
3・17三里塚関西集会で、三里塚の市東孝雄さんに松野尾かおるさん(風をおこす女の会)が35分近くインタビューを行いました。質問は要約し、市東さんの答えは出来るだけそのままに。文責は管理人にあります。
【質問】お忙しい中、ありがとうございます。
【市東】どうも。市東孝雄です。よろしくお願いいたします。
【質問】年間50品目くらい作っておられるそうですが、昨年以来天候不順だったようですがいかがですか。
【市東】春先、6月、7月頃まではずいぶんいい状態だったのですが、その後の7月~9月ですか長雨と乾燥で、作物に痛みとかなんとかがでました。その後9月から乾燥状態が続きましたんで、種が撒けなかったんですよね。ですから普段より遅れて種をまいたんです。そしたら大寒波がこんど襲ってきまして、この中にも野菜をとっていただいている方が沢山おられると思います。自分たちも産直を初めて24、5年になりますけれども、聖護院大根と三浦大根ですね、今までは三浦大根、持ち運ぶのが大変なくらい大きかった。ですけど今年は、2本で1本分だとか、聖護院だったら3個で1個分。そいうような状態で送らざるをえなかったですね。
今年は本当に天候不順で、一日のうちでも10何度違う。人間でも大変なのにあんな小さな植物はもっと大変だなと思いました。
【質問】第3誘導路が先日7日に供用開始され左の写真(毎日新聞より転載)に見られるように
完全に空港の中に市東さんの御宅と作業場や畑などが囲まれたのですが、どんな感じですか。
【市東さん】まあ、騒音の場合は今までは旧の誘導路の場合には、離れのほうが圧力を受けてたんです。そんなには感じなかったんですが、うちの前にあった団結街道が閉鎖されました。そのところに作った第3誘導路が、正面をむいていって流れていく。その分だけうるさくなった。あとは北へ登るときはギンギン、ギンギンと振動とか今までに増して続いています。
【質問】年間の離着陸回数を22万回だったものを今年は27万回、来年には30万回、規制時間の緩和などを行おうとしているようですが。
【市東さん】2500メートル滑走路に誘導路3本などというのはおかしいんですよ。そしてただ追い出したいために第3誘導路を作ったんですが、2本目を200億かけて東峰部落の分断を謀って作ったんですが、3本目を作ったからもうそれはいらないと。そんな無責任なね。自分たちが税金を使って作ったものを、モノを捨てるようなそういうやり方というのは、傲慢なやり方がね絶対に許せない。空港会社がほんとうに何を考えているのか、怒りに耐えない。
【質問】市東さんの農地を取り上げる農地裁判で、先日2月18日、4時間にわたる証言をされたと聞きましたが・・・。
【市東さん】まず、この農地は100年、誰に文句も言われず耕してきたわけですね。そのことを言ったのと、その後、空港会社のいろんな違法とかペテン、そういうものを、例えば旧地主から15年前に買ってあったのに「2003年に初めて底地を買ったんだ」と、だからそこを出て行けと。それから「不法耕作」というんですが、私の家では一切耕したことのないものを、そこを私が不法に耕作していると、新聞を通して「反対派の農家の不法耕作」と、そういうことを言ったのに、この間の裁判では空港会社が僕が使っていないとみとめたんです。そしたらその後、空港会社は自分たちで「使っていない」と放棄したから、放棄したんなら名誉毀損などといくらでもこちらは文句付けられるんですけれども、それが一切何もできない、よくわかんないのですよね。おかしな話だ。
それと親爺の「確認書」「同意書」ですよね。鑑定士さんに頼んだんですが、関西で小学校の榊原という子どもを殺した事件がありましたね、その時に鑑定した人がうちの親爺の鑑定をしたんですね。そしたらこれは結局、偽造だと。普通だったらそれは大問題ですよね。それも一切、説明もしないし、後はみんな裁判長の方に助けを求める、そいうやり方ですよね。
そういうデタラメをやっていても裁判は進んでいく。そういう状況です。
【質問】どの裁判も結論は、国・空港会社の言うとおりですすんでいるんですね。
【市東さん】そのとおりです。
【質問】4時間という裁判所での証言は疲れたでしょう。
【市東さん】いやぁ、疲れたとうほどではなかったです。
ただ、言っているうちに同じことが繰り返し繰り返し頭に登ってくるんですよね。「あ、またいわなきゃならない」と怒りがこみ上げてきて、終わってみたら4時間、てな感じでしたね。
【質問】農業のことから、そういったデタラメなやりかたについてなど思いのたけを話されたようですが。
【市東さん】そうですね。農地法で農地をとるなんてことは、普通考えられないですよ。だから、もともと土地収用法が失効して、それでもう土地は取られないんだと、それで親爺の後を継いでやるということになったんですよね(左写真は、孝夫さんのお父さんの市東東市(とういち)さん。)
そしたら今度は農地法を悪用するというか、それで農民から、そこで畑を耕している人間を相手にするなどというのはね、そういうやり方は絶対に許しません。
【質問】農民が農民として生きる、そういう農民を切り捨てるというやり方が最初っから続いていますね。
