神戸空港の軍事使用を否定しない矢田神戸市長
沖縄の仲井真県知事が、知事再選の弁の中で「橋下知事が大阪の『関空』どうかとおっしゃっているから、1回見て来ようかと思っている」と言ったことに、橋下大阪府知事が「関空が基地負担軽減の受け皿になることはもうないと思う」「視察するなら先行きが見えない神戸空港が良い。僕も一緒についていく」とマスコミの質問に答えて語った(昨日の当ブログに既報)。
これに対し、矢田神戸市長は「国が決めることなので、ノーコメント」とし、相手にしない姿勢を示した(神戸新聞)というのです。
実は、開港4年を迎えたことに抗議して「神戸空港の中止を求める市民の会」が、神戸市長と市議会に行った「申し入れ」(2010年2月16日)の中で「最近、沖縄の普天間基地問題に関連して神戸空港を米軍の演習などに使うことが話題にされていますが、神戸港の非核神戸方式に込められた市民の平和への願いを踏まえ、こうしたことが絶対にないように明らかにすることを求め」たのです。
これに対して、3月16日送られてきた矢田市長からの回答では、極めて簡単に「米軍基地の移転など安全保障の問題については、国において検討される事項であると考えております」とされています。これが先の「国が決める事なので、ノーコメント」という中身です。
これは、第1に、自治体が果たすべき地域の住民の生活と平和を守る上での責任を放棄したものです。何より、神戸市民の総意で勝ち取られ、地方自治の宝とも広く評価されてきた「艦船入港に伴う非核神戸方式」を否定するものであるとともに、神戸港、神戸空港の軍事使用を国の専管事項として認めることにほかなりません。こんなことがどうして許せるでしょうか。
この1年間、名護市長選挙での稲嶺進市長の誕生、県議会の全会一致(全員)による決議、仲井真知事も参加した9万人の県民集会、市議会の圧倒的多数が稲嶺市長与党になった名護市議選、そして宜野湾市長選挙での伊波市政を引き継いだ安里市長の誕生。こうして沖縄県の民意が「普天間基地の即時閉鎖・撤去」であり「新基地建設反対」であることが完全に示されてきました。矢田神戸市長の「国が決める事なのだ」という発言は、第2に、こうした沖縄の民意を「無意味だ」と否定することにほかなりません。自治体の長として自らが市民から負託された自治の根本を自ら否定することであり、背信行為ですらあります。断じて許されません。
私たちは、沖縄の皆さんとともに、そして神戸空港の中止を求める市民の会をはじめとした神戸市民の皆さんとともに、神戸港と神戸空港の軍事使用を容認する矢田市長を許さず、非核神戸方式に込められた平和の理念を守り抜くことを誓いたいと思います。
第3に、こうした神戸空港についての国依存の矢田市長の姿勢こそは、橋下大阪府知事が「将来性が見えない」と指摘したように神戸空港が最早、経営が成り立たず「関西空港との一体化」に丸投げしようと矢田市長が考えていることを反映しているのです。先日も、矢田市政を支える神戸商工会議所会頭に就任した大橋川崎重工会長は就任の所信表明で「関空との一体運用」を叫んでいました(11月9日産経新聞)。みっともないとしか言いようがありません。
この間、政府が示してきた「上下分離による関空経営と大阪空港の一体化」は、下=空港島(つまり1兆3千億円の有利子負債)を関空会社に押しつけ、上=利益の出る空港経営は国がやるという従来言われてきた「上下分離」とまったく逆の関係で、今朝の朝日新聞(左写真)に掲載されたように、出資者である財界から不満が噴出しています。当然でしょう。
言い換えれば、矢田神戸市長や神戸財界の甘い願望など国は一顧だにしないだけでなく、あっても関空以上に2000億円の借金を自分たち(神戸市民)で負担することを前提に神戸空港の経営を「一体運用」として引き取ることが今の政府にできるせいぜいのところだということです。犠牲を市民に押しつけ、自らの責任を放棄することになるこんな「一体化」を私たちは断じて認めることはできません。
矢田神戸市長が投げ出そうとしているように、神戸空港は廃港しか道はありません。廃港して護岸を取っ払い、元の海に帰すことこそ必要なのです。
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