海の汚染 (4・9緊急大阪集会より)
4月9日、大阪で「周辺住民の避難拡大!脱原発への転換を!4・9緊急大阪集会」が、会場のホールを一杯にする400人を超える皆さんがあつまってもたれました。
集会では、福島老朽原発を考える会の坂上武さんから福島原発事故の詳しい状況の説明が、京大原子力実験所・助教の今中哲二さん(右写真)からチェルノブイリ事故と重ねながら福島事故の放射能汚染の状況についてのお話しがありました。そして主催者の美浜の会などからのお話しや、石巻、福島から関西に避難してこられた3人の皆さんの報告と想い、そして会場からの質疑など3時間半にわたって怒りと熱気のこもった集いがかち取られました。今中さんの「放射能とつきあっていくしかない」という言葉が印象的でしたが、内容があまりにも濃く、主催者がパンフにして配布されるようですので、私からは、美浜の会から報告のあった海への放射能汚染の問題に絞って、報告と私見を書いてみます。
最初の絵は、先日届いたばかりの日本カトリック正義と平和協議会編集のリーフレット「原子力発電は『温暖化』防止の切り札ではない!」から転載したものです。よく言われているように、原発というのは発生した熱量の3分の1をタービンで電気に変えるものの、3分の2の熱量を海水を取り込んで温排水として垂れ流しています。100万キロワットの原発1基で毎秒70トンも。結果、周辺の海の水温は7度も上がり、同時に放射性物質を垂れ流しています。瀬戸内海にある伊方原発では、この放射能によって異常魚が発生しています。
つまり、事故でなくても、原発というのは海を破壊し続けているのです。
ところが、今回の福島原子力発電所(左、朝日新聞より)の事故では、当初から放射能に汚染された水が海に直接、放出され続けています。原子炉の冷却を理由とした海水を含めた膨大な、想像を絶するような量の水が放水され、海に垂れ流され続けました。そして先日からは、高濃度に汚染された水を蓄えるためと、膨大な量の「低濃度の水」が、意図的に海に放出される事態に至っています。「低濃度」といっても、自然界では許容できないような汚染されたものです。菅や枝野は「海で拡散するので問題ない」とテレビで言い続けていますが、本当にそうでしょうか。
美浜の会から六ヶ所の再処理施設問題で作ったスライドによって、「海で拡散するのか」が示されました。(次の写真からクリックしちただくと少し大きくなり見やすくなります。)右のスライドは、津軽海峡から入り込む親潮暖流の強い南向きの流れと、
黒潮還流が壁になって、六ケ所から出た放射能が、外洋には拡散しないで、そのまま南下し、房総半島の方に向かっていくことが示されています。
左の写真は、六ケ所から1万枚のはがきを流して、三陸海岸の各湾に入り込み、房総半島から東京湾近くまで回収されたことを示すスライドで、上の内容を実際に確かめたものです。
右の写真は、フランスのラ・アーグの再処理工場で放出された放射能が、予想に反して外洋の潮流に乗らず海岸沿いに流れ100キロ離れた海岸で高濃度で検出されたことを示したものです。
しかも海藻によってどれほどヨウ素が濃縮されるかという問題で、日本の設定は4000倍であるのに、フランスのラ・アーグでの実測値が、実に2万5千倍になっていたことを、左のスライドが示しています。
またイギリスのセラフィールドの再処理施設では、海の魚の汚染がひどく、それを食べた子供たちに小児白血病や小児ガンが多発していることが問題となり土壌を検査したところ、プルトニウムなどの放射性物質が土壌に溜まりこみ今もなお魚や海の生物を汚染し続けていることを右のスライドが示しています。
元神戸大学教授の讃岐田訓さん(生物学専門)は、「プランクトンの移動や赤潮に見られるように、水というのはもともとバラバラで動かないで、塊り(水塊)になって動くので『拡散するから大丈夫』などとは言えない」と話されています。そして「イカナゴ(コウナゴ)に大量の放射能が検出されたのは、海の表層を浮遊している生き物だからで、プランクトンなどがとっくに汚染されているからだ。海底に棲む魚に影響が出るのはずっとあとだ。食物連鎖がもう始まった以上、必ず汚染されていく」と話しておられました。
左の図は、少し古い資料ですが、1992年に「大阪湾シンポジウム」で魚博士と称されている鷲尾圭司さん(現・京都精華大学教授)が講演された時に示された図で、海の食物連鎖をしめしています。下から一つづつ食べられて上がるたびに量は10分の1に、濃度は10倍に濃縮されていくことを示しています。プランクトンが吸収した放射能が、単純計算でカツオなど高級魚で1万倍になることを示しています。栄養分を集中的に吸収する卵子などは100万倍とも言われています。
すでにこの1ヶ月、垂れ流し続けられた放射能は、すでにプランクトン、イカナゴと濃縮を開始しています。確実に食物連鎖による濃縮が始まっており、そしてイギリスのセラフィールドで示されているように、土壌の汚染が進んでいくでしょう。広い海の中で、もはや止めることはできません。韓国やロシアなどの諸外国が、この日本の意図的な放流に怒りの声を上げていることはもちろん、全国漁業組合連合会が怒りの抗議(「11.4.5全国漁業組合抗議文.pdf」をダウンロード )を政府にたたきつけているのは、極めて当然です。本当に許せません。
そう考えた時、今中さんが言われた「もう、放射能とつきあっていくしかない」という言葉は、私たちに重くのしかかってきます。
めげることなく、「すべての原発を廃炉に」という声を上げ、実現していきましょう。
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