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2011年3月 4日 (金)

「TPPが日本を壊す」

Tpp  「TPP反対」は確実に正しいだろうと思いながら、どうも「木を見て森をみない」の言葉通り、例えば「TPP反対の大義」(農文協ブックレット)を読んでも、その感じをぬぐいえなかったのです。そこへ、左写真の「TPPが日本を壊す」(扶桑社新書、3月1日出版)というのを見つけ、さっそく読んでみました。

 ちょっと出版社が気になったのと、著者・廣宮孝信さんという人の立ち位置が不明で、「どうかな?」と思いながら。

 著者の立ち位置という点では、読み進むうちに「TPPのデメリットを考えると、なぜFTAやEPAではいけないのかという疑問がわいてきます」(66ページ)とあるように、「ちょっと待って・・」というところが先ずあります。これはもちろん、今の農業の「専門家」と言われる学者たちのほとんどが「FTA、EPA」やむなしの立場ですから、「とりあえず譲るか」と読み進みました。

 しかし、「日本という国を維持するためには、そこに住む日本人の生活を守る必要があります」(131ページ)となると、思わず「えっ」となります。この類の表現は「国益」という言葉とともに随所に出てきます。排外主義が底流にはあるようです。

 それらを念頭に置きながら読んだ上での感想ですが、非常にわかりやすくTPPの全体像と問題点を明らかにしてくれているように思います。読みやすい本ですので、詳しくは読んでいただくとして、例えば「メリットは海外に進出する、もしくは海外と取引を行うということに関してで、多くの中小零細企業や政府調達(注・自治体などとの取引を含め)を主たる業務とする企業には関係のない話ですし、むしろ逆に競争相手が増えるデメリット、場合によっては致命傷になりかねない問題です。」(63ページ)と。

 農業問題についても簡潔にまとめられていますが、それとは別に、地方への影響、労働者への影響などがわかりやすく書かれています。著者が関西の人ということで、関西への影響、特に橋下の「大阪都構想」について節を改めて「TPPと大阪都構想は一卵性双生児」と表題を付けて論じられているあたりは、思わず「え~?」と引き込まれました。

 「大義」に比べ読みやすいですし、740円は高くなかったなという読後感です。騙されたと思って、読んでみてください。

 「あろうことか菅内閣はTPPを政治的実績づくりとして利用する始末です。TPPのような国情を激変させる重要問題がほとんど論議されぬまま国際公約のような形で既成事実化されてしまったことからもそれは明らかです」(133ページ)。

 いずれにしろ、TPPは「日米合意」とともに菅政権による重大な攻撃であることは事実です。そして多くの人々がすでにそれに呑み込まれているのも事実です。これに核心的に反撃し、北海道や沖縄をはじめ全国で「TPP反対」にすでに立ちあがっておられる農民の人々とともに、巨大な大衆的うねりを作り出していくことが必要です。そのためには「TPPとは何か?」と謙虚に立ち止まり、説き起こしていくことが必要ではないでしょうか。

 

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