10・10三里塚 労農連帯 小川浩さん(北総の稲作農家)
どうもみなさん。今日の全国集会に結集されたすべてのみなさんに、三里塚闘争を闘う農民より決意の表明をしていきたいと思います。
ただいまの農民アッピールにもありましたように、今、日本の農民と農業はものすごい危機の中にあります。 5年間に75万人が離農したというようなことが、農業政策で発表されましたけれど、この5年間はそれどころではくて、100万、200万単位の農民が離農するんじゃないかと、そういう風に考えています。
なぜなら、今、何を作っても採算に合わないというような中で、滋賀県1県分の荒廃地が、作っていないところができているということが報告されています。そういう中で、今年、民主党はコメに関してモデル事業として「戸別所得補償方式」という形でやってきました。一見これはね、皆さんが見ると、なんか農民は保護されて所得を補償されているんじゃないかという風にとらえがちなんですけれども、実際はまったく逆です。
今年、1反歩(10アール)当たり1万5千円、定額部分で、もちろん減反3割とか4割の減反政策をした人に限りますけれど、その残りの6割とか7割に対して1万5千円を支払という「直接補償方式」という形で今年行われています。しかしながら、その1万5千円以上、今年の米価は下がっています。我々の同志である新潟の魚沼の人は、この5年間でコメが1万円下がったと言っています。とても生産費が出ない。コンバインだって機械代が払えない。というような米価の水準です。
大規模農家と言っても、私どもほんとに大規模小作人です。小作料を払ったら生産費も出ないような、いくら規模を大きくしたってでない。我々の仲間でも、今年、売り上げだけも去年に比べて、500万とか700万とか減っている。そう人も出ています。
この「直接補償方式」ですけれども、これは農家の農民を守るためのものでもなくて、先ほどから出ていますように今の民主党政権が関税を撤廃していく、自由化していく、農業もどんどん自由化していって、農産物も輸入化していくという、そういう政策のために農民をある程度ごまかす、まやかしの政策じゃないかという風に考えています。(左写真は、10年10月13日、朝日新聞より)
そういう意味で、我々は民主党の農政に真っ向から反対して、菅の農政を根底的に批判していくつもりでいます。
ここにいろんなコメだけじゃなくてね、いろんな野菜農家も、果樹も、花もあるんですけれども、今の大不況の中で労働者が低賃金の中で、みんなそういうものが売れなくなってきている。安くなってきている。農業のどの分野においても、ほんとに低価格が定着しているというか、そういうことですべてが採算が合わなくなっているということで、この5年間、かって自民党政権が言っていた40万戸農家にするというのが現実味を帯びてくるような農業の危機的状況が進んでいるということを知ってもらいたいと思います。
菅政権は今年、臨時国会で所信表明演説の中で、FTAやEPAを積極的に締結、推進していくということを表明しましたが、このことは今まで農業に影響のないようなものにしていくと言ってますけれども、そんなことは絶対にありえないと思います。ほんとに自由化交渉、自由化貿易をしていけば、日本の農業そのものが、今でさえやっていけないのに、壊滅的打撃を受けていくことは間違いありません。
それと同時に先ほど「尖閣列島」の問題でも排外主義の大合唱が起こりましたけれども、世界的な食料のひっ迫という中で日本の農業がやっていけなくなる、そういう中で、どうしても「日本人の命を守れ」とか。食料を海外から収奪してくる、そういう中で、先ほどの「尖閣列島」と同じように食糧問題をめぐって安易に排外主義の大合唱が起こるのじゃないか。そうなったときに、我々は、はっきりと日本の食糧問題、あるいは日本の農業問題自体がアジア侵略、戦争と直結した問題であるということが、今回の「尖閣列島」をふくめた問題に認識していく必要があるのじゃないかと思っています。(右上写真は、作業をする市東孝雄さん。08年6月撮影)
これから我々農民が生きていくためには、労働者も生きていけない、農民も生きていけないようなそういう社会とはいったい何なんだということをはっきいりさせて、三里塚農民が44年間闘いぬいてきたこの闘いを、我々がほんとに共に闘っていく、そういう中にしか我々の将来、未来はないんだとをはっきりさせて、市東さんはじめ、市東さんの農地を守り、三里塚闘争の最後の勝利まで、ともに、動労千葉や、全国の闘う仲間とともに我々農民も闘いぬいていくということをはっきりと決意したいと思います。どうもありがとうございました。
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