農地裁判闘争(2月4日)、萩原進さんの証言
一昨日2月4日、千葉地裁で農地裁判が開かれ、昨年11月に引き続いて萩原進さんが4時間近い証言を烈々と行い(前回の証言と併せれば延べ8時間)、国、空港会社の農地強奪、農業破壊を弾劾されました。
法廷に先立って、千葉市中央公園で150名の結集の下、集会とデモが行われました。北原鉱治事務局長がお元気な姿を見せ、国民不在の今の政治を弾劾し「政治を変えなければ日本に未来はない。政治を変えましょうよ」と呼びかけられました。連帯の挨拶を動労千葉と関西実行委員会が行い、支援連4団体が決意を表明しました。
関実からは、反原発を罪とする6名の不当逮捕、起訴、長期勾留の弾圧を糾弾し、前日1000名の反弾圧の集会とデモが行われ、その場でパンフ『農地は私たちの命』150部が完売し、注目を受けたと報告をした。そして今日と2・18の裁判、そして3・7第3誘導路供用開始を許さない闘いから3・24へ、福島・沖縄と一体の闘いとしてこの決戦をやりぬこう。関西は3・17集会を市東さんを招いて開き、3・24三里塚へ総決起すると決意を明らかにしました。
法廷で証言台に立った萩原さんは、先ず前回の証言をまとめる形で2006年に開始された解約手続きの違法性を暴露した上で、2010年、暫定滑走路の北延伸2500メートル化と東側(第2)誘導路によって東峰部落が分断され、上空40メートル飛行による住民への恐怖感を明らかにされました。東峰の森の役割を明らかにされた上で「そこにいること自体が苦痛を強いられる」と想いを語られました。
市東さんの農地をめぐって起こされた今回の成田市農業委員会、千葉県農業会議による解約手続に対し、違法な売買、間違った耕作地の特定、現況などについての現地調査をまともにやらなかったことなどを批判し、「農業委員会として本来受理するべきではなかった」「耕作者と地主との関係を抜きにして進めること自体が問題であり、県知事の許可がいるとかいらないとか以前の問題だ」「ありえないことであり、市東さんに死ねっていうことだ」と弾劾し、「1988年の売買自体が後ろめたいものであることに一切が始まっている」と批判されました。
農地の現況調査として雨の日に来ながら、傘もささず降りて見渡しただけですぐに車に乗って立ち去った。そこに居た本人の市東さんに聞こうともしなかったことなど、成田市農業委員会のあり方を具体的に批判されました。そして「成田市当局が空港問題に関連するものは会社NAAの言いなりだ。住民と成田市そのものを売り渡すものだ」と弾劾されました。
また解約要請の唯一の根拠とも言うべき市東東市さん(孝雄さんのお父さん)が書いたと言われる「同意書」「確認書」について「サインするようなことは有り得ない」と、NAAの偽造、偽証を弾劾された上で、千葉県農業会議が市東さんに何も問い合わせをすることなく(NAAには問い合わせをしている)、何も調べず、しかも小委員会で5人の農業委員から核心的な疑問が出されたのに、その一時間後の総会でそれらを無視して進めた「結論ありき」の認可のやり方を弾劾されました。
そして千葉県知事の認可後行われた農林大臣への知事の処分の違法性を問う審査請求で直ちに却下された経緯と、それが裁判を開始した根拠であることを明らかにした上で、「本来監視する機関としての役割を果たしていないことへの恐ろしさを感じた」と述べられました。
1町歩もの土地を取り上げるというのは、成田闘争の歴史もなかった。大木よねさんの場合、宅地を含めても2000㎡であり、その5倍だと明らかにされ、それを収用法でもできずに農地法でやるというのは「大変な事態だ」とされ、「農業をやろうという農民の想いを踏みにじり、死ねということだ。身震いするようなこんなことが許せるか」と怒りを明らかにされ、多見谷裁判長に向かって「裁判長よ!真正面から人間として向き合え!期待はしませんが、期待しますよ」と激しく迫られました。
市東さんの農地1町6反の6割を取り上げることによって最早農業は続けられないことを明らかにされ、「3代にわたって耕し、30年にわたって育ててきた無農薬・有機農法の土地であり、あらゆる農作物を作れる土地だ。自分の子供のように育ててきた土地なのだ」と市東さんの想いを代弁されました。農民の生活権だけでなく生存権をも奪うものだと。
そもそも関東一豊かな富里に「羽田の代替え空港」としてもってきたことから一切の間違いが始まったと成田空港闘争50年の歴史を語られ、3・11から本当に考えを改めなければならないことが明らかになりながら、国策を振りかざして農地を奪おうとすることに対し、農業こそが国策ではないかと弾劾されました。「土地は本来売り買いするものじゃない。野菜を食べるというのは大地を食べているんだ。大地、土地を大事にしなければならない。こうした農地を50年もやってできないからと取り上げなければならないということは、空港建設が間違いだったということじゃないのか」と問いただされました。
団結街道の廃止、それへの闘いとして取り組まれた5・16闘争の翌日、まだ所有しているわけでもないNAAによる「使用禁止看板」を立てることの違法と、それに抗議した市東さん逮捕への怒りを表明されました。
農民の6割が小作という状況の中で長い闘いの中で勝ち取られてきた農地法、農業委員会というものが解体している状況を明らかにされた上で、農地の問題は、農地を耕す人が主人公であり、これを否定するのは憲法違反だと弾じられました。「農地法で取ること自体が異常だ。とるなら収用法でとりなさいよ」と。
産直運動をやってこられた中での生産者と消費者は一体、同じ立場なんだという想いを明らかにされた上で、もう土地を取り上げられることはないと、市東さんにともに農業をやること勧めた自らの責任といった想いを明らかにされ、「こういうとんでもない事態になり、市東さんに申し訳ない」「市東さんを守ることが、全国の人に、全国の農民につながることだ」とまとめられました。
なんと、萩原さんの証言に圧倒されたのかNAA側の反対尋問もなく法廷は終わりました。法廷の最後に市東さんが立ち、「土地を買収しておきながら秘密にしていたこと、一方的に私を悪者扱いにしてマスコミに報道させたことなど、前回の法廷でNAAに謝罪を求めたが、何の返答もない。許せない」とNAAに対する怒りを明らかにされました。
閉廷後、場所を移し、裁判の報告会が簡単に行われました。市東さんが挨拶をされ、「進さん、ありがとうございました」と言われたのが印象的でした。萩原さんからは、疲れも見せず、18日の市東さんの証言の闘いを、裁判所を包囲する陣形を作り大爆発させようと」先ず提起されました。その上で、この日、成田市や芝山町などが「騒音実態調査」と称して、早朝・深夜の延長、増便による騒音被害への反対の声が起こっていることをなんとかしようとしたり、2月8日、第3誘導路を地元の記者たちに公開することに対し、3月7日の第3誘導路供用開始、農地強奪への政治的動きであると弾劾され、対抗して2月8日、騒音問題などについて反対同盟として記者会見を行い反撃することなどを明らかにされ、3・24にむけ全力の決起を促されました。
(萩原さんと市東さんの写真は、この日の報告会のものです)
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