[長澤] 私、こういう形、初めてなんですけれども。
[市東] ちょっと恥ずかしいですね。
[長澤] ドキドキしてます。よろしくお願いします。
[市東] お願いします。
[長澤] 台本にはないんですが、Fさんについては市東さんご存知?
[市東] ええ。私どもの野菜を福島の方に持っていっていただいて、橋渡しみたいにしてくれたのがFさんです。福島の農民の人が、自分たちが作ったものが食べられないと、そういうことで持っていっていただいて、相当喜んでいただきまして、それからもう9回ぐらいですかね。ですから今回のFさんの逮捕ですか。それはやっぱり驚きました。悪いことをしてないのにね、権力というのは、先程もお話しがありましたように三里塚のような闘いが大きくなると困ると、早いうちに芽を摘み取ろうと、そういうような攻撃が多いんですよね。Fさんの逮捕というのはほんとに許せない。
[長澤] ちょっと話しが変わりますけど、14日に千葉の方でも震度5の地震がありましたよね。それは大丈夫だったんですか。
[市東] ええ。一瞬、あら、きちゃったかなと思ったですね。ずいぶん長かったんですよ。最初ぼんと縦に来て、横に揺れたんですけれど、食器が落ちたりなんかはしなかった。あれ、食器がおちたりしてたらちょっと構えたですけれども。
[長澤] ああ、そうですか。よかったです。去年というのは、3・11の地震もあり、放射能のこともあり、また天候も不順で大変じゃなかったんですか。
[市東] そうですね。先程もDVDでありましたように、放射能汚染ということを切り離しては語れない問題だとは思いますけれども、自分たちも放射線量を測って、野菜出すんで、全部調べて、もし黒だったらともかく灰色でも出さないと萩原さんの方から言われてましたんで、それはしっかり調べてね、こちらの方々にもお送りするようにというような努力はしてきました。
[長澤] ありがとうございます。私らも最初ちょっとその点心配で、港区の方で産直野菜を販売していますけれども、一年間ほど悪かったんですけれども近所への販売をお休みさせていただいてたんです。そうしたお知らせがあったんで、また再開させてもらうということになって、徐々にお客さんも戻ってきてはるんで、調子が良ければまた口数をふやせるかなと。
そういうご苦労もありながら去年、天神峰現闘本部をめぐって、5月20日の高裁の反動判決がり、50名の逮捕ということがあったり、8月6日の本部解体・強制撤去ということがありましたよね。そういう昨年一年の闘いを振り返ってどんなふうに感じておられますか。
[市東] 厳しい一年だったかなと。まあ、そうなんですけれども、やり方がね、前の団結街道封鎖もそうだったんですけれども、「国策」というのなら堂々とやればいいのですよね。それが泥棒猫がやるみたいな、そういうことがこの間起こってるんですよ。それで、自分たちが何かするといったら、逮捕、捕まりますからね。ものものしいですよ。前に20人ぐらいガードマンを立たせて、その後ろに機動隊を置いて、まわりに私服が。そんな状況の中で、そんなに構えなくても、別に大暴れするわけじゃないし、相当、自分たちがやっていることの正義性がないということを露呈しているようなものですね。
[長澤] 自分らがやましいからそういう風になるということですね。
[市東] そうです。
[長澤] また話しが変わりますけれども、一昨年の春から暫定滑走路の供用時間が朝と夜と30分づつ伸びたということなんですけれども、騒音とかいかがですか。
[市東] 慣れということはいけないでしょうけれども、なぜっかって言うと便数が増えったっていう感じが全然ないんですよ。ですから報道で30万回だなんだと言われていますけれども、実際問題、そこまでなるというのはね、相当貨物なんかも落ち込んでますからね、それを繕ったような形でやってるんで、自分でうるさくなったという風には。周りの工事がうるさくなったですがね。
[長澤] 成田空港の使用じたいが原発のこともあって落ち込んでいるということですかね。
[市東] そうですね。羽田が第4ができて、だいぶ向うにもっていかれたというのがありますけれども、震災でアジア系の方々がだいぶ減ってるんですよ。だから成田のホテルがガラガラですよね。そういう関係で落ち込んでいたんですけれども、実際はそれだけじゃないと思うんです。これからもどんどん落ち込んでいくと思いますよ。
[長澤] それだったら第3誘導路とか、別に突貫工事しなくてもよさそうに思うんですけど。
[市東] 結局、反対運動とかそういうものを潰したいということじゃないですか。国策に逆らう者は除外だと。その見せしめみたいな形で。先程もありましたけれども、1本の2500メートルの滑走路に誘導路3つなんていらないんですよ。
[長澤] そうですよね。
[市東] 1つ作って、2つ目というのが、110億円もかけて、東峰の森の木を伐採なんかして作ったんですよね。それでも、東峰の人たちがどかなかった。それで、今度、うちの方をあれしようと思って第3を作ってる。その前に団結街道ですか、成田市が空港会社に売っちゃったんですよ。あの道は自分だけじゃないんですよ。使ってるのは。宅急便だとかいろんな人が、一日150台くらい、細い道路ですけれども使ってたんですよ。それを成田市が安く売っちゃたんですよ。
だから今、成田市は空港との「共存共栄」ですか、今の市長になってそういうことを初めて言いましたよね。空港からの税金なんか結構入ってるんですよね。それでやってたんですけれでも、今は、すべて空港ありきの行政になっちゃったですね。
[長澤] そうですか。この間、市東さんの農地取り上げということで、かなり裁判とか厳しさが増しているように思うんですけれども。
