10・10三里塚 基調報告 萩原進さん
基調報告 萩原進反対同盟事務局次長
ほんとに雨の中、遠くから結集されてありがとうございます。今日一日ということはないんでね、今日結集されなかった人にも、帰ったら再度働きかけをお願いしたいと思います。
市東さんのところの監視台に上った人はわかると思います。あるいは、今日のデモで現在の状況を見ていただきたいと思います。そうすれば、いかに不様な空港の姿であるかということが一目瞭然であります。40年、50年近くかかっても、ほんとに胸を張って「成田の国際空港だ」というようなことが言いきれないような空港がそこに存在しているわけです。旧態依然と相変わらず農民を虫けらのように扱ったその結果が今の不様な姿を強制しているわけです。
こういう中で羽田ハブ化が叫ばれた時に、文字通り成田がハブから陥落した。では羽田がハブになるのかと言ったら、そうじゃない。もう、日本の航空宇宙産業というのは1世紀ぐらい後れるような状況を我々は強制しているわけですよ。そのような状況の中で、彼らが必死にもがこうと何しようと、もう取り返しがつかないところまで来ているわけです。
つい2、3日前の新聞を見て明らかなように、日航の破産というのがありますけれども、パイロットを3百数十人を首にする、総体として日航には1500人のパイロットがいるわけですけれども、そのうち750人を首にするという。それも、50歳以上、熟練のパイロットですよ。この人たちを首にして、金のためには仕方がないんだ、会社のためにはしょうがないんだという選択をしたわけです。これではもう、会社の体をなさないわけですよ。乗客なんていうのはそこにはない。安全性なんてどうでもいい。こういう事態が、あらゆる会社、地域、行政もそうですけれども、そういう形で起こっているわけです。それが空港の現状であります。
飛行機を運転する人ができない。あるいは会社そのものが赤字経営で、どんどん乗り入れが頭打ちになってくる。そして会社が合併せざるを得ない。倒産もしてしまう。そういう事態が醸し出されているわけですね。
何を言わんとするかというと、空港は国策なんだ、国益なんだということを彼らは我々にずーっと言ってきたわけですよ。そしてそれに反逆するものは国賊だという扱いを受けてきた。その反発としてこの不様な姿が出てるわけですけれども、そういう形で国民をだましてきたわけですね。
しかし今、それがはっきりしてきたわけです。自民党内閣から民主党内閣に代わった。いわゆる「小泉改革」を旗印に、表面上は人気を得ました。そして安倍、福田、麻生と、いわゆる「おぼっちゃん総理大臣」がやった、そのことがね、日本の社会や経済、政治をガタガタにしちゃったわけでしょう。
そしてそれを受け継いだ民主党が、いわゆる戦争と同じで政権を引き継いだ時に、そこに武器や弾薬や食糧を残していくことはありませんよね。自民党は民主党に譲るときにあらゆるものをめちゃくちゃにするわけですよ。それでやってみろと。だけど、民主党は、なんとかたたけば金が出てくるだろう、ほじくれば出てくるだろうと、それを並べれば国民はついてくるだろうという形で始めたけれども、実際やってみたらとんでもない。やはり自民党の政策を継承していかざるを得ない。いやそれではやっていけない。もっと上乗せした反動的な政策を打ち出していかなければならない。そういう形であるのが今の民主党の政策であるし姿である。(左写真は、10・10でデモの先頭の反対同盟)
であるならば、一時は確かに日本の国民は、そういう形で選挙によって政権が変わった、これで世の中よくなるのだろうとそういう淡い期待を持った。しかし、もうどの人もそんなものを持つことはできないでしょう。そういう時代に入ってるんですね。それで、支配者は、生きるためには、自分の延命のためにはなりふり構わぬ姿をさらけ出してくる。それが今日、三里塚においては、20万回の飛行を30万回にするのだと、あるいは滑走路1本に対して3本の誘導路を作ると、また農地法を逆手に取って農地を奪い去ってこようと、このような常識では考えられないやり方をもって攻撃を加える。それが今日、三里塚に加えられている姿であります。