【市東さん】そうです。行政の方もそうなんですね。成田市農業委員会の方は、書類さえそろえばもうフリーパスだ。空港とは共存共栄だから、評価もしなかれば何もしない。ただ、隣の部落の方から反対意見が出た。「これ、どう考えてもおかしい」と。「話し合いをして、あくまでも合意をするようにしてください」と付帯事項をつけたんです。ですけども、それをそのまま千葉県農業会議にあげちゃった。ですから、今度は千葉県農業会議は審査一切なしですね。それで、知事の方に上げて、知事から許可決定をとったと。ですから国も県も市もすべてグルです。そういう攻撃をかけてきました。
【質問】2月20日に、裁判所が「公示」をベタベタ無断で貼って回った事件ですが。
【市東さん】
本来であれば裁判が始まってすぐにやるべき問題らしいんですね。ですけど、もう6年裁判をしてて、そろそろ結審ということで、向こうもこれでは強制執行をかけても取れないと、それで急遽付けたような感じですね。
何といっても土地は借りてるんですから「それは認めます」というのはいいですよね。しかし、トイレの中から、離れの中、それから鶏小屋、ハウス、在庫をおくトレーラーの中にも、勝手に貼っていったんですよ。それで、執行官が朝、6時頃来たんですかね。7時頃、戸をトントンと叩いて僕がいるのを確かめたと向こうは言うんですけれども、それも定かじゃないんですよ。ですからこれも全部ことが終わっちゃってから、トントンと叩いて「あ、今日はいないな」と思って帰った。そういうようなやり方なんですね。
ですから、今更ながらですが、いつもそうそいうことで三里塚はやられてきました。なんで、自分の所有物が、確かに土地の上には立っていますが、取られるのか。普通だったら勝手に入っちゃいけないですよね。不法侵入ですよね。ですからそういうやり方しかできない今の敵の焦りというのが見えていますね。
【質問】これは強制執行するための手段なのですね。
【市東さん】そうです。これは経産省のテントにも同じものが貼られました。文言は同じみたいですね。
【質問】最終弁論が27日にあって、夏前くらいに判決?
【市東さん】6月か7月が判決だと思います。
【質問】三里塚では仮執行を付けて上級審に行かないで強制執行するというのがあるんですが、これはそのために慌ててやった?
【市東さん】ただ、千葉でそうだせるかどうか。
現闘本部もそうでしたけれども、あの悪い仲戸川が出せなかった。ですけど高裁にいったら何の対応もなしに、あれ(強制撤去)は朝の3時ですよね(左写真は午前4時段階)。暗いときに来て、一気に壊し始めた。
まあ、恐らく今回もまたそういうやりかたしかできないと思うんですよね。
【質問】そういうことをさせるかどうかも、裁判の中の力関係で決まるのですよね。
【市東さん】そうです。この間、皆さんの力で、傍聴闘争でも裁判所の包囲、大勢の人がやってくれていますので、裁判所が少しでもそのことに気がつく、その時には流れも変わってくると思うのですけれども。
結局、国家権力のやることというのは、やっぱりいいようには転ばないと思いますよ。
【質問】金城さんがさっき言っていたようにあきらめるかどうかが勝負どころで、結論が予想できるからといって手を緩めるということではないですよね。
【市東さん】帰ってきた時、ここで親爺の後を継いでやると覚悟を決めた時、今さら別に向こうがどう出てこようがそれは関係ないです。それで、弾圧という問題がありましたけれども、僕も2回捕まりました。ですけど自分がやっていることは正しいと思って頑張っていると、捕まって拘置所に入れられていても、日にちがすぎると「もうここには無駄な時間を過ごしていたくない」という気持ちはありますけれども、余計にパワーが湧いてくるというか、そういうことはあります。
【質問】LCC(格安航空)の導入などから空港を拡張しようと取香などでうごきがあるそうですが。
【市東さん】それは、GSE/ULD(航空機支援特殊車輌)置き場などの設備を作るために拡げている。裁判で自分の畑のところで、その設備を作るんだと。裁判所の方から空港会社の方に抜けているところがあるので、これはどうするんですかと、裁判所自体がやってきた。
どんどん広げて、すべて空港の中に取り込んで、そこに居る者は排除と、それはもう目に見えています。
【質問】誘導路を作ったり無理やり動かしている、取り繕うために強権発動をする、そういうやり方ですよね。
【市東さん】
そうなんです。ですから色んな面で「話し合い」だとか言いますけれども、「話し合い」じゃなくて出ていくことに対する補償だとかが向こうの言う「話し合い」なのです。ですから自分たちは補償だとかそんなことを望んでいるわけではない。そこでいかに農家をやって、昔からの土地に住んでいたいんだと、そういうことを言ってるんですけれど、何かあると「話し合い」「話し合い」と。ですけど、協議している裏では工事がどんどんどんどん進んでいく。もう第3誘導路もできましたけれども、ですから「話し合い」なんてのはほんとに「飴と鞭」の使い方で、もうそういう妥協すれば向こうはしめたもので、自分のように反対しているものには、最後は国家権力をもってどかっとくる。そういう方法しかない。今の空港会社の焦りがどんどん出てきていますよ。
ですから、もう拡張しなければ成田空港はもたないと、地盤沈下だということですね。むこうも焦っていると思います。
【質問】もう時間がなくなってきて、沖縄に行かれたのですが、いつ行かれたのですか。
【市東さん】4年前ですね。4月25日の県民大会ですね。
【質問】沖縄に初めて行かれて、どう?
