里美さんの裁判を支える会
昨日、11月4日、大阪高裁81号法廷で「里美さん裁判」の控訴審第1回口頭弁論が開かれました。「里美さん裁判」とはいったい何か、「里美さんの裁判を支える会(準備会)」の呼びかけの一部を掲載します。
【事件の経過】
里美さん(兵庫県 現在36歳)は、JR西日本に「障がい者雇用促進」制度で採用された、1年更新の契約社員です。生まれつきの脳性麻痺で、四肢に障がい(重度1級)があります。パソコンが堪能で、男ばかりの現場で、事務仕事をしてきました。
事件がおきたのは、今から約3年前。会社の慰安旅行の帰りに、上司であるAに、強引にホテルに連れ込まれ、カミソリで脅されて性行為を強要されました(里美さんは、障がいゆえに、押し倒されたら自分で起きあがることは困難です)。事件後Aは、さも2人がつき合っていたかのように装うともに、「会社に言ったらお前の契約更新はないぞ」と里美さんを脅しています。Aの行為は、里美さんの障がいと、契約社員という会社での弱い立場を利用した、きわめて悪質なものです。
里美さんは一人で苦しんだ末、事件から半年後に、詳細を会社に告発しますが、会社のセクハラ対策室は、「そんな事実は無かった」と結論をだしました。里美さんは納得できず、一人で弁護士を捜しまわり、ようやく提訴にこぎつけました。
【一審判決の問題点】
ところが、今年6月に出された一審判決は、里美さんが半年間事件を告発できなかったことや、事件後かわされた一見「親しげ」なメールの内容などを理由に、加害者である上司の「合意の上だった」という言い分を認め、里美さん敗訴の判決を下しました。 この判決は、里美さんの障がいや、職場内での上下関係の圧力、性暴力被害女性のおかれた心理状況について考慮せず、加害男性や会社の言い分のみを採用したもので、性暴力、とくに障がいをもつ女性に対する性暴力を野放しにしかねないきわめて危険なものです。里美さんは、ショックでくじけそうになりながらも、「こんな事が許される世の中でいいのか?」という思いで控訴し、とことんたたかうことを決意しました。 (以上)
以上の経過で開かれた控訴審、第1回口頭弁論でしたが、法廷に入ると傍聴席は30人足らず。まったく足りません。挙句の果て、訴えられているJRの関係者が所在無げに立っている。これを入れるために、仕方なく私も法廷外へ。駆けつけた皆さんは50人以上。多くの皆さんが、やむなく法廷の前で待機し、終わって報告会へ。(最初の写真は、報告会が始まる前の様子です。)
報告会には多くの方が残られ、弁護士の皆さんからのこの日の法廷に至る想いと、この日の報告が行われました。当該の里美さんから 「何とか第1関門を突破でき、次の審理につなぐことができた。ありがとう。」 とこの日の法廷で結審を防ぎ、審理に入れたことへの感謝が述べられました。参加された何人かの方から、セクハラ、女性差別、そして「障害者」差別の課題への難しさと怒りが口々に明らかにされました。
障害をもった女性からは、「女性であることからくる差別と、障害を持つことからくる差別に二重に苦しみ、厳しい闘いが強いられている」との涙ながらの発言が。また、何人もの若い女性から、「自分は立ち上がれなかった。里美さんの勇気に励まされた」とのコメントが届けられていることが事務局から報告されました。
事務局からこの日提出された722名の署名を加えて、わずかの期間に2894名の署名が寄せられたことが、裁判長の拙速裁判を防ぎ、当該の思いを聞いてみようという姿勢を生み出せたと報告されました。それが里美さん本人の生活状況への質問やPTSDに陥っておられる里美さんの症状などへの裁判長の問いを生んだ経緯などが明らかにされました。
最後に、里美さん本人から裁判を起こすに至る想いが語られ、「怖かった」し「本当に迷った」が、「生きていくということは諦めないことだと思っている」「女性であることと、障害者であること以前に、私が人間であることを諦めてはならないと決意した」とその想いを語られ、この裁判のもつ意味の大きさを改めて感じました。
詳しくは、「里美さんドットコム」http://satomi-heart.cocolog-nifty.com/blog/をご覧になってください。そして、署名用紙などがhttp://ikari-net.cocolog-nifty.com/blog/files/shomei.pdfに掲載されています。是非署名を集めてください。また、昨日の報告会で、正式に「里美さんの裁判を支える会」が立ち上げられました。会費は年間1000円です。詳しくは、後日「里美さんドットコム」に掲載されます。ご協力ください。
この日の傍聴者の一人に、当「関実ブログ」や加代子さんの「農家便り」にコメントを書き、10・10三里塚に初めて参加されたブログ「ルンペン放浪記」の田中洌さんが、関東から駆けつけてくださっていたのには驚きました。その風采と様子から、ひょっとしたらと思い、声をかけさせていただき、初対面の挨拶ができました。「出会い」というのは素晴らしいですね。
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