その真っ只中に今日あるということをもう一度自覚して、この第3誘導路建設、市東さんの農地強奪に対して、皆さんの総決起を促したいというふうに思います。
今年前半の闘いは、そういう意味では、我々はこの緒戦で勝利しました。敵を圧倒しました。2月25日の現闘本部裁判においての仮執行宣言を粉砕して、彼らの目論見、計画をズタズタにしたわけですよ。団結街道の廃道化の攻撃に対して、市東さんの実力決起、うちの息子もそれに続いたわけですけれども、反対同盟の必死の形相の闘いがそれを物語っています。そして何よりも、現地に常駐している支援の人たちが、一日30時間も働くような健闘をし、闘いぬいたその結果が今日の勝利の大道を築いているとそういう風に思います。
その闘いを後半、そして来年につないでいくならば、必ず、誘導路建設、市東さんの農地強奪に対する闘いを勝利できる。主導権はどこにあるのかと言ったら、我々の方にあるんだということをはっきりと言うことができるんです。ここに労働者の決起、そして沖縄をはじめとする住民の決起、そして情勢に応じて三里塚はこういう闘いを前進させていきたいと思います。
若干述べましたけれども、今日の情勢については反対同盟の闘争宣言に網羅しております。しかし、こういう中で重ねて言わざるを得ないのが、排外主義の嵐ですね。この大恐慌の中で、なんとしても資本主義の末期症状の中で、それを突破するのは戦争の道しかない、そういう選択をせざるを得ないという事の中で、排外主義、城内平和を作るために、中国敵視をどんどん煽っていく。これはあらゆる既成政党が、ともかくマスコミを含めて、いわゆる文化人も含めてね、今、一度にそれが噴出しているわけですよ。これを我々は木端微塵に粉砕しなければならない。
これは先ほど言いましたけれども、彼らがいうのは、国益なんだ、国策なんだと、あるいは沖縄的に言うならば、基地は抑止力なんだと、そういう形で国民を騙してきたんですね。我々はそれに対して、真っ向から国益とはなんだ、人民のための国益じゃないんだとはっきりと突きつけて、真正面から闘いを挑んでいくしかない。
いわゆる空港と農業とどっちが大切なんだ。農業が大切なんだ。会社が大切なのか、労働者が大切なのかと言ったら、労働者が大切なんだと。そのことをはっきりとぶち込んで、今の彼らの脆弱な論理を叩きのめしていかなければならない。これを我々は、今まで残念ながら尻込みしていたきらいがあるんじゃないか。これを大胆に押し込んで、人民の中に入っていく、そういう気持ちが必要になっていると思います。
安保懇などに示されるように非核3原則の撤廃と武器輸出、そして集団的自衛権の行使だと、こんなの戦争やるために3原則を破るんだと言ってるんですよ。これは、彼らが国益だと言ったて、あんた戦争やりますか、こういう形にしてますよという、これを許せるのかどうか。これに対して真正面からどんどん入っていく、遠慮会釈なく入っていく必要があるんじゃないか。
ゲートウェイ戦略にしたって、とどのつまりは、中国、そして朝鮮、アジアに対する侵略を意味しているわけであって、決してそれが経済戦略だとか人民のためのものであるということはありえないわけですよ。このことをはっきりさせていく。東アジア共同体構想にしたってね、農民に対して、自由貿易交渉をどんどん推し進めていくということだ。つい最近、韓国ではEUとのFTAの締結がなされましたけれども、こういうことを取り上げてマスコミがこぞって日本が貿易交渉が遅れていると、今すぐにもやらなくちゃあだめなんだと今後押ししています。ですから、我々にとっても、もう、待ったなしなんです。このことをはっきりさせて、三里塚闘争の中で押し込んでいく、そういう闘いを展開したいという風に思います。 (つづく)
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