市東さんの農地を守ろう (その4)
写真は、2007年8月の南台の畑で。フェンスと畑の間の雑草の部分が問題の地番「41-9」です。
「1988年」問題
先にも述べましたが、空港会社NAAは、2006年成田市農業委員会に市東さんの「耕作権解除」の申請を行うにあたって、当該の畑を「2003年に取得した」として申請を行いました。反対同盟弁護団は法務局への調査などで、その取得が1988年に既に行われていたことを見出し、「虚偽の申請を行なっている」「取得しながら耕作者の市東東市さんの立会も了解もなく行われたことと、15年間も農業委員会にも届けられていない」と、「1988年の取得自体が違法である」ことを訴えました。しかし、空港会社NAAはその事実を否定し、農業委員会も何一つ調べることなく、空港会社NAAの主張を鵜呑みにして、申請を受理したのです。この経緯自体がでたらめ極まりないもので、後に触れますが、成田市農業委員会は地番「41-9」問題始めこのような虚偽に満ちた根拠による申請を認可するどころか、受理すること自体するべきではなかったのです。(実は、堂本千葉県知事が06年9月に申請を認可した直後の11月、空港会社NAAは、「2003年は間違いで、1988年だった」と訂正しました。それなら農業委員会の審理を差し戻しすべきだったのです。)
さて、その1988年は、「二期工事強行」のために、秋富空港公団総裁が土地収用法発動を宣言し、行き詰る「二期工事」を強行するために農家の家のすぐそばで生活破壊、人権侵害の工事の騒音と振動で進められていました。いわゆる「軒先工事」です。1989年3月には、松井空港公団総裁が「反対派の軒先まで工事を進めご理解いただく」と追い出しの脅迫であることを隠そうともしていない時期でした。他方で、天神峰現闘本部の増築・強化が9月に完成し、10月には千葉県収用委員会の委員全員が辞任するという事態も生まれました。正に二期工事をめぐる攻防が熾烈を極めていた時です。その中で、市東孝雄さんのお父さん 東市さん(右写真)は母屋を新築し(84年)、作業場を新築(89年)して、「農地死守」「二期工事阻止」の自らの農にかけた強固な意思を内外に明らかにされていました。
こうした状況の中で、1988年春、空港公団(当時、現空港会社)は、南台の土地(地主・藤﨑政吉氏)と天神峰の自宅前の土地(農地と作業場、地主・岩澤和行氏)を買収していたのです。しかし、農地を買収するには、耕作者の立会と了解が、「耕作者に権利あり」とその第1条で明記する農地法によって要求されていましたが、法務局に登記されたものの売却について市東東市さんには隠し、農業委員会にも届けないという違法なものでした。当然にも市東さんは、「地主」でもない岩澤氏と藤﨑氏に地代を払い続けることになり、2000年以降は市東孝雄さんがそれを引き継ぎました。これは詐欺ではありませんか。実際には、空港公団(空港会社)が、岩澤、藤﨑両氏に改めて農地として貸して、地代を市東さんから受け取らせていたということです。2003年までこの状態が続きました。
農地法は、耕作者の権利と農地を守るために農地の転用を厳しく制限していました。(現在、2007年に改訂されてなお農地法の改革が叫ばれているのもこの点を緩和しようという新自由主義的な農業破壊の動きですが。)すでに書いていますように、耕作者の立ち会いと同意を大前提としています。そして転用する(農地から空港へ)場合は、毎年、転用の工事の進捗を農業委員会に報告することを義務付け、10年も放置される(土地の値上がりになどの投機的目的を排除するため)ことを禁止しています。そして新たな法人など所有者が、同じ県内に所在することが求められています。
ところが、空港公団(空港会社)は1988年当時、東京に所在し、しかも15年間も農業委員会に申請すらしていなかったのです。明らかにこの空港公団(空港会社)の市東さんの農地の取得は、農地法違反であり、無効なのです。
空港会社はそのことを知ればこそ、2006年、成田市農業委員会に市東さんの「耕作権解除」の申請をするのに、「取得したのは2003年である」と虚偽の申請を行なったのです。それを指摘されながら無視した成田市農業委員会や千葉県農業会議の犯罪も許されませんが、空港会社(空港公団)の明確な違法行為は断じて許されません。
こうした常識では許されないことが、「国策」だから許されるとでも言うのでしょうか。こうした事実を承知で、それらの立証を求めてきたこの4年にわたる口頭弁論の審理を一切無視し、切り捨て、立証をかけらもすることなく、空港会社NAAの違法、不当な要求を認めるために、結審、判決へと多見谷千葉地裁裁判長が訴訟指揮を行うことなどどうして許せるでしょうか。市東さんと反対同盟に対し「国策」だからと農地強奪を強制する、そのために裁判所が尖兵となることなどどうして許せるでしょうか。
8・30「行政訴訟」「農地法裁判」の傍聴に、千葉地裁へ行こう!
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