« 今週の産直野菜 (9月17日) | トップページ | 今週の産直野菜 (9月24日) »

2016年9月21日 (水)

臨時国会でのTPP批准を許すな!

 安倍は、この臨時国会で焦点となると思われていた「共謀罪」を先日、先送りすると発表した。そうすると、もう一つの焦点とされていたTPPの国会批准と関連法をこの臨時国会でなにがなんでも通そうとしているのだという意思表示ではないのか。こう思ったのは、私ひとりではないだろう。

 臨時国会は、926日から始まり、まず補正予算の審議が10月第3週の頭までであろうと言われている。それでは、TPPの批准と関連法案の審議の特別委員会は、その第3週の後半から衆議院の審議が始まり、関連法案の参議院の審議を11月末(国会期日が延長されても、せいぜい12月初旬までと言われている)に終えるためには、衆議院の審議が10月末から11月初旬までとなる。批准の方は条約と同じで参議院の審議が必要なく、衆議院の採決があれば30日で自動成立する。

 先の通常国会で、関連資料が黒塗りででてきて、国会審議ができないと批判を受け、まともな論議がされないまま今回の臨時国会に送られてきているが、安倍政権は、参議院選挙の「大勝」を受け、まともな審議を行うことなく、黒塗りの資料のまま(つまり内容を隠したまま)この臨時国会で強行採決を行い批准しようとしている恐れがある。アメリカの大統領選挙で「TPP反対」が両候補の争点隠しとして行われているだけに、安倍の「イニシャティブ」志向によって強行される恐れがある。この2年といわれる期限までにアメリカの批准が行われなくとも、その大枠は日米のFTAとしていかされる恐れがあるという指摘があり、安倍、甘利の批准への衝動は非常に強いと思われる。

 私たちの国の枠組みが壊されるといわれる、多くのこの国に住む人々のくらしと権利を放り出し、多国籍企業、大資本のための枠組みが作られるTPPを批准するということは、絶対にあってはならない。百歩譲っても、少なくともその内容が 国会審議され、この国に住む人々にわかるように明らかにされなければならない。「非常事態条項」を憲法の中に組み込むような事態が、この臨時国会の中で進もうとしているのだということを危機感をもって捉えなければならない。

 しかし、余りにもTPPへの関心は薄く、盛り上がっていない。

 写真の『アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!』Photoは、この9月に緊急出版された、民主党政権の折の農林水産大臣で、菅直人首相(当時)のTPP参加表明で辞任した山田正彦さんの著書です。なかなか読みごたえのある内容です。TPPに関してはそれなりに調べ、関連する文献を読んでいた私ですが、読みながら背筋が寒くなるような想いを何度もしながら読み終えた。

 その中に引用だがこんな一節がある。「ノーベル経済学賞を受賞したコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授も“TPPは自由貿易ではない、そうであれば4行で足りるはずで、グローバル企業のロビイストたちが書き上げた世界の富を支配しようとする管理貿易協定だ”と述べている」。(同書257頁)

 TPPについて農業はもちろん医療や医療保険、公共工事の受注、ISD条項などあまりにも多くのことがあり、ここで云々することは控えたいが、一つだけ、少し長いが引用しておこう。

 「日本の原発事故を目のあたりにして、原発推進国だったドイツは20116月、2022年までに国内にある17基の原子力発電を止めて、太陽光や風力発電など再生可能エネルギーに政策を転換すると発表した。/ ところがそれによってスウェーデンの大手電力会社バッテンファル社がこれまでのビジネスとして期待していた利益が損なわれたとして、38億ドル、日本円に換算して約4000億円の損害賠償をISD条項で求めている。 / 今回、日本もTPP協定に署名したことによって、これからの原子力政策を転換するとしたらISD条項によって米国のウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニーなどから期待していた利益を失ったとして、莫大な損害賠償を求められる恐れがある」(同書265頁)。

「再稼働反対、全ての原発廃炉などとんでもないよ」ということなのだ。どうする?

|

« 今週の産直野菜 (9月17日) | トップページ | 今週の産直野菜 (9月24日) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事