播磨灘を守る会40周年記念シンポジウム
24日、25日の二日間にわたって播磨灘を守る会が40周年を記念して開かれたシンポジウムに参加してきました。
瀬戸内海の赤潮被害が深刻になる中で1971年7月、青木敬介さん(右下写真)が代表となり御津町の漁師のみなさんも加わって「播磨灘を守る会」は結成されました。 姫路や加古川でのLNG建設、火力発電所、原発建設などへの反対、あるいはPCB問題など様々な取り組みをされてきました。私たちとの長いお付き合いの元となった関西空港の候補地となったことや播磨空港反対なども。その中から、磯浜復元運動や骨抜きされた瀬戸内保全法の改定への取り組み、そして大阪湾で唯一残された自然海岸の新舞子の干潟のラムサール条約への登録の取り組み、そして地域の子どもたちを招いての「海のアドベンチャースクール」の取り組みなどと、その海への熱い思いに支えられた活動が40年、休むことなく続けてこられました。ただただ敬服するばかりです。
この辺の経緯と青木さんご自身の想いが、つい最近出版された『青木敬介随想集 寒僧記』に綴られております。 日頃難しい文章を書かれて私たちを悩ませる青木さんにしては珍しい、読んで楽しい本です。一読をお薦めします(探究社 2011年7月出版 2200円)。
さて、記念シンポジウムですが、初日は九州大学応用力学研究所所長の柳哲雄さん(左写真)から「里海のかたちと磯浜」と題した2時間にわたる基調講演でした。海の破壊に対して、ちょうど「里山」が課題として提示されているように陸と海の境目に「里海」を「人間の自然化」を課題としながら人間と自然が強調して作っていくといったことを提示され、そのことがアジアやヨーロッパでも注目され始めていることなどを紹介されました。 質疑を含めて3時間余り。明らかに高齢者が多い中で、ちょっとしんどかったです。
その後、播磨灘を守る会の総会が開かれ、今年度の活動報告などが行われました。
ひと風呂浴びてから、今度は交流会です。残られたのは40人くらいですが、千葉県の三番瀬の問題をされている方や、埼玉から、東京から、あるいは九州から、そして姫路で古くから関わってこられたみなさんと多彩です。
翌日は朝からパネルディスカッション(最初の写真)です。まず、讃岐田訓元神戸大学教授から播磨灘を守る会とともに続けてこられた海底の汚染を調べる海洋調査と、私たちと共に進めてきた神戸空港反対の立場からの大阪湾の海洋調査を重ね合わせ、
説明されました(右図写真、クリックすると大きくなり見やすくなります)。実は、この2つの調査を重ねての発表は私も初めてで、興味深くお聞きしました。
続いて、大阪芸術大学のハービィ・シャピロ教授から、アメリカのサンフランシスコ湾での埋め立てを元に戻すミティゲイションをされた経験を元に、 2つ以上の環境の接点地帯(エコトーン)の問題を前日の柳さんの話に重ねながら、特に近畿、大阪湾の生態系などについて話されました。
同氏が属していた「環境計画学科」が廃止されたとのこと。国の環境問題の大学での後退と基を一つにしたこの動き、あるいは環境庁が省に昇格することを通して、環境アセスなど姿勢が明らかに後退してきたこの10年余を想いながらお聞きしました。そうした環境省に、原子力保安院などの機能が移されるという現在の流れのインチキなども想いながら。
最後に、環瀬戸内海会議顧問で、ピースデポ代表の湯浅一郎さんから、瀬戸内海、大阪湾がどうなっているのかがわかりやすく示されました。特に海砂採取が禁止されてからアマモなどの生育が戻り始めていることなどが紹介されて興味深かったです。
あるいは瀬戸内海全体で見られていたスナメリの動向や、海砂採取によるイカナゴへの影響などがわかりやすく紹介されました。
討議に入り、東京湾の三番瀬での経験や、兵庫県の水産関係の職員の方からなどの興味深いお話があり、3時間あまりのパネルの時間でしたが、時間が足らないことを感じながら全ての予定が時間通りに終了し、姫路の西にある網干を後にしました。
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