子ども「20ミリシーベルト」基準即時撤回に向けた署名
4月19日、文科省が示した子ども「20ミリシーベルト基準」を即時撤回させるために以下の署名の要請が入りましたので、転載いたします。
記
「20ミリシーベルト基準」撤回に向けては、1,074団体、53,193人の署名をいただき、大変ありがとうございました。みなさまの声を後ろ盾にした政府交渉では、政府の様々な矛盾が浮き彫りになってきています。私たちは、撤回に向け、さらに要請行動を強めていくべく、下記のように署名活動第2弾を開始いたしました。今回は、子どもたちの被曝最小化にむけた要請も入れ、県内の取り組みも応援したいと思っています。
私たちは、福島の子どもたちを放射能から守るために、日本政府に対し以下を要請します。
1.4月19日に文科省が示した学校等の校舎・校庭等の「20ミリシーベルト基準」の即時撤回および現行の1ミリシーベルト基準の維持(注1)
2.子どもの被曝量を最小化するためのあらゆる措置を政府の責任で実施すること。また、自治体や市民団体、個々の市民自らが被曝量を低減させるために実施する、除染・自主避難・疎開などの自主的な取り組みが円滑に進むよう、最大限の支援を行うこと
3.内部被曝を考慮に入れること
4.屋外で3.8マイクロシーベルト/時以下になったとしても、モニタリングを継続すること(注2)
【呼びかけ団体】グリーン・アクション、グリーンピース・ジャパン、原子力資料情報室、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan
【署名】署名はこちらのサイトから http://blog.canpan.info/foejapan/archive/19
【背景】4月19日、文部科学省は、学校等の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の目安として、年20ミリシーベルトという基準を、福島県教育委員会や関係機関に通知しました。この年20ミリシーベルトは、屋外で3.8マイクロシーベルト/時に相当すると政府は示しています。これは以下の点で、極めて憂慮すべき基準です。
①3.8マイクロシーベルト/時は、労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」(0.6マイクロシーベルト/時以上)の約6倍に相当する線量である。②20ミリシーベルト/年はドイツの原発労働者に適用される最大線量に相当する。③原発労働などによって白血病を発症した場合の労災認定基準は、5ミリシーベルトx従事年数である(注3)。実際に白血病の労災認定を受けているケースで、20ミリシーベルト/年を下回るケースもある。④本基準は、子どもの感受性の強さや内部被ばくを考慮に入れていない。⑤本基準により、子どもの被ばく量を低減するための取り組みをやめてしまった学校も多い。⑥3.8マイクロシーベルト/時を下回った小中学校・幼稚園・保育園・公園におけるモニタリングが行われなくなった。
【高まる撤回を求める声】「20ミリシーベルト基準」撤回を求める要請第1弾では、61ヵ国から1,074団体および53,193人の電子署名が集まり、5月2日に日本政府に提出されました。日本国内外の怒りの声が結集した結果を生みました。また、海外の専門家からも多くの憂慮の声が上げられています。
【政府交渉で明らかになったこと】「20ミリシーベルト基準」撤回に向けて、5月2日に行われた政府交渉では、政府側からは下記の発言が飛び出しました。すでに「20ミリ」の根拠は完全に崩れています。
①原子力安全委員会は、「20ミリシーベルト」は基準として認めていないと発言。また、安全委員会の委員全員および決定過程にかかわった専門家の中で、この20ミリシーベルトを安全とした専門家はいなかったと述べた。 ②原子力安全委員会が4月19日に示した「助言」(20ミリシーベルトは「差支えない」)は、助言要請から2時間で決定されたが、決定過程においては、正式な委員会も開催されず、議事録も作成されなかった。 ③原子力安全委員会は子どもの感受性の高さに鑑み、大人と区別する必要があると発言したが、それに対し、文科省は区別する必要はないと発言した(注4)。 ④厚生労働省は、放射線管理区域で子どもを遊ばせてはならないと発言したものの、放射線管理区域と同じレベルの環境で子どもを遊ばせることの是非については回答しなかった。 ⑤原子力安全委員会は内部被ばくを重視するべきだと回答しているが、文科省はシュミレーションで内部被ばくは無視できると結論した(注5)。しかし、このシュミレーションの根拠は、示されていない。
以上のこから、私たちは、あらためて、「20ミリシーベルト基準」の撤回とともに、子どもの被ばく量を最小化するためのあらゆる措置を行うことを要請します。 以上。
(注1)現状、超えている場所については、あらゆる手段を使って低減に努めるべきである。 (注2)福島市防災情報サービス「屋外活動制限対象小学校等の環境放射線測定結果」および平成23年5月1日付「福島県環境放射線再モニタリング調査結果について」によれば、2度連続して基準を下回った学校等では計測が中止されている。これは「3.8マイクロシーベルトを下回ればよいということではなく、モニタリングにより状況を把握していく」とした5月2日の文部科学省・原子力安全委員会の答弁と完全に矛盾する。 (注3)労働省労働基準局(基発810号)「電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準について。被ばく量の「相当量」について、解説の第2の5番で、白血病の場合は0.5レム(=5ミリシーベルト)x従事した年数としている。 (注4)文科省は、この理由としてICRPでも区別していないとしたが、実際は、ICRPのPub.36「科学の授業における電離放射線に対する防護」(1983年)では、18才以下の生徒が実験などで被曝する可能性がある場合を想定して、一般人の被ばく限度の10分の1にすることなどを勧告している。 (注5)両者とも食物による被ばくは考量していない。
なお、本要請への署名は「20ミリシーベルト基準」が撤回されるまで当面継続し、文部科学省、厚生労働省、原子力安全委員会、原子力災害対策本部、その他対政府交渉などの機会に提出させていただきます。
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