三重の池の平に村上真平さんを訪ねて
9月16日、三里塚関西集会で萩原さんとともに話してくださった村上真平さんが、三重県津市の池の平で耕作放棄地を開墾されているところを、11月27日、山本先生をはじめ4人で訪ねました。
途中でコンビ弁当でも買って昼食にと話しながら現地に向かったのですが、途中ずっと何もない山道。これは食い逸れるかもと不安になりだした時に、村上さんと待ち合わせ場所にしていたすぐ傍に、105年の歴史を閉じた街道沿いの旅館を、太郎生(たろう)地域での拠点施設として復活した「たろっと三国屋」が見つかり、土地のおばさんたちとの和やかな雰囲気で昼食と休憩ができ、幸先のよいスタートになりました。そこは国道沿いにある中太郎生の集落の中にあります。そこへ村上さんが駆けつけてくださり、さあ、「現地調査」のスタートです。
集落からさらに200メートルほど上がり、高度は620メートル。凄い見晴らしです。最初の写真は開墾している場所から西を向いたもので、正面は北海道の層雲峡のような切り立った倶留尊山(くろそ)、1040メートル。シーズンには尾根を歩く人たちの会話が聞こえてくるとか。山の岩場には風穴があり、そこから吹き出る風は夏でも12℃、昔は氷結も見られたとか。立っている場所は池の平と呼ばれ山も含め一帯は国定公園。東に向いた方角が右上の写真で、ほぼ水平線に朝日の出るときは素晴らしいそうです。右上写真の左奥は湿原で、戦後の開拓前までは池だったそうですが、開拓で水を使って湿原に変わったそうです。上に泥炭層が出来、今は歩けるそうですが、湿原回復運動が取り組まれているそうです。あたりは夏場には、今年で30℃を超えたのは4回、昨年は超えなかったそうで、もともと戦後の開拓で、関西に大根やキャベツ、ほうれん草など夏の高原野菜を出荷して有名だったそうです。しかし、大根を10数年作り続けたことで土が痩せ、徐々にみなさんが耕作を放棄されていったのだそうです。
上のいずれの写真も、約1.6ヘクタールの開墾された跡です。2メートル近い茅(かや)や4メートルはあろうかという自然の桑の木などの潅木が密集していたものをこの9月から切り開かれたそうです。思ったより早くでき、もう80%近くは終ったそうです。後はトラクターで整地をして来春には畑に出来るそうです。斜面や雪のあるところにはブルーベリーやかこう(花?)を植え、広いところは30~40種類の野菜を作りたいと話されました。
土は、三里塚の赤い土と違い真っ黒の火山の溶岩かなにかの跡です。三里塚の土が粘土質なのに比べ、作業はしやすいそうですが、肥料など養分を抱える力は三里塚の土の方があり、ここはすぐ流れてしまうとか。右の写真は、鹿かイノシシの歩いた跡だろうということでした。
来年にはもう少し下にある土地を借りて(この辺り一帯に約30ヘクタールの耕作放棄地)、麦とか大豆を作りたいとも。村上さんのつれいあが飯舘村ではパンを焼き、レストランをしておられた。
子どもさんたち(4人おられます)と何度かテントを張ってキャンプをされたそうですが、夜には鹿がキョンキョンと鳴くのが聞こえるそうです。できれば畑の上の方に子どもたちが体験できるような場所を創り、子どもたちや若い人に来て楽しんで欲しいとも。 この冬は開墾の残された畑の整備と、猿、鹿、イノシシ対策のフェンスづくりだそうです。猿がほんとに多いそうです。来る途中にも大きな猿を目の前で見かけました。もう田んぼは、この畑と少し離れた所に借りて、今年の収穫を終えられたそうです。そのうちの60キロと醤油を東京の小さなお菓子屋に送って無添加のせんべいを作ってもらったそうで、後で、御宅でいただきました。美味しかった。左写真は村上さんと山本先生。
T先生が、「実際の仕事は大変なんでしょうが、見ていると胸が踊ってくる」とたびたび訪ねてもいいだろうかとお願いをしておられました。
畑から車で30分くらいのところにある村上さんの御宅へ。見るからに古い感じの立派な農家です。180年くらい経っているそうで、現在の所有者のお父さんとお祖父さんがこの村の村長さんだったのですが、息子さんが出られたので村上さんが属している愛農会が借り受け、拠点として使っていて、ちょうど管理人が居なくなったので、頼まれて入られたとか。
右写真は、招かれた座敷ですが、村上さんの膝にいるのは、3人目、次女の日那(ひな)ちゃんです。飯館村を出るときにはあかちゃんだったのですが、9月に村上さんが「うちでは子どもたちは放し飼いです」と言っておられましたが、ほんとに屈託のない、相そうのいいお嬢ちゃんです。左写真は、おつれあい(お名前を聞きそこねました。スミマセン)と、この9月に生まれた太朗(たお)ちゃんです。
おつれあいは、「飯舘村に雰囲気がよく似ていて、二人とも一目見て惚れ込んだんです」と語られるとともに、飯舘村で始められたパン作りとレストランが、最初から村の人たちには見向きもされず、誰も来てくれない中で、徐々に人づてに伝わり、雑誌などに紹介されて、東京や仙台など遠くから来てくれるようになって、ようやく10年目に目鼻がついて、暮らして食べていけるかなと思った矢先でした」と、昨年の3・11を思い起こしておられました。
私たちは、再訪をお約束し、お二人の願いが成就することを願いながら、帰路に着きました。
右写真は最後に撮った「ハイ!チーズ」写真です。
この日、ずっと運転してくださったT先生にはほんとに申し訳なかったのですが、なんとそれからT先生宅での大宴会。山本先生の盛り上がったこと。ほんとに楽しい、有意義な一日でした。
なお、来年、2月23日には宝塚で、同24日には神戸で、いずれも村上真平さんを迎えての講演会が準備されています。ぜひ、お集まりください。
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