9・19から10・10へ 沖縄と三里塚を結ぶ
東灘区住民の会のニュース 「おしらせ」第81号が発行されました。その記事を転載します。(最初の写真は、9万人が結集した4・25沖縄県民大会)
民主党の菅と小沢の権力争いにマスコミは注目させようとしていますが、この流れは、いずれが勝ちを収めようと、昨年の8・30で私たちが勝ち取った道筋を何とかご破算にしようとするうごめきに見えるのですがいかがでしょうか。消費税増税、日米合意、この争点が、そのことを物語ってはいないでしょうか。
私たちは、このような姑息な、反動的なうごめきを断じて許さず、沖縄のみなさんと三里塚、岩国をはじめとした反基地・軍事空港反対をたたかうみなさんと一緒に、今こそ、「日米安保体制はいらない」の声を上げなければならないのではないでしょうか。
基地撤去こそ沖縄の民意
8・30の政権交代を受けて、沖縄のみなさんはこの1年全力で闘いぬいてこられました。
昨年11月8日の2万1千人を集めた県民集会。そして今年に入って、1月24日、辺野古新基地建設反対を掲げた稲峰進名護市長の誕生。3月、沖縄県議会の全員一致による「普天間基地の県外移設」決議。4月25日には、仲井真知事をも出席させて9万人の県民集会が、基地撤去を求めたのです。そして、今なお84%にのぼる県民が、普天間基地の県外、国外移設を求めているのです。これ以上に明確な「民意」はあるでしょうか。いかに国であろうと、この「民意」を無視したいかなる決定も許されません。それが民主主義ではないでしょうか。
にもかかわらず、鳩山前首相は、自らの「少なくとも県外」という約束をも反故にし、この「民意」を無視して「辺野古に新基地建設」なる日米合意を5月28日に強行しました。
これに対し、沖縄のみなさんは、この5月28日を、第2の琉球処分といわれる沖縄の米軍支配を前提とした日本が独立した1948年4月28日を第1の「屈辱の日」とするならば「第2の屈辱の日」だと言っておられます。あるいは「第4の琉球処分」と。(右写真は、6月23日、摩文仁で菅首相の沖縄慰霊式典への出席に抗議するみなさん)
私たちは、この沖縄のみなさんの腹の底からの怒りを、私たちヤマトに対する糾弾を、当然のことと受け止めなければならないのではないでしょうか。沖縄の知花昌一さんは、「もう日本の政治にも、運動にも一喜一憂しない」「期待しない」と言い切られました(8・6平和の夕べ)。
そもそも、日米合意を進めようとする鳩山や菅の「抑止力」というのはまったくのデタラメです。彼らはその根拠として「中国の脅威」「北朝鮮の脅威」と口にしますが、そんな言葉を「抑止力」論議を支持する財界人も、アメリカの政財界も本気では信じていません。何よりも、中国経済の前進、繁栄抜きに日本もアメリカも経済的にも政治的にももたないことは、衆目の一致するところです。また、北朝鮮の貧弱な軍事力で日米の巨大な軍事力に対抗するなどあり得ようもないことは、今や世界の常識です。ただただアメリカの巨大な産軍複合の政治・経済とそれに群がる日本財界が、「抑止力」論議を必要としているだけです。「核なき世界」を標榜したはずのオバマ政権の今年度の核予算が、ブッシュ時代を超えて最大規模となていることが、そのことを何よりも物語っています。
今こそ、このでたらめ極まる「抑止力」論議を可能とする日米安保体制そのものをなくしてしまうことが本当に求められています。
沖縄の「民意」を守り、基地撤去の道筋を求めて現在、名護市議選(9月12日投票)、そして県知事選(11月28日投票)に向けて、ヤマトの政財界あげての妨害(巨大な金の流れ)に抗して闘いぬいておられる沖縄のみなさんと、私たちヤマトの民衆がどうやればともに歩み、ともに平和を守ることができるかなのです。
三里塚農民への襲撃を許すな
