使用済み核燃料の国際的な貯蔵・処分?
一昨日の朝日新聞に使用済み核燃料の貯蔵・処分を日米でモンゴルに押し付ける話しが進んでいるという報道があった(右新聞、5月9日付け朝日新聞)。「唖然とする」としか言いようがない。
日本では原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して「永遠の燃料」とすると謳われて六ケ所の再処理施設と高速増殖炉「もんじゅ」(実験炉)が膨大な税金をつぎ込んで建設され、いずれも事故で破綻している。六ケ所にはすでに全国の原発から使用済み核燃料が運び込まれ、そのプールが満杯状態であることが、今回の福島原発事故をきっかけに明らかになった。だから、多量の行き場のない使用済み核燃料が福島原発4号炉の貯蔵プールなどにあり、今回の事故の一因となり今も収拾がつかない危険な状態にある。これが全国の54基の原発で基本的に同じ状況にあるのだ。
アメリカでも、日本に倍する原発と核兵器製造によって想像を絶する膨大な放射性廃棄物が溜め込まれている。それを原子力産業の育成によって利権を生み出そうとするモンゴルの「指導部」を抱き込んで、日米両政府がこの放射性廃棄物の捨て場にしようというとんでもない話しだ。
日本では、低レベル放射性廃棄物がドラム缶に詰め込まれて、原発敷地の中や六ケ所に膨大に積み上げられている。かって遠くミクロネシアの海に捨てようという話しが出て、ミクロネシアの人々の怒りを買い、当時の首相の中曽根が予定していた訪問をやめざるをえなかって沙汰やみになったこともある。
アメリカでは、高レベル廃棄物を地底深い岩塩層に溜め込もうという研究が進められたが、「地球科学者は、どの場所が過去において地質学的に比較的安定であったかを指摘することはできるが、将来にわたって安定であると補償することはできない」(アメリカ地質調査所「サーキュラー779」1978年)という指摘によって頓挫した。
日本政府も地底に埋めることを追及していたが、アメリカ以上に地震立国である日本では不可能であることは火を見るよりも明らかだろう。
高レベル放射性廃棄物は、長い寿命を持った放射性物質が含まれるので、その崩壊熱を少しずつ冷やしながら、数十万年から100万年以上にわたって生物環境から隔離しておかなければならないといわれる。そんなものを、日本でもアメリカでも方策のないことをモンゴルという貧しい国に押し付けるという、こんな帝国主義的発想をどうして許せるだろうか。
菅政権よ。そして自民党よ。あるいは電力会社経営者たちよ。「安全だ」といって原発を今も押し付けているのはお前たちではないか。本当に「安全だ」というのなら、自分たちが所有する膨大な土地に、あるいは、巨大な空き地がある東京のど真ん中、「皇居」に地底深く穴を掘って埋めてみるがいい。これ自体が、東海大地震、関東大地震が控えている現在、恐ろしい話しであり、許せないのは承知だが、そう言いたくさえなる。
「安全だ」と今も言い続けながら、他方で、その尻拭いをモンゴルに押し付けようというこの連中の発想を許していて、私たちの日々そのものが肯定できるのだろうか。
みなさん。考えてみてください。
(注)今や普通の大きさとなった100万キロワット級原子力発電所1基で、1年間に生み出される放射性廃棄物(死の灰)は、広島に落とされた原子力爆弾が生んだ死の灰の1000倍にあたると言われている。原発がフル稼働すれば、日本では広島に落とされた原爆の5万4千発分の死の灰を毎年生み出し、その処分ができなくて困っているのだ。
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コメント
今の天皇は、皇太子時代、当時経団連会長でもあった平岩外四元東電会長との親交が深く、天皇家が東電に投資していくきっかけになった。
こういう経緯があり、数億円の資産、内帑金、天皇家の資産が、東電の株や社債の形で、運用されていたと思われます。従って、3月11日以降、天皇家の資産は、数千万円以上も目減りしてしまっているはずです。
もともと国債並みの高格付けを誇り、絶対安全資産と思われていたのが、東電の株や社債だった。これは、週刊誌の話。
天皇は、福島の被災者見舞いもした。もちろん、天皇が、東電の大株主だとは一切知らせずに。ひどい話だ。
投稿: 皇居の話 | 2011年5月14日 (土) 14時53分