三里塚と沖縄を結ぶ⑦ 萩原進さん(その2)
三里塚からの訴え 萩原進さん(その2)
誰も戦争に向かおうとすることに賛成の人はいないんですよ。だけど戦争に向かおうとする支配者に対して、この化けの皮をはがして、たたきつけて、こりゃあダメだという旗振りを我々自身がやっていかなくちゃあならない、今そういう時代にあるわけです。そのために三里塚は今、そのことを猛然と、単に飛行場を作らせないということだけじゃなくって、そのことを全国の人に訴えていく。それが我々の使命だ。しかも、こういう中で労働者の闘い、厳しい中で闘いぬいている、関生の人たちがストで何か月も闘いぬいて、しかも大手とのまっこうからの勝負の中で闘いぬいている。あるいは千葉でも動労千葉が闘いぬいている。こういう労働運動をどんどん作っていく。それと我々ががっちり手をつないで連帯して闘いぬいていくそういう構図をつくらなければならない。
われわれも沖縄問題を対置するのは、大きなカギは本土の闘いによってどうなるかということを示されてるんですよ。問い詰められてるんですよ。それをだれがやるかと言ったら、今、ここに集まっている三里塚勢力じゃないですか。この人たちがやらなくて誰がやるんですか。その人たちがやっぱり大きな輪として闘いぬいていく。そして勝利していく。そういう構図を作っていきたい。
ですから三里塚は今まで勝利の大道を歩いてきました。だけども、敵さんも一度の失敗も許されないところまで来てるんですね。ですから我々もほんとうに丁寧に、丁寧に闘いぬいていこうと思います。今までは向こうがやってきたら、さあ、動員だ、やっていこう、さあ持っていかれた、奪い返した、それの繰り返しじゃなくって、それはそれとしてやりますが、しかしそれだけじゃだめだ。ここが一番弱い環だ、あるいはやっぱり我々が訴えているところはここなんだ、そういうものを重点的に作ってやっていかなければならない。それは今、労働者と農民、労農同盟の構築であり、もう一方沖縄問題なんですよ。ここのところで我々はどう闘いぬいていくのか考えていくべきだと思います。
今日は現地では、障害者の人たちが一堂に集まって、三里塚空港反対の闘いを展開しています(左写真、反対同盟ブログより)。ですからそういう意味では、三里塚は健全者も含めて、労働者、学生、市民、そして障害者の人たち、あるいは差別される人たち、そういう人たちが一堂に会して闘いぬいている大衆の闘いの場なわけですよ。そういう場を有意義に活用しながら、しかもそういう中で力を着けてね、現場で闘いぬいていただきたいというのが、自分たちのほんとの願いなんです。
ですから、もう一度三里塚に、沖縄のような大きな勢力、人民を結集できた時にはじめて三里塚に勝利の展望が切り開かれるという風に思うわけですね。
時間が制約されていますので。 我々は70年代の学生運動も経験し一緒に闘わせてもらった。これは過去のもんだ、もうそれは夢なんだという風に思っちゃった途端にもう運動なんかできませんから。そうじゃなくって、沖縄の人たちはあれだけのものを集めてんですよ。本土でなぜやり切れないかと言ったら、ほんとにそういうものとして真剣に闘いぬく、あるいは考え抜く、そして組織しぬいていく、そうした活動が足りないんですよ。それをこれからやっていこうというのが三里塚の闘いだと思います。
だから関実の位置というのはもっともっと重要になってきます。ほんとにそういう意味では、関西の地において旗振りの位置として関実の闘いを我々は期待しますし、もっとこういうものを全国に作っていきたいという風に思います(右写真は、6・27緊急現地闘争での関実の隊列)。ですから、形を変えた「市東さんを守る会」も沖縄にできました。そして関西でもそういう形でやっていただいております。それをもっともっと広げていく。そういう中に沖縄問題をどんどん取り入れ、労農同盟の問題も取り入れ、そして広範な人たちの闘いの輪を作っていく。そういう闘いを三里塚闘争を、くどいようですが、やっていきたいという風に思います。
