7・23緊急報告会 済州島カンジョンマウルからのメッセージ
一昨日、7月23日、大阪で「7・23緊急報告会 済州島江汀(カンジョン)マウルからのメッセージ」が、金時鐘さん、金石範さん、徐勝さんなど在日のみなさんと済州島、とりわけ「4・3事件」に関わってこられた日本人などの呼びかけで開かれました。航空母艦の接岸施設も持ったアメリカ軍の巨大な海軍基地が、江汀(カンジョン)に作られようとしていることに村をあげて反対運動が起こっている、その状況を「まず知ろう」ということでした。
江汀(カンジョン)村は済州島では大きめの村で、上の写真にあるように済州島南側の中央部にあります。「川がほとんどない済州には珍しく、あゆが生息する江汀川の清流を挟んで、1200ヶ所の湧き水があると言われ」(徐勝さんの文章より)るところです。 この言葉を読んで、山口県上関町の長島をすぐに連想しました。多様な珊瑚類が水深10~30メートルの岩盤に群落を形成し、2002年にはユネスコによって「生物圏保全地域」に指定されています。イシマキガイ、ボウシュウボラ、ベンケイガニ(右写真)などの絶滅危惧種が生息していることが確認され、村の全面積のうち15%が絶対保全沿岸地域として確定され、埋め立てが不可能な地域なのです。にもかかわらず道行政と海軍によって、その自然の中心となっているムン島、ポム島、ソプ島をもふくみこんで米海軍基地が建設されようとしているのです。
同時に、「山側には、済州4.3事件当時、掃討作戦のなかで虐殺され、焼尽して、『失われた村』と呼ばれる嶺南村があり」(徐勝さんの文章より)ます。この日参加された済州選出・民主党の国会議員は、「4.3事件を通して平和がどれほど大切かを思う」「4.3事件を踏み越えて平和の島としなければならない」と江汀(カンジョン)のみなさんとともに闘う思いを語られました。
この日のメインスピーカーの一人と考えられていた江汀(カンジョン)マウル会会長の姜東均さんが、この問題で前日22日から村が警察によって包囲されている状態のため「何が起こるかわからないから」と来れなかったという緊迫した状況の中で、この日の集まりがあることが報告されました。
「済州軍事基地阻止と平和の島実現のための汎道民対策委員会」共同執行委員長の高由基さん(左写真)から事態の詳しい経緯と報告が行われました。1937年の日帝によるアルトル飛行場(現在も空軍基地)建設にはじまり、1948年の李承晩大統領、あるいは1974年の朴正熈大統領による米軍基地への提供の提案と済州島を基地にしようとする動きがあり、2002年以来、具体的に米軍の海軍基地の計画が和順(ファスン)、南元面(ナムォンミョン)、為美里(ウィミ)の3ヶ所で住民の反対で追い出された結果、2007年4月にごく一部(当時のマウル会会長や海女など)を抱き込んで誘致が行われて江汀(カンジョン)への動きが始まったのです。しかし、その年の8月、姜東均さんが新たな会長に選出され、1050人の有権者のうち725名が参加して開かれたマウル会総会で反対が680人(94%)、賛成36人という圧倒的多数で基地誘致反対が決議され、米軍基地反対の闘いがはじまりました。
この4月には工事現場で抗議する人たちの不当逮捕と、獄中での断食闘争が闘われ、この6月20日には、ゴムボート2台を出して、浚渫工事に抗議し、ひとりひとりが工事船の上で暴行され逮捕されながら工事を阻止するという事態に発展しました(右写真)。道当局と海軍は、この8月第1週か2週に工事を強行しようとしているという緊迫した状況にあります。
韓国本土から警察が送り込まれ、新たな「4.3情勢」とも言われる状況です。
警察による村の包囲という状況のため来れなかった姜東均会長に代わって、そのつれあいの鄭順仙さん(左写真)が来られました。つい先日の7月15日早朝、お二人の自宅に警察が踏み込み、姜東均さんと駆けつけたコ・グォンイル対策委委員長と平和活動家ソン・ガンホさんを連行、姜東均さんはその日の夕方には釈放されましたが、残る二人は今も拘留されたままです。そのため、姜東均さんは、この二人が居ないまま日本に行くことは現場の責任がとれないと日本に来ることを断念されたのです。鄭順仙さんは、「夫を日本に来れなくさせるために、逮捕劇があったのでは」と語られました。そして鄭順仙さんは、住民として、子を持つ母として話をされました。「村人が忙しい時を狙って何かをしようとするが、気がついた誰かがサイレンを鳴らし、仕事を置いてみんなが現場に駆けつける」「村人は、みんな農業をし、魚をとって暮らしている純粋な人たちです」
「私たちが反対するのは、海軍基地がくることによって私たちが追い出されるからです」「子供たちが、お金やそんなものをもらうというのではなく、母のところに帰ってくるように、故郷にかえって来れるような村として、子供たちに残したい」などと。
米軍は、中国への戦略的基地として道行政、韓国政府を巻き込んで、この江汀(カンジョン)への基地建設を進めようとしています。しかも、事態は急を告げています。その政治的構造は、沖縄の普天間、辺野古、高江をめぐる状況と全く同じものです。こんなことが許せるでしょうか。一人でも多くのみなさんにこの問題を伝えてくださることを訴えます。
同時に、江汀(カンジョン)マウルのみなさんへの支援のカンパをお願いいたします。郵便振替で、口座名義「四・三事件を考える会・大阪」、口座番号00910-2-50548 です(振込用紙に必ず「カンジョンマウルへのカンパ」と記してください)。よろしくお願いいたします。
なお、画像が見にくいですが、集会中のスライドや映像から写真で写したものですので、ご了解ください。それぞれクリックしていただければ拡大してご覧いただけます。
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