【市東さん】僕は、綺麗なところで、住民の方もやさしい、そういうところだなというような認識しかなかった、最初はね。空港から読谷の方へ行きました。途中でいいところは全部基地なんですね。読谷からちょっと行くと畑がありますので見たときに、なんで農家の人がここまで追いやられなければならないんだと、そういう想いがものすごく強く感じました。畑でさつまいもを植えていましたけれども、ポンポンポンポン投げているんですよね。何をしているのかなと思ったら、後ろに山のように石(サンゴ礁の死骸)が積まれてるんです。あれを見た時にこれは大変だなと思いましたね。
【質問】3・11以降は何回か福島に行かれ交流しておられますが。
【市東さん】福島で農民会議というのを作りまして、今回も11日に行ってきました。福島の人に聞いてみますと、2年経ってもう終わったんだ、復興したんだみたいなキャンペーンが張られていますけれども、目に見えているところだけで、もう全然。ですから赤十字だとか義捐金みたいなものがほんとにどこに消えちゃってるんですかね。自分で直に持っていって渡さないと、ほんとに何に使われているかわからないですよ。ですから復興予算とかありましたけれど、福岡の方で道路工事に使われたとかね、ああいうことがあります。
福島の人たちに聞くと、飯舘の人が農業会議に参加しているんです。そしたらやっぱり原発が起きてね、「この原発を恨む」と言って自殺した人とか、「私は足手まといになるから」と自殺したおばあちゃんとか、そんな話しを聞くとね、やっぱり原発なんかいらない。それじゃなくとも、作ったのは自分たちじゃないでしょ。作る時だけいい顔をして、作ちゃったら後は構わないというそういうようなね、「国策」としての公共性に反対しながらやっていく。生き続けなきゃならないということは大変なことだと思いました。
【質問】沖縄の基地も、原発も、空港も「国策」で同じやり方がされているということですね。
【市東さん】「長いものに巻かれろ」とよく昔から言いますけれども、ですが、「国策」だから何をやってもいい、だからこれに従わなければいけない、そういう考え方を変えないと、今の世の中は変わりませんよ。ですから、言うべきことは言えるような日本人というか、そういう意味で僕も目指していきたい。
【質問】もう時間がなくなって、ほんとはお父さんの市東東市さんのことや、戻ってくる過程の市東さんご自身の気持ちについてもお聞きしたかったんですが、この春から夏にかけての闘いへの気持ち、参加しているみなさんへの呼び掛けなど。
【市東さん】まあ、僕も関西、沖縄、福島に行くんですけれども、やっぱり遠いですよね。これが近くにあったらもっともっと一緒に闘えるという気持ちがあります。ですが、基地としての沖縄と、原発の福島、そして三里塚。国策としてのやりかたは一つです。ですから、東京で17万人ですか、今、日本で憤りを感じている人は一杯いるんですね。攻撃がかかっている三里塚に集っていただきたい。共に闘っていただきたい。それが結局は福島と沖縄、三里塚とその一つの闘いになっていくと思うんです。みなさんの力が発揮できる一番の時だと思います。
3・24三里塚現地へ遠くて大変だと思いますが、一人でも多く来ていただき、3・27も裁判所を包囲して、「ここに三里塚あり」ということを世間に知らしめるような闘いかたをしたいと思います。
ありがとうございました。
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