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2011年8月23日 (火)

市東さんの農地を守ろう (その1)

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 この8月30日、市東孝雄さんの農地をめぐる「行政訴訟・農地法裁判」の口頭弁論が開かれます。一昨日の反対同盟ブログ、そして8月17日の当ブログでも明らかにしましたが、この日の口頭弁論で、具体的な立証をめぐる方針が千葉地裁多見谷裁判長から出されようとしています。先立つ進行協議の中で、多見谷裁判長は、反対同盟代理人の弁護団から出されていた21人に上る証人申請に対し、萩原進さんと当該の市東孝雄さんの2人だけを証人として認めることを明らかにしています。とんでもないことです。

 これまでも、4年近い口頭弁論の中で浮かび上がってきた様々な事実について空港会社や千葉県、成田市の代理人はほとんどまともに応えることなく「沈黙」することで逃げ回ってきました。裁判所もまた、それを支えようと明らかに偏った訴訟指揮を繰り返してきました。そうした虚構を暴き、市東さんの農地を守るための立証過程に入ろうとするこの時、多見谷裁判長が萩原さん、市東さんの2人の証人だけしか認めないということは、裁判の中で明らかにされてきた多くの事実、争点について、一切の立証を認めないということを意味します。そして国と空港会社などが描いたシナリオに従った「判決」で決着を早々に付けようと、年末か年明けの結審、そして判決へと進もうとしているということです。こんなデタラメな訴訟指揮がどうして許されるでしょうか。明らかにされてきた事実を問うことなく、「国策」に従って市東さんの農地の強奪を、土地収用法に代わって民法(農地法)によって強行しようと、裁判所がその正体を剥き出しにしてきたのです。

 多見谷裁判長が、これまでの4年にわたる口頭弁論のやりとりを一切無視し、事実上立証を行わないという暴挙に出てくるには根拠があります。

 成田空港は「国際ハブ空港」と言われながら、45年を経過してもなお半分ほどしか出来ていない欠陥空港です。昨年3月、2500メートルに拡張したことを期に安全性を無視した22万回に航空機の離発着の枠を拡大しました。さらに昨年秋の羽田空港の4本目の滑走路の供用開始による国際線枠6万回が「羽田・成田の内際分離」の原則をかなぐり捨てて設けられました。しかし、これでも首都圏空港としての国際線の枠は狭隘で、アジア、世界の航空自由化(オープンスカイ)の流れに乗れず、日本の空港の自由化を羽田・成田以外で実現しても、関西空港、中部空港の惨状に端的に示されているように自由化には程遠いのです。諸外国の航空会社にとって羽田・成田が自由化されなければどうにもならないというのが現実です。

 日本が今、もっとも自由化を進めたいのが中国です。「尖閣列島」をめぐる中国の「漁船衝突事件」によって中国との航空自由化交渉が現在頓挫しています。ここで、日本は関西空港、中部空港の自由化で乗り切ろうとしましたが、「それならば交渉を打ち切る」という中国の強い姿勢に、現在成田空港の自由化に向けて水面下で交渉が継続されていると言われます。

 今年に入って、国は韓国との自由化交渉を締結し、この6月から韓国のLCCなどの成田空港への乗り入れが始まっています。そして香港、ベトナム、シンガポールなどとすでに2013年の成田空港の自由化にむけた協定が今年から次々と結ばれています。これは、国が言う「2013年、27万回。2014年30万回」を成田空港で実現するということを前提としていることは明らかです。それを不可能にしているのが、45年にわたる三里塚闘争の歴史であり、天神峰現闘本部であったし、具体的には市東さんの南台の畑なのです。「へ」の字誘導路の現実なのです。

 農民が「耕すものに権利あり」と農業に勤しむ土台としての農地を、こうした日本の航空政策の破綻を理由に、「国策」を掲げて強奪するということが本当に許されていいのでしょうか。福島で、「国策」によってすすめられてきた原子力発電所の事故、放射能(死の灰)によって農民が、漁民が生活を、生業(なりわい)を奪われることが許されるのかという問題と底通する問題ではないかと思うのですがいかがでしょうか。

 国はこの破綻した暴挙を行うために、「へ」の字問題の解決のために、少なくとも「法の下」で裁くという裁判所の最低限の前提をもかなぐり捨てて、千葉地裁、東京高裁の「判決」をもって、天神峰現闘本部を破壊・撤去し去ったのです。引き続いて市東さんの農地をも、多見谷裁判長を使嗾して「判決」を強行させ、仮処分というような形で、来年にも強奪しようとしているということなのです。「2013年」に間に合わせるために。裁判所が、裁判自体の中で明らかになってきた事実、争点を立証する権利を反対同盟と市東さんから奪い、農地を強奪する口実とするとは、裁判が裁判としてのあるべき姿を自ら放棄する自殺行為であり、民主主義を否定するものです。本当に怒りで身が震える思いです。

 明日から、数回に分けて、この裁判で明らかになってきた事実、争点の主なものについて明らかにしていきたいと思います。

 そして、多見谷裁判長に、国にこのような理不尽極まる農地強奪を許さないために、8月30日の口頭弁論傍聴に、それに先立って呼びかけられている集会と裁判所包囲デモに、一人でも多くのみなさんが駆けつけてくださることを呼びかけます。

【緊急集会】8月30日(火)午前8時45分~ 千葉市中央公園

【千葉地裁包囲デモ】 同午前9時20分~

【行政訴訟】 同午前10時半~  千葉地裁601号法廷

【農地法裁判】 同午前11時10分~  千葉地裁601号法廷

 なお、市東さんの農地裁判は3つあります。一つが、空港会社が提訴した農地法による市東さんに農地の明け渡しを求めた「農地法裁判」。もう一つは、この提訴の前提となる成田市農業委員会、千葉県農業会議の審理、そして2006年9月に強行された堂本知事による農地法による市東さんの「耕作権解除決定」を不当として、市東さんが訴えた「行政訴訟」。この2つの裁判は、併合すべき内容なのですが、空港会社が拒否し、同じ日に審理されてきました。3つ目は、「農地法裁判」で特定された農地以外の、南台の畑で市東さんが耕作しているのは不法耕作だとの言いがかりで空港会社が提訴した「耕作権裁判」(白石裁判長)です。本来1つにして審理されるべきなのですが、分離されています。ここにも「農地強奪」を前提化した、空港会社、千葉地裁の許し難い姿勢がありありと窺えます。

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