市東さんの農地をめぐる行政訴訟・農地法裁判へ
2月22日、市東さんの農地をめぐる行政訴訟と農地法裁判が行われます。行ける方は、ぜひ傍聴にかけつけてください。(右写真は、南台の畑で草取りをする市東さん。10年11月1日撮影)
前回の口頭弁論で、空港会社NAAの「とうとう言っちゃったひと言」をめぐって、この日の裁判は非常に重要な局面を迎えています。残念ながら前回の口頭弁論には、関西から誰も駆けつけることができませんでした。「反対する会」のブログの報告を引用させていただきます。
―― 「今日の弁論で、弁護団の追及におされるように、多見谷寿郎裁判長は、南台41-9の土地について、空港会社の代理人に現時点での見解をただしたのです。
すると空港会社の代理人は、『占有しているかというと現在は違うが、賃借地である』と言ったのです。
その言葉を聞いた市東さんはスクッと立ち上がり『うちは90年間つかっていない』とキッパリ。弁護団も『訴状では占有していると書いてある。占有していないというなら、それはいつからなのか』と語気を強めます。
そうです。空港会社は3年前、その土地を市東さんが占有、すなわち耕しているから『明け渡せ』と、訴訟を起こしたのです。傍聴席からも『占有していないっていうなら、何のために裁判やってるんだ』『裁判を取り下げろ!』と次々声が飛び交います。
多見谷裁判長も『占有の事実がないなら、(提訴の)要件事実を欠いていますね』と言わざるをえませんでした。
とうとう言っちゃった空港会社のひと言。『言った、言わない』にさせないように、弁護団のねばり強い要求で、裁判長はNAAに対し、次回までに『占有』についての見解を書面で明らかにするよう申し渡したのです。空港会社の『言い訳』が見ものです。」 ――
『言い訳』を断じて許さず、市東さんを始めとした反対同盟、弁護団、そして傍聴団の闘いで空港会社NAAを追い詰めようではありませんか。2月22日、とくに近い関東の皆さんの傍聴闘争への決起を訴えます。
●市東さんの行政訴訟第13回口頭弁論
【日時】2月22日(火)午前10時30分 / 【法廷】千葉地裁601号法廷
●市東さんの農地法裁判第8回口頭弁論
【日時】2月22日(火)午前11時10分 / 【法廷】千葉地裁601号法廷
なお、傍聴券抽選のため、午前9時30分までに千葉地裁1階ロビーにお集まりください。
この2つの裁判は、4年前、06年7月に、空港会社NAAが、「耕す者に権利あり」と定めた農地法によって、空港建設のために市東さんの耕作権の解除を成田市農業委員会に申し立て、千葉県によって許可されたことで起こされました。
その後、「農地の流動化を進める」という理由を掲げて農地法の改悪、「耕す者に権利あり」の換骨奪胎、骨抜きが国会で強行されました。そして農村の疲弊、限界集落の進行などを理由に、農業切り捨ての論理が横行し、ついに農業破壊を極限的に進め、北海道、沖縄などの農業を壊滅させると言われるオーストラリアとのEPA(経済連携協定)、そしてTPP(環太平洋経済連携協定)が今年の6月を一つの山とする形で論議と外交交渉が進められるという重大な事態を招いています。市東さんの農地をめぐるこの2つの裁判は、こうした情勢を真っ向から見据えた三里塚反対同盟、そして三里塚闘争の農地死守のきわめて重大な切っ先となっているのです。
先日、「限界集落 -吾の村なれば-」(日本経済新聞出版社刊 曽根英二著)という本を読みました。著者は、アナウンサーから記者に転身し、瀬戸内海の豊島の産廃不法投棄をスクープして有名な方です。
中国山地の奥、岡山県新見市に大合併された神郷釜村のルポです。地域の小学校や中学校が次々と廃校にされ、田んぼや畑が荒れるにまかされている「限界集落」に住む高齢化した農民の想いと姿が、ほんとうに美しい文章でつづられています。
そこに引用されている大学の先生のことばに、「いま中国山地とかで何が起きているかというと、なしくずし的にいつのまにか集落がなくなったという現象だ。これは都会の老人の孤独死と同じ状態だ。人が死んでいるかどうかもわからない、集落がなくなっているかどうかもわからない。そういうことはもの凄い非人間的なこと」だと。
そしてその「限界集落」の中で、「江戸時代末期、神郷釜村は『竹の谷蔓』という蔓牛を生み、日本最古の蔓牛として、日本の和牛の元を築いた」、その純粋の系統牛「蔓牛」を再生させる努力を、行政からの援助もなく黙々と取り組んでこられている平田さんという方のお話し、あるいは65歳以上の高齢化率が50%になった豊永地区でピオーネというブドウの一大産地になることを通して、県外から若い「農民」が転職して入植し幼い子供たちを抱えながら努力しておられる様子などが淡々と紹介されていきます。
読みながら、市東さんを始め、萩原さん、鈴木さんのご家族が、三里塚で今、農に、土にこだわって黙々と営農にいそしんでおられる想いを重ねていました。時には涙さえ・・・。
他方、農民作家の山下惣一郎さんは、「TPP反対の大義」(農文協ブックレット)の中で、TPPを「亡国の道である」と断じられた上で、「農家は『自衛農業』でわが身を守ることになる。食料問題は農家の問題ではないから自給率が農水試算の14%になろうとゼロになろうと知ったことではない。・・・あなたはどうしますか?」と問われています。
22日の市東さんの農地をめぐる裁判を通して、農の問題を、土、農地の問題を、TPPが進められているこの局面の中で考えようではありませんか。TPPを絶対に許さない、そうした強固なうねりを生み出していきましょう。
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