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2013年10月 3日 (木)

国策による農地取り上げを許すな

 東灘区住民の会『おしらせ』第91号が発行されました。その巻頭言を転載します。

農地裁判 7・29反動判決を弾劾する!
国策による農地取り上げを許すな

 先日7月29日、千葉地裁裁判長多見谷は、行政訴訟・農地法裁判(併合審理)で、市東孝雄さんが耕作している畑と農業を進める上で最も重要な施設である作業場、あわせて1.3ヘクタールを取り上げる反動判決を強行しました。
 裁判長多見谷の主観的思いがどこにあろうと、この反動判決は、安倍政権が進める超反動的な国策に追随するものでしかありません。断じて許されません。

 破綻の淵にある日本

 「超反動的な国策」とは何か。アベノミクスで幻想をふりまきながら、迫った臨時国会での「秘密保護法」、憲法違反の集団的自衛権をめぐる論議、来春4月の消費税増税、企業への減税、生活保護などの諸施策の改悪、改(壊)憲策動などなど、そしてTPP参加。
 13102それは破綻しつつも巨大帝国として暴虐の限りをつくして生き延びようとあがくアメリカとともに、新自由主義政策の下、1%の巨大資本、多国籍企業の生き残りにすべてを投入しようとする政治です。先進国の99%の人々、さらには世界の圧倒的な人々にとって「生きていくことすらできない」時代を呼び寄せる政治です。
 日本は世界第3位の経済大国でありながら、海洋運輸においては、中国、韓国などに圧倒的な差をつけられ、もはや取り戻すすべもない位置にあります。「ヒト、モノ、カネ」の流れという新自由主義、多国籍企業の生き残りの上で絶対的条件としての物流の問題で重大な欠陥を日本はもってます。この上、航空運輸でずるずると後退することは、とても許容できることではないという、破綻の淵に日本は立っています。
 国内的には、累進課税を弱体化して富める人々を優遇し、企業減税によって大企業保護に走ってきたことが巨大な赤字体質を生んできました。それを今、放置したまま消費税の増税、生活保護などの福祉の切り捨て、しかも、企業に対する更なる減税で対応しようとすることにその破綻が何よりも示されています。
 それが、農地法で市東さんの農地を取り上げ成田空港の拡張へと何の展望もないまま進むという破天荒な違法行為を裁判長多見谷に強制したこの国の現状を端的に示す核心です。
 よく「羽田空港との空港間競争に負けていることに焦って蠢いている」と言われますが、そんな低レベルの問題ではないのです。「国策との闘い」と言うのならば、その矮小な論議の誤りに気づくべきでしょう。
 そういう意味では50年前から「農地取り上げ」と闘ってきたとは言え、事態は明らかに隔絶的な局面に入り、まったく新たな段階に入っているということを私たち自身が見据え、かけられた攻撃に立ち向かっていかなければならないでしょう。

 TPPこそ悪の根源

 TPPが進められれば、それは輸入による日本農業の破壊へと進むことは確実です。しかし、事態はそんな生易しいことではなく、ISDS条項(投資家と国家の紛争解決条項)を振りかざして、日本のあらゆる規制をとっぱらい、多国籍大企業がほしいままに日本の、アジアの市場を食い漁る事態を生むことになります。改悪された農地法による「農地の集約」は、TPPによって簡単に財として転売され、農地は失われていくことにしかなりません。TPPとはそういう問題なのです。「物流の基盤として空港」を確保しようとする流れは、安倍政権が必死に参加を求めるTPPの攻撃と正に一体のものなのです。だから三里塚の闘いが「TPP反対」の最先頭であり、一体の闘いでありうるのです。
 「羽田との空港間競争」などという論議は、この三里塚闘争とTPP反対との一体という中味を換骨奪胎するものでしかなく、三里塚闘争の展望を失うものです。
 三里塚の闘いが、現下の沖縄の闘い、福島の被害者の闘い、そして全ての国策に反対する闘いとともに存在するだけでなく、三里塚闘争50年の反権力・反戦の砦と言われ続けてきた真髄が今正に問われています。
 農地を守るとはいったい何を意味しているのか。何よりそれは、人々が地域の中で暮らしを守る源です。同時に「農業の生産性」を理由に切り捨てていく論理こそ、私たちのくらしを破壊し格差社会を生み出してきた根源でもあるのです。これが今、TPPの攻撃を食い破るかどうかをかけた非常に大きな意味をもった課題となっています。
 三里塚の闘いを北総の大地と地域に新たにしっかりと根付かせることが今こそ問われています。大庭伸介さんが『レフト』の中で地域合同労組の闘い方として「地域社会を人民支配の場から社会変革の砦にするために闘い抜く」(同書97頁)ことを指摘しておられますが、「反戦・反権力の砦」と言われてきた三里塚こそが萩原さん、市東さんのあり方を軸に地域で、そういう闘いを実現しうるのではないでしょうか。そうした闘いの中から、はじめて福島や沖縄と共に歩む一大大衆運動として前進していくことができるのではないでしょうか。そうできる根拠は十分にあります。
               (東灘区住民の会事務局長 松原康彦)

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