10・9三里塚 基調報告 萩原進事務局次長(その1)
本集会、反原発として福島を焦点とする東北住民と強い連隊を求めて、そしてもう一つは、市東さんの土地強奪に見られるようなそういう事態に対して「農地死守」を高らかに宣言して闘う場とするような集会にしたいと思います。そしてもう一つは、今回の震災を逆手にとって11月参加期限を前に急速に高まっております「TPP参加」に対して絶対反対を、集会の名のもとに確認をしたいと思います。
福島の地においては、彼らが作ったところの警戒区域、その中に牛が3500頭、豚が2万頭、鶏が44万羽、これらを放置せざるを得ない状況を醸し出したわけです。この地域から離れたところで死に絶えた牛や豚から放射能が検出されたという形で出荷制限がなされ、あるいは市場に出しても半値にしかならないような状況が醸し出されている。今日、ここに駆けつけた福島の果樹農園の人もしかりです。
明日どうやって営農を続けていくかというところまで追い込まれて、自ら命を絶った人もおります。こういう人たちにほんとに1歩でも2歩でも近づくような闘いを我々はやはり構築しなければならない。
これは福島の地で作られた電力が東京や関東でぬくぬくとその恩恵に与って、その痛さや苦しみをほんとに知らない人。あるいは沖縄の基地の犠牲を文字通り日常の中でも忘れ去って生活をしている我々の姿。このことを今一度ほんとに捉え返す必要があるんじゃないか。
農民は土地を持って、あるいは、牛や豚、果樹を背負ってほかに行くことはできないんですよ。それで、「出荷したらダメだ」、「この牛をこっちに移動したらダメだ」、こんなこと言われたってどうやってやっていけばいいのか。それに飼育している人にしたって、毎日糞尿はでるわけですね。「その糞尿を捨てたらダメだ」。あるいは「絞った乳は出荷できないんだから」。それをどこに捨てるんだ。どうやって処分するんだ。
その地に生きて立った牛や豚や鶏は、殺傷したり、あるいは共食いしたり、飼っていた犬の餌になったり。それを見る飼育してきた農民はどういう心境になるのか。20頭、30頭飼っている酪農家の人はね、1頭、1頭、名前を付けて、それを識別できるように、自らがもう家族の一員として飼っていたそういうものをね、今ここで自らの手によって死に至らしめなければならないという状況を作られたときに、そしてほんとにその人たちが自分で作った原因じゃなくって、降って湧いた人災によって作られた原因の元で、それを強制されるということについて、我々は同じ農民として、このことを許してはいけない。もう、前の集会で言いましたけれど、涙はつき果てた、もう怒りしかない。怒りをほんとに闘いに転嫁して、自分たちの生活、あるいは動物を飼育していく必要があるんだということを我々に突きつけているというふうに思います。
ですから東北の、とりわけ福島の農民、あるいは漁民、そして波によって工場がなくなり、あるいは放射能によってそこに住めなくなり、会社が倒産し操業ができない、あるいは会社経営できないという形で放り投げられた労働者と一緒になって、今、手を取り合って戦わなければならない状況ではないでしょうか。
それを逆手にとって、今、文字通り農業特区とか生産特区とか言われてますが、我々にとって原発とはなんだったんだということをもう一度捉え返す必要がある。ヒロシマ、ナガサキの中で苦しみ、差別され、排外主義のもとに生活を余儀なくされて、我々の闘いが原発の中で大きく挫折し、誘致させたその痛恨の反省の上に立って、今度こそは負けられないわけですよ。ほんとにこれを廃炉にして、それだけじゃない、これを作った奴らに徹底的に責任を負わせる、そして責任をとらせる、そういう闘いを作っていかなきゃあならない。
三里塚の地に何ども訪れた、つい先日亡くなられた坂井留吉さんがね、「原発は人間破壊や放射能製造工場なんだ」と、そういう形で原発を看破しております。やっぱり、彼はその先頭に立って、死ぬまで闘い抜いて、戦い半ばで、今一番高揚しようとする時に亡くなられたその苦しみ・悔しさをね、我々は引き継いでいかなければならないのじゃないか。そのことも今日、訴えたいと思います。
そういう中で、こんにち登場した野田内閣は、単に今までを継承していくだけでは最早できないというかたちで、大反動の渦の中に飛び込んでいくだろう、大反動の政策を打っていくだろう。労働問題についてもそうだ。農業問題についてもそうだ。政治問題についてもそうだ。まさしく、原発問題については再稼働を許し、そして原発輸出についても前向きに検討していかざるをえない。あるいは沖縄の基地については日米共同声明の強化、そして辺野古の推進という形でどんどん推し進めてくるだろう。原発による経済不況の中で大増税を民衆に、国民に押し付けてくる。そういう形できた、そうしなきゃあならんと、そのためには、超反動の政治や体制を階級に対して生み出していかざるを得ない、そういう中にはいってくるのじゃないのか。
それが三里塚の地においても本年度、現れてきているわけですね。3月の後、5月、高裁における50人という大量逮捕。反動逮捕です。そんなことが世の中にあっていいのかという形で、我々があきれるほどの問題ですよね。彼ら自体が言う「想定外」の事態だったという、だけど、もう「想定外」なんてないんですよ。我々の闘いの中で「想定外」なんて絶対にありえないんですよ。ですから、50名の逮捕、あるいは8・6の中での現闘本部の破壊、これはありうると我々は構えて闘い抜いたわけですけれども、やっぱり、こういうことをやらなければ支えきれないということがあるんですね。関西の生コンの大弾圧、闘うものに対して刃をもともっと強くそうしたものを出してくるだろう。
しかし、これは彼らの文字通りの弱さの顕れですよ。福島についてもそうです。沖縄についてもそうです。三里塚についてもそうです。そして根はみな同じなんですよ。そのことを我々が闘いとってね、もう、撃って、撃って、撃って、撃ってでてね、攻勢的に闘い抜いていけば、これは絶対勝てるんですよ。そしてそのことについて民衆が、そっぽを向いているのかといったら、そうじゃないんです。そういう政治を打つ政府に対して、みな、そっぽをむいているんです。このことについては紛れもない。今、原発に反対かと言ったら90%以上の人がそうでしょう。・(不明)・・・の問題に関してもみんな関心もつわけでしょう。そして勇気を与えているのは三里塚なんですよ。これをもう一度、この闘いの中で、沖縄・三里塚・福島をこの闘いを、点を線にして、線を面にして、そういう闘いにしていったならば、必ず、三里塚も加速度的に勝利の展望が見えてくるわけですね。
ですから我々は、けっして、本部が取られた、50名が逮捕されたというのは、闘いの中では有りうること、そしてそれを大きなテコにして闘い抜いていくことには変わりないわけで、実際、そういう闘いを展開していきたいわけですよ。
そういう中で、やはり彼らの言ってきたのは国のやることは「国策なんだ」と、「それが国益なんだ」という形でしか言ってくるしかなかった。そういう形で民衆を愚弄し、騙し、そしてやってきたわけでしょ。「原発は国策なんだ」と、「成田空港も国策」、あるいは「沖縄基地は国益なんだ」と。
しかしね、先の世界大戦も含めてね、それについて国民は誰もそれについて納得したわけでも、賛成したわけでもないんですよ。「それをやらなかったら、あんた、電気止まりますよ」「それをやらなかったら経済成り立ちませんよ」という恫喝の中でみんな押し込まれてきた。しかし、もうそんな嘘は消えたんですよ。「何が国策だ」と。「何が国益だ」と、「もう糞くらえだ」ととんでもない話のところまで来ているんですよ。 (つづく)
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