[市東] 一応、口頭弁論が一段落しまして、人証とかそういう形で4月から進むんですよね。ですけど、裁判所自体が、もう空港と一緒ていう感じで。だから進むに連れて怒りがこみ上げてきますよ。絶対に負けたくない。詳しいことは今日、大口先生が見えていますんで後でご報告いただけると思います。
[長澤] この間、先程のDVDにもありましたけれども、福島の子どもたちを芋掘り大会に招いたり、年末は野菜を1トントラックに満載にして届けられたりしていると聞いているんですけれども、3月11日に福島に行かれたんでしたね。どうでしたか。
[市東] 全部で1万6千人くらい集まったんですね。発言した人は福島からあったんですが、市長からのメッセージもあったんですが、もうお座なりな、住民のことを全然考えていないような、ただただ一辺倒なものでしたね。そういう人たちの間に温度差があるのかなという。
途中でコンビニに寄ったんですね。「今日、何かあったんですか」。「県民集会に千葉から来たんですよ」。そしたらそこに勤めているお母さんが「ほんとは私たちが行かなきゃあいけないんだけど」と言ったんですけれども、娘がいるんだそうで、娘が「年になってお嫁に行けるか」って言うんだそうです。そういう風評被害というのか、農作物もそうですけれども、そういう人的な、差別的なね、それが一番恐ろしかったですね。
[長澤] 福島から避難された方に、はじめの頃は、近寄るなみたいなことが。
[市東] そうですね。子どもたちも一緒に遊ばないとかね。
[長澤] 政府がちゃんとしないから。
[市東] そうですよね。ガレキの問題だって、国がやって下におろせばいいものを、下におろしといてさも国がやっているかのような、ああいうやり方しかできないと言うのはほんとに情けないですよね。
[長澤] 東日本の大震災を口実にね、TPPへの参加というのが野田政権によって策動されてるんですけれども、その点についてはどういう。
[市東] 農業が壊滅するという危機感がありますよね。私の場合はみなさんがいますから大丈夫ですけれどもね。
[長澤] そうですね。産直で支えていけたら。
[市東] 今、FTAの中にISD(訴訟条項)というのがあって、それがTPPに持ち込まれると、これがとんでもない話しなんですよね。結局、外国の方よりも国内が優遇されてはいけない。国内でやるとそれを裁判で国が訴えられるんですよね。それで、ダメにするという。今までも、アメリカで、カナダなんかに対して裁判やって、アメリカ(の企業)が負けたことがないんですよね。そういうのが日本に入ってくると、農業だけじゃなくて、医療もそうだし、雇用の問題とか全部がおかしくなってくる。ですから私は絶対反対の立場です。
[長澤] そうですね。さっきも言われたように、医療も保険もね、全部アメリカのいいようにされそうな感じですね。農業は、別にことさらTPPに入らなくても、もう関税自身低いんですよね。
[市東] そうです。関税がなくなったら。もう始まってんじゃないですかね、中国からのおコメが3000円くらいですよね。でしたら、とても日本の農家はやっていけないですよ。ただ安いものを買えばいいと、結局、安いものを買うというのは、そこに勤めている人はそれだけ、安ければ売上も少ないんだから、給料も上がんない。ということで、どんどん悪循環ですよね。
ただ、みんなで勉強してるんですけど、TPPて、難しくてね。政府は全然それを説明しないじゃないですか。TPPは必要ない。
[長澤] 国のやり方を見ていたら、結果が先にあって。
[市東] ほとんどそうですね。自分なんかの裁判とかいろんなものでも「結果ありき」で進んでいるというふうに感じるんです。
[長澤] 最後になるんですけれども、さっきも市東さんの農地を守る沖縄の会からメッセージがあったんですけれども、今年も沖縄に行かれる予定ですか。
[市東] ええ、去年ほど大勢では行けないと思うんですけれども、何人か行く予定になっています。自分も3年連続で行ってるんで、是非、行きたいんですけれども、まだスケジュールの方が。
確かにすごいですよね。成田の空港問題についてもね、あのぐらいのいろんな人の意見が出てくるといいんですけれども。もう国策だということで「反対しているのが悪いんだ」という人が未だにいますから。
[長澤] そうですね。鈴木加代子さんのブログをたまに見せていただくんですけれども、そこにも嫌がらせみたいなコメントが載ったりね。
[市東] 今度の第3誘導路は200億円使うんだったらね、福島の方へ送ったほうがよっぽどいいですよ。義捐金というのが、福島の人たちに聞いてみると、ほとんどあたってないんですよね。どこいっちゃったんですよね。
[長澤] おかしいですよね。義捐金のコマーシャルなんか見るたびに「どこで使こてんの?」
[市東] 自分たちの場合は、一応野菜持っていったとか、カンパを頂いたらそれを持っていって直接おわたししています。ああいう形ならいいんですけれども。こないだの年金機構みたいに、どこにいったか。
[長澤] 最近つくづく思うんですけれども、世の中、作り替えなあかんのとちゃうと。最後に言っておきたいことは。
[市東] 先ほど出ました、3・25全国集会。この間、福島に行って、福島の方々も「私も行きますよ」と言ってくれた。沖縄と関西と福島と、それに三里塚。これがほんとに一つの闘いができるように、みなさん、大変でしょうけれども、来れる方は来ていただきたい。
[長澤] この中からも一人でも多く、お友達も連れて。どうも今日はありがとうございました。
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