早期結審策動を押し返した(8月30日)
8月30日、千葉地裁で空港会社NAAが市東さんの農地強奪を図ろうとしている「農地法裁判」と、その前提となる千葉県などの耕作権解除決定が違法であるとする「行政訴訟」の口頭弁論が開かれ、多見谷裁判長が企んでいた早期結審策動をものの見事にはね返し、押し返す勝利が勝ち取られました。
この日に先立つ7月4日の進行協議で多見谷裁判長は、「もう全ての主張が出尽くしただろう」として次回10月18日の裁判で証人調べを行うことを表明していました。しかも、農業委員会などの手続きをめぐる証人や農地の特定をめぐる地主の証言など必要ないと明言し、恫喝的に一切の立証を否定して、市東孝雄さんと萩原進さん2人の証人調べを10月18日に行い、一気に年内結審、年度内判決へと突っ走ろうとしました。
しかし、事前の2度にわたる裁判所前街宣とこの日早朝から150人にのぼる人々が駆けつけて裁判前の集会とデモが行われました。そして何よりも反対同盟弁護団から、核心的な2つの準備書面が提出されたことで、多見谷裁判長は、茫然自失としか言えないような状況に陥り、2つの裁判の併合と年内にあと2度の弁論を行うことを認めざるをえませんでした。葉山弁護士が準備書面の弁論を展開している間、多見谷裁判長は、陪席の裁判官が示す書面を見ようともせず、葉山弁護士と反対側のあらぬ方向を見つめながら硬い表情のまま幾度も舌なめずりをするなど明らかに混乱をきたしていました。進行協議のために千葉県側の代理人を呼んでいる間のいわば法廷が休憩時のような時にまったく意図のわからない「退廷命令」を出すという醜態をもしめしました。
10月18日(午後2時~)と12月6日(午前10時半~)の2度にわたる弁論を認めざるをえませんでしたが、なおも未練がましく、1月に「証人調べ」の期日を入れようとして、反対同盟弁護団から「どう進むかわからないのに・・・」と諌められ、しぶしぶとひっこめざるをえませんでした。
「5・20東京高裁判決」と「8・6天神峰本部の破壊」にその気になったのか、国策裁判として一気に判決、そして市東さんの農地強奪へと道筋をつけようとした多見谷裁判長の目論見を、ものの見事にはね返し、押し返すという大きな勝利が勝ち取られたのです。
準備書面29では上右図にあるように、南台の「41-8」が4分の1ほど空港敷地(事業計画)からはみ出しており、それを1988年の時点で許可を得ることもなく取得し、転用を図るということは明確に農地法5条に違反しているなどという指摘です。これに衝撃を受けた多見谷裁判長は、被告・千葉県に「この畑の農業上の分類はどうなっているのか回答せよ」などと的はずれな指示をだしていました。準備書面30では、農業委員会に提出された「41-9」の「同意書」や「境界確認書」が「地籍測量図」を付けていないために不備として突っ返され、慌てて地主の藤﨑政吉氏の了解もなく偽造して添付し提出されたという経緯が明らかにされています。こうした卑劣極まるNAAの唯一とも言える「根拠」のデタラメさを立証する権利を奪うなど、裁判と言えるはずはありません(左上写真は奮闘した弁護団。裁判後の集会で)。
しかし、千葉地裁、そして国とNAAが、天神峰現闘本部破壊に続いて「へ」の字問題を口実として市東さんの農地強奪に向けた国策裁判の強行を意図していることまでを粉砕できたわけではありません。
裁判に先立つ集会の冒頭、北原事務局長は、「8・6本部破壊」を弾劾された上で、「三里塚は裁判では勝っている。判決がおかしい。正義が通らない」と闘いを訴えられました。
裁判後開かれた総括集会の冒頭、市東さんが発言され、先ず「この時にああいうことしかできない空港会社の体たらく」を笑わざるを得ないとされた上で、「形はどうあれ、やることはやってくると思います。ですから私の畑も、またどんな手を使ってやってくるかわからない。その攻撃に対していかに反撃するか、その気持ちを持ち続けています」と決意を語られ、闘いを訴えられました。
すべての最後に発言にたった萩原事務局次長は、「8・6本部破壊」に対して、「支配者も含めて核廃絶を言わざるを得ない日だ」「三里塚は45年、戦争に反対し、核に反対して闘い抜いてきた」とされた上で、その闘いの拠点である本部をその「8・6」に「やらざるを得なかった彼らの意味ははっきりしている」と弾劾されました。そして「3・11によって世の中が一変した福島の事態に対してもあれ(「8・6」)は犯罪的行為だ」とも。そして「そういうことも含めて人民の中に踏み込んで行く必要がある」と提起されました。この日の闘いで「一歩、押し返した」とされた上で、三里塚闘争の中での裁判闘争の重要性を訴えられ、「天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会」を発展的に解消し、新たな決意を持って「三里塚裁判支援運動」を発足させ全国的なうねりを生み出していって欲しいと訴えられました(「11.8.30三里塚裁判支援運動のお願い.pdf」をダウンロード )。
国、国交省、そしてNAAは、アジア、世界の航空業界から完全に取り残された日本の航空政策の破綻を取り繕おうと、これまでタブーとされてきた成田空港の自由化を、昨年末から韓国、香港、シンガポール、ベトナムなどアジア諸国と次々と自由化協定を結び進めようとしています。そのために2013年には離着陸を今の22万回から27万回に、2014年には30万回にすることを既に公表し、その実現のためと称して、天神峰現闘本部への「5・20攻撃」「8・6襲撃」を強行し、今また市東さんへの農地強奪を強行しようと国策裁判を多見谷裁判長を使嗾して出てきたのです。
「国策」をめぐって三里塚闘争が新たな段階に入ったことを示しています。この8月30日、ひとまず私たちはこの攻撃を押し返すことができました。9・18三里塚関西集会の成功と、10・9三里塚全国集会へのうねりのような流れを生み出し、この新たな段階に入った決戦に立ち向かおうではありませんか。
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