3・4、3・29を闘いぬいて (実行委ニュースより転載)
3月4日、東京高裁小林裁判長は、市東孝雄さんの農地に係る農地裁判の審理の終結を突然宣言し、裁判を結審させ、農地取り上げに向けた判決強行への意志をあからさまに示しました。断じて許されません。
この不当極まる訴訟指揮に対して、ただちに行われた「裁判官忌避」は、高裁、最高裁によって「国家意志」として却下されました。市東さんの農地をめぐって、今、私たちは、三里塚闘争が重大な局面にあることを確認しなければなりません。
市東さんへの農地強奪を許すな
3・29全国闘争で、市東さんは、「農地を守る闘い。農地は私にとって命であります。その命を守るためにも、みなさんの力をお借りして、天神峰でできるかぎり有機農業をやっていきたいと思います」と訴えられました。農地取り上げのための判決=農地収用を許さない広範な市民の声を、「3万人農地署名」をテコに獲得し、再度「霞が関に攻め上る」闘いをやりぬきましょう。
2年近く法廷が開かれなかった農地裁判と対の「耕作権裁判」がいよいよ6月15日から再開されます。成田空港会社(NAA)は、東京高裁による文書提出命令を拒否し続けています。これは偽証という決定的な自らの破たんをもみ消そうとする許し難い開き直りです。この悪あがきを許さず、市東さんの農地を守る重大な闘いとして耕作権裁判を闘いぬくことが求められています。判決=農地収用攻撃と共に新たな段階に入った市東さんの農地を守る闘いに全力で取り組みましょう。
そもそも親子三代、90年を超えて耕されてきた農地を、本来、農地と耕作者の権利を守るために制定された農地法を用いて農地を奪う=収用するというこの悪らつな攻撃は、1961年以来の自民党農政による農業破壊、農地収奪の流れのなかにありました。しかし、今や、安倍政権のもとで新自由主義による人民収奪の攻撃としてのTPP攻撃の重要な突破口として取り組まれているのだということを決定的に重視しなければなりません。ここに市東さんの農地をめぐる闘いの広範な人民による取り組みが行われなければならない最大の根拠があります。「オール沖縄」の闘いに学びながら、人民、大衆の中に「市東さんの農地を守ろう」と大胆に入っていきましょう。(右上新聞は、TPPの「日米妥結キャンぺーん」を連日報道する朝日新聞より転載。2015年4月20日記事)
24時間化、第3滑走路攻撃に怒りの反撃を
新自由主義、多国籍企業によって「中国・アジアが今後の最大の市場」とされようとしています。アメリカ依存一辺倒の安倍政権は「アベノミクス」に「うつつをぬかしている」間に、そのことに対応しきれず右往左往しています。アジアインフラ投資銀行(AIIB)への対応が何よりもそのことを物語っています。第一次安倍内閣の時に、「アジアゲートウエイ構想」によってこうした事態に立ち遅れていることを認識しながら、今にいたるも何一つ有効な対応をしてこれませんでした。
第一次安倍政権が、その「構想」の中で打ち出していたのが、農政における「担い手農業」「規模拡大」路線と「ヒト・モノ・カネ」の流れを作るとして「首都圏空港容量拡大」路線でした。羽田空港の拡張が行われているものの、首都圏一極集中をになう巨大な国内線を削ることはできず、国際線規模はいまだにわずか年間10万回ができるかどうかにすぎません。成田空港は、供用時間の延長や暫定滑走路の延伸など住民生活を無視して空港容量の拡大を行おうとするものの、未だに年間25万回を達することもできません。あわせても35万回。これでは年間40万回、50万回の規模をもちながら余力を残す、韓国、中国、シンガポールなどアジア各国の巨大ハブ空港との競争に到底太刀打ちできません。焦る安倍政権は、TPPへの加入と成田空港の拡張に前のめりに進もうとしているのです。それが市東さんの農地収用に向けた攻撃であり、成田空港の24時間化と第3滑走路建設計画なのです。
成田空港の「LCCへの特化」や、ここへきての便数減少の厳しい現実などを取り上げて、「展望のない成田空港」といった論がありますが、簡単に述べたように、現在のアジアにおける空港間競争とAIIBを焦点としたアジアにおける競争の激化のなかで、そのことは日本がその位置からずり落ち始めていることを示すものだといって過言ではありません。しかし、それだけに安倍政権、日本の巨大資本の焦りもまた凄まじく、狂暴になっているのだと見るべきではないでしょうか。少なくとも安倍政権にとって「羽田・成田の空港間競争」などとマスコミ好みのお喋りをして済ませるような状況ではないはずです。
しかし、そうであればこそ、成田空港の拡張・容量拡大の攻撃は、市東さんをはじめとした周辺農民・住民にとって、くらしといのちを守る上で絶対に相容れない攻撃です。大阪空港の深刻な騒音被害問題から航空機の夜間騒音による住民生活への影響を見過ごせないとして確立された「朝6時から夜10時まで」という内陸空港の供用時間のぎりぎりの設定を、成田空港では取り外そうとし、すでに午後11時までの供用を地域住民に強制しています。それは必然的に便数の増加とともに、深刻な騒音被害の現実を生み、昨年12月に開かれた「市東さんの会」主催のシンポジウムで明らかにされたように、成田空港周辺の住民の人格権、生存権が犯される状況となっています。
生存権を守るために安倍とたたかおう
それを今、安倍政権は、裁判で市東さんの農地を強奪することでその追いつめられた「国策」を地域住民に示し、空港利権にあずかる成田市行政や千葉県財界の「空港城下町」のキャンペーンのもとに地域住民を孤立させ、黙らせ押しつけようとしているのです。こんなことがどうして許されるでしょうか。
これは正に、集団的自衛権の行使、特定秘密保護法の運用などを通して、憲法を改悪し、戦争のできる国に変えて行こうとする中に人民、大衆を引きずり込もうとする悪らつな攻撃の一環といえるのではないでしょうか。
私たちは、市東さんの農地を守る闘いの中から、TPPに反対し、成田空港の24時間化、第3滑走路建設に向けた拡張・容量拡大の攻撃を決定的に重視して反対するたたかう陣形を作っていきましょう。
すでに3・29集会で提起された10・11三里塚現地全国集会、来春3月成田・栗山公園での全国集会を成功させる中から、新しい三里塚陣形を作っていきましょう。そして「オール沖縄」の陣形で辺野古新基地建設を阻止しようとする沖縄のみなさんの闘い、そして福島を軸に再稼働反対・すべての原発を廃炉にという闘いとともに、安倍政権の戦争政策を打ち破りましょう。
(事務局 松原康彦)
関実会報・『実行委ニュース』第152号より転載)
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