった。問題はそれがいつだったかということです。(賃借地境界確認書の日付)1988年の4月11日以前に起こったとすると、その4月11日の書証、きれいな字で書いてあるんですが、それは誰が書いたんだという話しになる。
問題は「それが何時だ」ということだったが、千葉氏がはっきり思い出してくれた。芝山町菱田の山の斜面を切り拓いて作った集会場での発言、終わったあとで発症を確認したという状況です。それがはっきりして、陳述書を書いてくれた。
この宣誓書の筆跡に比べると、偽造された(賃借地境界確認書の)署名、捺印は、凄い達筆で書いてる。達筆というか、力強い運筆。乱暴な運筆です。こういうものがその4ヶ月以前の宣誓書の少しぎこちない書面とくらべると、そんなものが書けるような状態ではないことは、根本鑑定の中でも、病状については知らないままに、初めの宣誓書を書いた人が、こんな文字を書けるわけがないと言っている。
それで、これに関連する書証を出せと提出命令をかけたのですが、これはNAAの方ではいっさい出さない。そもそも、同意書、賃借地境界確認書、そのフォーマットというか書式は、NAAが書いたことは間違いないわけです。NAAが書いて、その中に「市東東市」と何者かが書き入れたわけですよ。そのNAAが書いたフォーマットすらも誰がやったのかはっきりさせないという状況なんで、これはとんでもないことだと思っている。
そういう意味で、甲8、甲9の偽造説ということは、さらに一歩進めた。これが準備書面30の趣旨です。
準備書面31について。空港会社側の書証で、もともとの賃借地が「41-8」と隣の「A」という土地については、NAA(空港公団)自体が収用委員会等に出した書証等によって、明らかなわけです。従って、こちらの主張が前面にでてきて訴訟の主張が通りそうだという状況になってきている段階だと思う。予断は許されないが、確信をもって次のことが言える。NAAは、同意書、確認書をあくまでこれを正式に書いたもの、親筆だと前提にするわけです。その上で、その同意書、賃借地境界確認書の中の、地主の方の希望する土地について耕作地を動かすということについては同意をすると書いてある。それを盾にとって、同意書、境界確認書で、「どこでもいい」と言ったんだから、「41-8」「41-9」でいいではないか、という居直りを言いだした。
それはとんでもないことで、それに反論した。それが、前から反論しているのをもう一度詳しく反論し、求釈明をした準備書面31です。
甲8の同意書と、甲9の賃借地境界確認書の信憑性、偽造か否かということが、あらためて争点化した。その点についてはこちらが決定的に押している状況です。
あらゆる努力をして、いろんな書証について、さらに立証を固めて偽造を暴き出そうと思っています。
そういう意味で裁判としては、この偽造問題で大きく前進して、この裁判に勝利するという可能性がさらに増えてきた。一層のご協力をお願いします。
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