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2010年11月 3日 (水)

日本の航空政策

Gdp  みなさんは、「45・47年体制」という言葉をご存知ですか? 私もそんな言葉があること自体知りませんでしたが、航空業界では周知の言葉のようです。『航空グローバル化と空港ビジネス -LCC時代の政策と戦略-』(同文館出版(株)、2010年7月出版。右のグラフも同書から転載)に書かれていて知りました。

 アメリカの占領政策によって戦後、あらゆる意味で世界の航空業界から排除されていた日本が、ようやく成長しだした中で、1970年の閣議了解と、1972年の運輸大臣の通達によって、これ以降の日本の航空の発展に大きな影響を与えた「航空憲法」とも呼ばれたものだそうです。

 その具体的内容は、「国際線は日本航空のみ1社とし、その日本航空は国内線では幹線のみ就航させる。次に全日空は国内幹線およびローカル線と近距離国際チャーターを行うこととし、・・・(以下略・同書より引用)」という極めて保護主義的性格の強いものでした。そのことが、今日に至るまで「各県1空港」といった「空港整備勘定」を前提とした巨大な利権が発生する航空政策の温床ともなったのです。

 この「航空憲法」「45・47年体制」が成立した時代はまた、いわゆる「新全国総合開発計画(新全総、1969年閣議決定)」あるいは田中角栄の「日本列島改造」の嵐が吹き荒れ、道路、橋、空港、港湾など公共工事の乱立による土地バブル景気への巨大な流れが生まれた時でもありました。

 成田空港建設への動きと関西空港建設への動きは、正にこうした時代の航空政策の象徴的な巨大な利権を持ったプランとして生み出されたのです。

 しかし、世界の航空業界は1980年代から新自由主義の嵐の中で、再編の大きな波を受け、1990年代初頭のLCC(格安航空)の誕生をも水路としつつ激変が繰り広げられたのです。

 ところが、保護主義への見直しの声が上がっていたというものの、巨大な利権に呪縛されていた日本の航空政策は身動きならない状況が続いていました。

 私たちの近くでもいまだにその問題が垣間見えます。和歌山では2つの航空業界をめぐる動きが、元運輸相の二階俊博氏の周りで起こっていることはあまりにも有名です。1つは、1968年、1200メートルの滑走路をもって誕生した南紀白浜空港が、ジェット化を口実に1996年、1800メートルに拡張。さらにわずか4年後の2000年には、2000メートルに再延長。この空港は二階氏の選挙区にあり、この時間をおかず行われた拡張、再延長を違法献金で問題となった準大手ゼネコン「西松建設」が半分近い受注をしているというのです(09年3月17日赤旗)。しかも、赤字の国内線を撤退している日本航空だけが、今なお羽田便を飛ばしている赤字路線です。Img_0001

 もう1つは、最近新聞をにぎわせている関西空港のために日本航空の寮・社宅とそれに関連する施設を関西空港から1時間余りもかかる不便な和歌山市の奥の山林を購入して作り、今では使い物にならず閉鎖されたことが、日本航空の経営状況を調べている中で明らかになっています。なんと50億円相当の土地物件が3倍以上の152億円で購入されている上に、仲介料として4億5千万円ものお金が元県議に支払われたことが明らかになっています(2010年10月28日朝日新聞・左写真)。二階氏がかかわったかどうかに関係なく、いずれにしろ航空業界にはいまだにこうしたことがまとわりついている巨大な利権が、こんな小さな地方空港でもあるということです。

 こうした巨大な利権の呪縛で身動きならなかった日本の航空業界は、日本航空の破産という事態に象徴されるように、最初のグラフに見られるように日本のGDPに象徴される高度成長とともに発展し、世界で有数の航空市場となりながら、世界、アジアの航空業界の現状から大きく取り残されてしまったのです。

 こうした自民党政治の破産的事態に恐れおののき、動こうとしたのが「国民投票法」制定によって改憲攻撃を目論んだ安倍政権だったのです。安倍政権は官僚どもとともに、2006年「アジアゲートウェイ構想」をそうした思いから立ち上げたのです。しかし、巨大な利権の呪縛は、自民党を動かすことなく、昨年の政権交代に至りました。

 航空政策を何とかしたいとしていた官僚どもにとっては正に「千載一遇のチャンス」と映ったに違いありません。巨大な利権の呪縛のない前原、岡田などの反動的な若手リーダーの心をつかみ引きずり込んだに違いありません。それ故にわずか半年で出てきたのが、2010年5月17日の国交省の成長戦略会議の報告(答申)なのです。当然にも、「アジア・ゲートウェイ構想」とうり二つのものでしかなかったのです。民主党が政権に着く前の「空港特会」の廃止や「航空政策の見直し」などはどこ吹く風で・・・。

 「成田・羽田の一体運用」、「成田・関空のLCC、貨物によるハブ化」構想は、こうした意味で、民主党政権だからできる「45・46年体制」を根本的にひっくり返し新たな巨大な利権を生み出し、米軍再編に見合った航空政策を展開しようとする極めて反動的なものであり、それゆえの「成田空港完成」攻撃、関西空港の「発展幻想」の攻撃なのです。

 こうした敵の正体を正確に見極め、新たな闘いが求められている三里塚闘争、関空闘争に向け私たち自身が学び、武装することが必要ではないでしょうか。

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