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2010年9月11日 (土)

9・10 市東さんの農地法裁判と行政訴訟

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 昨日、9月10日、千葉地裁で市東さんの農地をめぐる農地法裁判(明け渡し訴訟)と行政訴訟が、多見谷裁判長はじめ3人の裁判官がすべて入れ替わって新たになる中で開かれました。すでに当ブログで先日明らかにしていますが( http://kanjitsu-sanrizuka.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-282a.html 参照 )、団結街道閉鎖攻撃をはね返す市東孝雄さんの実力決起を通して、闘いを守るべく前回2月16日に開かれた口頭弁論以来7か月を経た口頭弁論でした。

 現地は大切な産直の出荷日ということもあって、鈴木加代子さんや萩原富雄さん、そしておなじみの現闘の皆さんなど何人かの顔が見えない中で、ほぼ傍聴席をいっぱいにする反対同盟を先頭にした60人のみなさんが駆けつけました。(最初の写真は、法廷後開かれた報告会で話される北原さん(後姿)です。)

 法廷では、まず新たに着任した多見谷裁判長から、提出された書証の確認です。後での報告会で葉山弁護士が指摘しておられましたが、裁判長は、7月27日に開かれた進行協議などを通して、論点などの中身について相当準備してきた様子が伺えました。また、その後繰り広げられた市東さんの陳述、弁護団による弁論の展開などへの傍聴席からの拍手や発言を、一切無視し、弾圧しようと構える廷吏が所在げなくなるほどの姿勢には、相当構えていることが伺えました。

 10910_2 その上で、まず市東さんからの陳述です。市東さんは 「5月に予定されていた裁判が、私に対する不当な勾留で延期になり、今日になってしまったことは誠に遺憾です。こうした事態をもたらした市道廃止と不当逮捕に強く抗議したいと思います。今回の事件とこの農地の取り上げ裁判は、まったく一つのことだと思います。」と切り出され、場当たり的空港建設の非とその破綻を簡潔に明らかにされた上で、農民の権利、耕すものの想いを、「空港が戦争に使われることにも反対する私の気持ちは、沖縄とひとつだ」と明快に話されたのです。(右写真は、法廷後の記者会見で挨拶される市東さん)

 その上で、葉山弁護士を先頭に、一瀬、大口、遠藤、西村、久保田、長谷川、藤田、浅野の9人の弁護士が次々と立って、新しい裁判長にこの裁判の意味を諄々と説き起こしたのです。

 まずは葉山弁護士から暫定滑走路そのものが国際条約に違反した建設であり、その後の運用状態にあることを明らかにし、黒田前社長の建設の経緯についての謝罪という形で、空港会社自身が認識しながらの北延伸の強行とこの過程の団結街道閉鎖、第3誘導路建設への動きへの不当、不法を明らかにされました。そして団結街道閉鎖に対する先日の「通行妨害禁止仮処分申し立て」に続いて第3誘導路建設差し止めの手続きに入る考えであることが明らかにされました。(左写真が、法廷後の葉山弁護士)10910_3

 その後、8人の弁護士の皆さんから、農地法による農地取り上げという憲法違反、根拠とされる農地法5条1項4号規定自体が、国会法と憲法を無視したものだという指摘。また、本来、住民に中立であるべき自治体である千葉県に「公正中立性が認められない」。そもそも暫定滑走路の運用自体が「悪質な地上げ屋的手法だ」と弾劾。そして成田市農業委員会による不当、拙速な審理、手続きによる市東さんに対する耕作権の取り上げ、農地転用の申請に対する「許可相当」「受理」の犯罪性が厳しく指摘されました。それに続く千葉県農業会議による不当極まる、でたらめ極まる許可決定の経緯を示しながら、「まともな手続きのもとに裁判を進めるべきだ」と示唆されました。最後に、「41-9」の農地を市東さんの親子3代にわたって耕したことがないにもかかわらず、明け渡し要求されているという基本的事実関係すら誤ったものでしかない提訴は、即刻の棄却決定が相当だと厳しく指摘したのです。

 多見谷裁判長は、今後という形で、二つの裁判に違いがあることを強調して片づけられるほうから順次終わらせることを示唆しようとしました。これは、明らかに早期結審を姑息に謀ろうとしたこと以外の何物でもありません。本来、反対同盟と弁護団は統一して一つの裁判として進めるべきであることを主張していて、それを拒否する空港会社、千葉県との妥協点として、現在の並行して進めるということができあがっているのです。 まだ最初の旧釈明でさえ終わっていないという中でのこんなうごめきが許されるはずはありません。

 はね返された多見谷裁判長は、空港会社、千葉県側に対して、「航空写真で見る限りかなり前から『41-9』は使われていないことは明らか。明け渡せというなら、明確な理由を示さないと理屈にならない」と、決定的な指摘を行ったのです。10910_4 当然といえば当然なことなのですが、空港会社側は、この最大の争点というべき事実について、意味不明な元地主藤崎某の手書きの図面だけで開き直り、覆い隠そうとしてきただけに事態は深刻なはずです。冒頭の市東さんの陳述が示すように、まさに全力を挙げて大地に踏ん張り、実力決起してこられた市東さんの闘い、そして徹底非妥協を貫いてきた反対同盟の闘いが、この農地強奪を狙う裁判の中で、巨大な地平を切り開いた一瞬でもありました。

 10・10三里塚全国集会の爆発に向け、大きな前進を勝ち取った一日でした。やはり、市東さんへの不当逮捕、長期勾留という攻撃をものともせず、闘争勝利、裁判勝利に向けた反対同盟の執念が、「裁判闘争は現地攻防の一環だ」という闘いが、この前進を保証したのです。私たちも、9・19関西集会を全力で成功させ、10・10三里塚へ決起しよう!

 なお、次回口頭弁論は、11月26日(金)、次々回口頭弁論は、2月22日(火)、いずれも午前10時半から、千葉地裁601号法廷で。

 余談ですが、このいずれも産直の出荷日であり、傍聴席から「農民ことを考えろ」、「曜日を変えろ」と糾弾の声。思わず多見谷裁判長は、「裁判所の都合があり変えられない」と返事。思わず苦笑いしながら「傍聴席と話す理由はないのだが、こちらも聞こうとしているのだ」などとごまかしながら、「衣の下の鎧」をちらつかせ、構えていることを自己暴露していました。

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