在日外国籍無年金障害者問題についての兵庫県との交渉
昨日、11月10日、在日外国人無年金障害者の早期救済をめぐった兵庫県と障害年金の国籍条項を撤廃させる会、兵庫在日外国人人権協会など36団体との話し合いが行われました。
兵庫県からは健康福祉部の障害福祉課(当該)と高齢社会課、産業労務部の国際交流課が出席しました。
本来は国が年金制度における差別的状況を改めるべきですが、その立場に立っていたはずの民主党が政権を取ってもなお、改善されていません。「撤廃させる会」の20年にわたる闘いと努力によって、兵庫県下の各自治体は、県との「共同事業」としてこの年金制度の不備を自治体の責任で「特別給付金制度」で対応しようと、2008年までに、制度的無年金者への年金相当の支給を行うことを実現してきました。しかし、12年も前に「共同事業」を呼びかけた兵庫県の方が、様々な理由をつけ対応を怠ってきました。昨年、ようやく県も制度的無年金高齢者については完全実施を実現しましたが、障害基礎年金1級相当の無年金者に月額7425円の格差が残され、障害基礎年金2級に相当する無年金者には、未だに助成されない状態が続いているという中での話し合いでした。
話し合い冒頭、障害福祉課西村副課長(写真で立っている人)は、以下のように回答しました(「撤廃させる会」李相泰さんからのメールから引用)。
「『兵庫県は相変わらず財政状況は厳しく、行財政全般にわたる改革、新行革プラン3年目であり、事務、事業総点検の厳しい状況下にある。そのことを踏まえた上での回答であることを理解していただきたい』という冒頭発言がなされた。その上で、①障害基礎年金1級に該当する重度障害者について、検討の結果、団体(今日の36団体を指す)からの要望を受け、また現在県下の市・町が2分の1を拠出している状況から、要望額である7454円引き上げて4万1500円の満額を障害福祉課として予算要求していきたい。②障害基礎年金2級に該当する中度障害者について、同じく団体の要望である33004円、障害年金の2分の1額を予算要求していきたい。など」と回答したのです。
これは満額回答であり、この日の交渉の目標が達せられたのですが、しかし、予算措置がされたわけではなく、昨年も、80%ではありましたが障害福祉課は予算要求し、結局2級相当についてはゼロ回答になってしまったなどのこの4年の経緯もあり、李相泰さんは「率直に喜べない」と言われています。
「撤廃させる会」の代表、佐藤耕壽さんから、この問題を取り組み始めてから20年を経た思いを込めた話しがされました。「この4年、兵庫県は私たちを『嬉しがらせて、泣かせてくれた』。1989年12月、学校の進路説明会で、パネラーになった卒業生から、『同級生の仲間がもらっている障害年金を韓国人だから出せないと言われた。先生から差別してはいけないと言われたが、これは差別と違うんですか』と。そんなことはないはずだと区役所や市役所を調べて回って事実と分かった。年金法は、その成立時そもそもで国籍を理由に在日外国人を排除した。1982年の難民法を受け入れた時にこの差別は無くされるべきだったのに、82年1月1日に20歳を過ぎていたら対象から外すとして分断された。などなど」経緯を語りながら、佐藤さんは、無年金状態に置かれている人たちの想い、気持ちを受けとめるべきだと語られ、「もう20年、この辺でケリをつけてほしい」と訴えられたのです。
あと、何人かの方から兵庫県に対し、予算措置を取れるよう全力で頑張るよう、それぞれの立場から要望が行われました。
兵庫県との話し合いが終わってから、簡単な総括と打ち合わせが行われ、「予算措置が行われるまで気を緩めず、できることをしていこう」と話し合って別れました。
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