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2011年8月17日 (水)

新たな段階を迎えた三里塚闘争

086

 天神峰現闘本部への5・20東京高裁判決、8・6破壊・強制撤去の攻撃によって三里塚闘争が新たな段階を迎えました。8月30日に千葉地裁で開かれる市東さんの農地をめぐる行政訴訟、農地法裁判の口頭弁論はその重大な戦場となろうとしています。多くのみなさんが傍聴闘争に駆けつけてくださること、そして10・9三里塚全国集会への態勢を今から準備していただけるよう訴えます。関西的には、萩原進反対同盟事務局次長を迎えて開かれる10・9に向かう9・18三里塚関西集会が大切になっています。Photo_4 (最初の写真は、08年6月、南台の畑での市東さん。昨年6月この部分に空港会社によってフェンスが設置されたため現在では様変わりしていますが。)

  市東さんの農地をめぐる行政訴訟、農地法裁判、そしてそれと対をなす耕作権(不法耕作でっち上げ)裁判において、そもそも空港会社が訴訟を起こした農地(右写真B、41-9の地番)の特定が間違っていたことが明らかになりました(「41-9」問題)。空港会社は、勝手に訴状から「41-9」を抹消することで乗り切ろうとしていますが、そんなことが許されるはずがありません。また、地主藤崎氏が書いたとされる「藤崎メモ」(左下図)を含む空港会社の訴えの最大の根拠とされる「境界確認書」について、藤崎氏本人が「あずかり知らない」「書いた覚えはない」と語っていることが明らかとなり(署名の名前の字が間違っている)、それを指摘された空港会社代理人は沈黙を守り一切答えようとしていません。

 Photo_2 行政訴訟、農地法裁判はこうした重大な争点をめぐる立証過程にはいろうとしています。反対同盟顧問弁護団は、この問題の憲法違反をめぐるなどの意見書の提出と、21名の証人採用を申請すると共に、裁判の煩雑さを回避するために同じ問題を争っている行政訴訟と農地法裁判を併合するよう求めています。8月30日の口頭弁論はこうした立証に向かう重大な岐路とも言うべき法廷になっています。

 ところが驚くべきことに多見谷裁判長から打診として出された証人採用が、反対同盟の萩原進さんと市東孝雄さんの2人に絞りたいということがわかりました。とんでもないことです。これは明らかに、先に述べた「41-9問題」や「境界確認書」などの事実についての立証過程を一切行わないということです。それは、萩原さん、市東さんの2人の証言を情状証人として認めるものの、基本的には空港会社の主張に沿って結審、判決へ、そしてあわよくば市東さんの農地などの強奪をはかる仮処分決定を付けた判決を強行しようとしているということです。

 Photo_3 これは明らかに、国策裁判として強行された東京高裁の5・20判決に支えられ、多見谷裁判長が、不当、不法な国策裁判を強行しようとしていることにほかなりません。右写真は少し古く、北延伸される前のものですが、市東さんの畑によって誘導路が「へ」の字に湾曲し、滑走路に接近しているために十分使えない状態にあることがよくわかります。この裁判の背後にある国、国交省の意図は、この「へ」の字問題の解消です。そのためには、何がなんでも、市東さんの農地を強奪しようというのです。

 昨年、空港会社は安全性を無視した運用を開始し、22万回の離着陸を強行しています。そして今年に入って、韓国、シンガポール、香港、ベトナムと相次いで成田空港のオープンスカイ(自由化)の協定を結び、2013年の27万回、2014年の30万回を何がなんでも実現しようとしています。成田空港の自由使用を強く求める中国とのオープンスカイ協定も「尖閣列島」をめぐる漁船衝突問題で中座しているものの、早急に結びたいとしています。アジア、世界の航空事情から完全に取り残され、航空政策の破綻に追い込まれた国交省は、何としても30万回を実現させ、成田空港完成への道をこじ開けようとしているのです。

 それが天神峰現闘本部への5・20判決であり、5・20、50名逮捕の暴挙であり、8・6解体・強制撤去の「証拠隠滅」攻撃が意図したものなのです。そうした国交省、国の意思を背景に、多見谷裁判長が市東さんに、三里塚反対同盟に、三里塚闘争に襲いかかろうとしているというのが、8・30口頭弁論をめぐる一切なのです。

 冒頭、「三里塚闘争が新たな段階を迎えた」と述べた根拠はこうしたことです。45年をかけて国策を阻み続け、今もなお成田空港完成を阻み続けている三里塚闘争が勝ち取ってきた地平の重大性が、現下のフクシマ事態、そしてオキナワへの日米合意の新たな押しつけという国策に対する闘いを組もうとする中で、非常に鮮明となってきています。追い詰められたがゆえのこの国家権力、空港会社の市東さんへの農地強奪の企みを断じて許してはなりません。8・30口頭弁論の傍聴闘争に集まろう! そして9・18三里塚関西集会から10・9三里塚全国総決起集会へ、怒りのうねりを生みだそうではありませんか。9・11から9・19へ福島・東北の被災者とともに、フクシマ原発事故に対する怒り、すべての原発を即時停止させようといううねりと一体となるうねりを、福島・沖縄・三里塚をつらぬく闘いを起こそうではありませんか。

市東さんの農地をめぐる行政訴訟・農地法裁判

【とき】8月30日(火)午前10時半~

【ところ】千葉地裁601号法廷

なお、傍聴券が発行される関係で、開廷40分前までに裁判所1階ロビーにお集まりください。

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