6月9日に、鈴木さんの一坪裁判
6月9日、千葉地裁で鈴木謙太郎さん、いとさん、加代子さんが所有する一坪共有地を千葉県が強奪し、NAAに売ろうとする裁判、一坪裁判の口頭弁論が開かれます。傍聴闘争に駆けつけよう。
【とき】 6月9日(木)午前10時半~ (傍聴券のために9時40分までに千葉地裁1階ロビーへ)
【ところ】 千葉地裁601号法廷
前回の裁判は「3・9三里塚と沖縄を結ぶ集い」の翌日だったため、関西からは参加できませんでした。千葉県は、当該の一坪の土地を除く周辺をすでに購入し、土地造成を行った上で成田空港の貨物基地として売ろうとしています。それはずっと昔のバブル期の計画で、すでに同じ時期の他の計画のほとんどがバブルの崩壊の中でとん挫し、中止されてきました。その中でこの事業だけを継続するおかしさが争点の一つとなってきた裁判です。同時に「全面的価格賠償方式」というこれまで「一坪共有地」をNAAが強奪してきた論理の不当性が争われています。
同時にこの一坪を管理している「三里塚地区周辺に土地を持つ会」として、一昨年鈴木幸司さんが逝去されたことに伴い、鈴木謙太郎さんと加代子さんに継承手続きを行ったのですが、千葉県側がそれを認めず単なる「相続」で処理しようとして加代子さんを被告として認めないという問題が発生しています。 「土地を持つ会」の存在を認定したくなかったからです。これが前回の裁判でどうなったかはわかりません。
さて、この裁判は、市東さんの農地をめぐる裁判や本部裁判、あるいは第3誘導路差し止め裁判などの陰に隠れがちになりますが、三里塚闘争の現局面の中で、国の成田空港政策、NAAの空港経営に、しっかりと楔を打ち込んだ重要な裁判になっていることを訴えます。
ご存知のようにアジア、世界の航空自由化の流れの中で、成田・羽田の必死の拡張・整備にもかかわらず、「成田パッシング」と言われる事態が生まれています。そしてアジアで流通する貨物量が膨大になっていく中で、成田空港はいったん世界1にその取扱量がなりながら、その地位の低下の趨勢は留まるところを知りません。 右のグラフは少し古くて2006年のものですが、そのことを端的に示しています。(幻冬舎新書「血税空港」より転載)
旅客においても、現状、アジアで最大の欧米に対する拠点空港であることには変わりありませんが、その位置も危うくなっています。国交省が思い描いたようには中部空港、関西空港が機能しないことが明らかになった今、日本のアジアにおける経済・政治的位置、成長戦略がいうところの「ヒト・モノ・カネ・情報」の流れの「東アジア共同体」における中軸となるには、他のアジアの巨大なハブ空港の存在の前に、羽田・成田一体の空港機能、能力の強化が帝国主義として絶対的に求められており、それゆえの「30万回化」の追及であり、第3誘導路建設による市東さんへの攻撃なのです。1970年代に考えられていた空港の規模や能力では到底対応できないヒト・モノの流れなのです。それが、日本の場合、極度に進む「東京一極集中」に規定されて、羽田・成田に集中しているということであり、国にとって千葉県が貨物流通のための基地を作ってくれるのはありがたいし、成田空港に「地域の発展」を賭けて「カジノ」などを騒ぐ森田県政にとっても、重要な施策として、この鈴木さんの一坪をめぐる自らの「三角構想」の重要性があるのです。このような手前勝手な論理と政策がどうして許されるでしょうか。
農地を奪い、住民の生活を犠牲にして「国策」「国益」を進めてきたことがどれほどおぞましいものであったか、今私たちは、福島原発事故で恐ろしいほど知らされています。三里塚闘争が、市東さんの農地をめぐって、そして鈴木さんの一坪をめぐって国とNAAが「国策」「国益」として進める空港政策に巨大な楔を打ち込んでいるのです。鈴木さんの一坪裁判は、そうした意味で重要な裁判であることをもう一度確認したいと思います。
みなさん。傍聴に駆けつけましょう。
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