他方、成田空港がある三里塚では、6月28日、夜陰に乗じて団結街道の閉鎖が強行され(下写真)、7月26日には、反対同盟も支援も裁判にでかけ現地がもぬけの殻となったのを狙って市東さんの農地をフェンスで囲い込む襲撃が行われました。 いずれも、機動隊に守られた民間企業・成田空港会社(NAA)による暴挙です。その理由は、農民・市東孝雄さんの営農と生活が成田空港の拡張、「ハブ化」を阻んでいるから叩き出そうというのです。こんな人権侵害が許されるでしょうか。
日本の航空政策は、世界の航空自由化の流れに乗り遅れ、韓国の仁川(インチョン)空港に象徴されるアジアのハブ空港化の流れに取り残されています。それは日本航空の破たんとなって表面化しました。これは、アメリカの巨大な産軍複合の力に依拠し、日米安保体制の傘のもとに生き残ろうとしてきた根幹が揺るがされていることを示しています。
農地強奪に反対し、軍事空港化に反対して44年間闘いぬかれてきた「反戦の砦」といわれる三里塚闘争こそは、民衆の側から、日米安保のもとでのこの日本の政治にこのことを強制してきた闘いなのです。
そうであるだけに、国も、空港会社も、成田空港が44年もたってなお完成しない、市東さんの営農と生活によって阻まれ続けていることに我慢がならないのです。それが、先に述べた許しがたい人権侵害の根拠です。
これは日米合意による沖縄への新基地押し付けと全く同じ問題です。実は、つい先日、中国電力による原子力発電所の建設に反対して28年間闘われている山口県上関(祝島)で、夜陰に乗じた工事の強行(9月1日)がありました。また、厚木基地から米軍艦載機部隊の移駐に反対して町ぐるみで闘っている岩国に対して、移駐する米軍のための住宅建設を目指して199億円もの防衛予算が民主党政権によって今年、確保されています。これらはすべて同じ根から出てきているのではないでしょうか。日米安保体制をなくさない限り、このように「民意」は無視され、私たちの生活は、平和は脅かされ続けるのです。これは、沖縄のみなさんの問題ではなく、私たち自身、ヤマトの問題なのです。
9・19関西集会に集まろう
日米安保条約そのものの是非は別にしても、1980年代末の世界の冷戦構造の崩壊、そしてソ連の倒壊は、少なくとも日米安保体制を終わらせるべき責任を私たちヤマトに負わせていたのです。それができず、今、あらためて第4の琉球処分が言われ、三里塚への人権侵害がその故に行われようとしている時、私たちに残された最後のチャンスではないでしょうか。三里塚と沖縄を結び、「日米安保体制はもういらない」という動きを始めるべき時ではないでしょうか。
住民が日に150台もの車の通行で使い、市東さんが毎日の営農のために日に4度も5度も使っている道路を、たとえ成田市が市道であることを廃止しようと、道路であることを廃止することは住民の生活権を保証した道路法によってできません。成田市にその道路を空港会社に売る権利も資格もありません。ましてや、民間企業でしかない空港会社が、違法に取得した道路を閉鎖するなど論外であり、道路法だけでなく、生活権を保障した憲法に違反する行為です。
国や、国に従う民間企業が、こんな乱暴なしたい放題をすることを許していてはなりません。その根拠が日米安保体制なのですから、それも必要もなくなった日米安保体制なのですからやめるべきではないでしょうか。
9月19日、大阪市立中央会館で開かれる「三里塚と沖縄を結ぶ関西集会」で、沖縄・名護のヘリ基地反対協の共同代表である安次富(あしとみ)浩さんのお話しと、三里塚芝山連合空港反対同盟事務局次長の萩原進さんのお話しから、こうしたことを考えてみませんか。ぜひ、お出でください。そして、10・10三里塚現地に行きましょう。
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