神戸空港と関西空港の競合
この間スカイマークの増便で伸び続けていた神戸空港の利用客数が、右表にあるように、この5月以来減少をはじめています。ひょっとしたらと思いスカイマークの利用状況を見ると、同じように減少をはじめていました。しかも、搭乗率が、開港(2005年)以来一度も60%を切ったことがない(毎年度平均70%以上)のに初めて5月、6月と50%台に落ち込んでいます。スカイマーク社の採算ラインが、搭乗率70%台と言われているだけに、これは採算割れの深刻な数字です。(数字は神戸市のホームページより引用)
なぜこんなことが起こったのでしょうか。それは関西空港との競合です。この3月に関西空港に本格的なLCC(格安航空)のピーチが就航したことからです。左のグラフは、2012年6月15日付けの神戸新聞から引用したものですが、関西、神戸、伊丹(大阪)の3空港の利用客の合計が昨年度初めて3000万人を割ったという記事でした。関西、伊丹(大阪)の旅客数が落ち込んでいる中で、神戸空港だけ上昇傾向にとも紹介されています。いずれにしろ関西の3空港の需要の規模は、国や財界が言ってきたようなものとはちがい、「3空港もいらない」、取り合いになっている事は衆知の事実です。神戸空港はスカイマーク(一応、LCCと言われる)によって運賃が安い空港として利用客を伸ばしてきました。
しかし、3月に関西空港にLCCピーチが就航したことによって、神戸空港の独自性が失われ、どうなるかなと思われていたところでした。ピーチの就航路線はまだまだ小さく、これから増える予定です。しかも、関西空港には他のLCCであるジェットスタージャパンなどがさらに就航するだけでなく、スカイマーク自身がこのLCC間の競争に割って入るために関西空港に再就航しています。
そうすれば一日の就航便数が30便と制限されている神戸空港の利便性は関西空港にはるかに見劣りしてしまい、競争力を失い、確実に失速します。スカイマークの路線ごとの搭乗率がわかりませんので、明確にはできないのですが、平均で50%台の搭乗率と言うことは、スカイマークとすれば撤退しなければならない路線が生まれているということです。
スカイマークに就航してもらうために、神戸市は条例を無視し、条例で決められた着陸料の4割に値下げをして使ってもらっています。それ自体が、神戸空港の管理収支赤字の原因の一つとなっているのですが、事態はますます深刻になります。2000億円の建設のために借りた借金が、返済がはじまってもほとんど返せない状況にある上に、経営自体がままならないということです。開港以来、私たちが指摘した通り、もはや神戸空港は立ちいかないことが明らかです。神戸市は関西3空港の一体運用に神戸空港の未来を託そうとしていますが、そんな勝手な神戸市や兵庫県の思惑には、国交省も構うつもりもないことをすでに明らかにしています。
神戸市は、こうした事態を市民に明らかにし、神戸空港の存続も含め、市民の意見を問うべきです。廃港しか道はないでしょうが・・・。
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