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2013年2月25日 (月)

市東さんの証言裁判傍聴印象記

 18日の農地裁判に朝から参加された福井のWさんから、「印象記」が届きました。ご本人の了解の下、全文を掲載いたします。

市東さんの証言裁判傍聴印象記

 団塊世代の私は某大学の貧乏学生でしたが、心情的には空港反対でした。
 しかし、友人の活動家たちがファナティックに叫ぶ姿と偏狭を感じさせる言葉の羅列に馴染めず、彼らと一線を画していました。
 そのうえ、当時一万円という危険手当つき日当が貰える魅力に負けて、ガードマンとして成田に行き、学生と対峙したこともあります。
 この成田での記憶を良心の呵責として長年引きずってきましたが、3・11直後、福島での長期ボランティア活動を通じ、権力による人権蹂躙、マスコミの欺瞞を目の当たりにするに及び、黙過することは私自身の犯罪だと気づき、反原発行動をとるに至りました。
 そんな中、大阪の反原発闘争で知己をえたMさんに導かれ、空港反対運動にも身を挺することになり、約四十年ぶりに千葉を訪れるご縁をいただき、積年の胸の支えがとれた思いがします。

 13218裁判は弁護団一人一人テーマに添っての質問に、市東さんが答える形式で進められましたが、市東さんら農民に何の落ち度もない分、権力側の一方的な弾圧の経緯と構図が鮮明に炙り(あぶり)だされたと強く印象づけられました。それと同時に権力に懐柔された側の弱さ・醜さ・おぞましさも裁判の過程で表面化しましたが、大衆の分断を意図的に行使する権力に烈しい憤りを覚える一方、身近な犯罪的行為に無関心で生きる事そのものが、権力の付け入る隙を与えることになり、他者への犯罪に繋がることを我々自身も強く自覚する必要があると思いました。
 空港会社が明け渡しを主張する場所と市東さんが耕し続けてきた場所が違うこと、さらに空港会社が根拠とする唯一の書類が偽造であることが、関係者の言葉や筆跡鑑定で明らかになったこと。
 とりわけ成田空港会社が市東さんの小作地を内緒で地主から買収しておきながら、市東さんに無断で空港会社に売った地主は、市東さんからの小作料を毎年、黙って受け取っていた事実。いわば二重取り詐欺。
 これらの事実は犯罪行為であることは当然ですが、私を驚かせたのは、土地を共に開墾して以来長年にわたる同士的な仲間を、いとも簡単に裏切るという事実です。

 このような事実は、現代社会において枚挙に暇(いとま)がないことからしても、地主と市東さんの関係に留まらず、金権・無関心・黙過などのテーマに添って、現代社会の病巣として我々自身が考え、議論を尽くす問題だと言えるでしょう。

 また、証言の最後に市東さんは裁判長に対し、「裁判長。判決を出す前にぜひ天神峰の地に立ってもらいたい」と語りかけられました。三里塚にとどまらず、福島でも、沖縄でも、今、現場に立ち、現場を知ることこそが正しい政治を作っていく大切な道ではないでしょうか。この一言に本当に感銘を受けながら聴き終えました。

 しかし、何よりも我々日本という民主国家に住む人間として、最大限許されざる行為は、千葉地裁が空港会社の違法の数々を黙認し、「初めに空港ありき」の反民主的な訴訟指揮を行なっていることです。
 この権力による弾圧は、福島棄民問題、沖縄基地問題、反原発活動者の不当逮捕問題とすべてに通底しています。
 今、千葉地裁が上級審の審理を待たない「仮執行宣言」つきの不当判決を下すなら、その事実は正に民主主義の破壊を意味し、日本各地で起こっている問題に多大な悪影響を及ぼすことでしょう。
 故に我々は身を挺して反対しなければならないでしょう。
 市東さんが弁護士の質問に対し胸を張り、的確に、しかも堂々と答える姿には微塵の躊躇もなく、国策に命をかけて立ち向かう覚悟の生に深い共感を覚えました。
 我々は彼を支援する姿勢に留まらず、一体となり全国の闘争と繋がって闘う態度こそ、ほんとうの民主主義を実現する光明と成りうるのでしょう。

(写真は、この日、2月18日の法廷後の報告会での市東孝雄さん)

 

 

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