知花さんなどとも話ししますけれど、彼のこの間の話しで、やはり政党あるいは本土に幻想を持ったけれども、やっぱり自分たちで闘わなければならないというところに結論を持ってきているというような発言がありますけれども(注2)、やっぱり今の政党について確かにそうです。本土の闘いについても現状はそうですよ。それを本土の人たちがどう理解するかどうかがあるんです。
たとえば移設問題で、「じゃあ、本土に持って行け」と沖縄の人たちが言う。そしたら本土の人たちは、それに対して反論するわけですよ、「そりゃあないだろう」と。しかし、沖縄の人たちの心情から言ったらそれは当然のことなんですよ。 それを理解できなかったら沖縄問題なんてダメなんですよ。「そういうことをいう萩原はダメなんだ」と決めつけて「沖縄問題は違うんだ」と言うけれども、沖縄の人たちは、安保問題言わないとしてもですよ、「ここにある基地を撤去してくれ」と、あるいは「アメリカに持って帰ってくれ」と、これこそ安保問題でしょう(左上写真は、キャンプシュワブ前での座り込み。マイクを持っているのが安次富浩さん。中央の黄色い帽子が嘉陽のおじい。10年6月24日)。むしろ「安保を廃棄しろ」ということを意味してるんですよ。これを本土の人たちは理解して、一緒に闘おうじゃないかと。これは理論とかなんとかじゃないですよ。(ここで司会から「時間です」と紙が。)
差別されている人たちの問題もそこにはあります。そういう意味で我々は根底的に考えを改めていかなければならない、そういう問題があります。ですから、三里塚というのは、そういう人たちが一堂に会して闘いぬく場であります。それを目前に迫った10月の集会の時には今まで以上の集まりを持って敵さんにぶつけて、第3誘導路の問題について我々の回答をしたい。ほんとにね、1本の滑走路に3本の誘導路なんて考えられないですよ。そして1年前に作った誘導路をもう使いもしないで、第3誘導路を作るんだと。
国会で「金がない、金がない」と言っといて、三里塚で湯水のごとく使っても誰も言わないなんてね、こんな理不尽なことないですよ。今度、第3の誘導路作るだけで200億円使うんですから。前の誘導路に使った200億。合わせてほんの2、3年の間に500億円近くもつぎ込んでいるんですよ。そのために今度は警察の宿舎を作るんだとか、そんなことをやって、あんな塀を作って、やらなくちゃあならん。 塀で囲んで我々を追い出そうと言いますけれど、ああいう塀を作らなければ空港を守れないんだ、塀を作って空港を維持し、守らざるを得ないというところに、我々が追い込んでるんだと、そこには勝利の展望があるんだ。先ほどのスライドにありましたが、中に組合道路があり、中に墓地があり、神社があり、民家があるわけですよ。
こういう中で、先ほど島村さんの上空40メートルがありましたけれど(左下写真)、暫定滑走路はこの一年間、急に、4千メートル滑走路を離陸専用に、2500メートル(暫定)滑走路を着陸専用にした。自分の畑がそのすぐ脇にありますけれども、2分おきに飛行機が脇を通るんですね。 東京の山手線のガードと同じなんですよ。飛行機が。その下で農作業をしている人というのは、実際を言えばこれは耐えられないんですよ。次々に来るんですから。この間の台風の時の飛行機の状態と言ったら、こういう風に揺れて(両手を広げてバタバタとする仕草をされる)降りてるんですからね。降りられずもう一度上がっていくというような状況。その下で仕事をやっていて怖くてしょうがないわけです。
空港会社の騒音調査というのは、我々のところは除外して、ほかのところは規定以上の騒音はないと決めつけてますけれども、騒音とかうるささとかいう以上に、今飛行機に突っ込まれるかどうかの中にいるわけですからね。
そういう中で、市東さんのように「もう金じゃないんだ。ここで農業をやって、作物を人民のために供給する。このことが自分の使命なんだ」という結論に至っているのが、今の三里塚の農民なんです。ですから、今年の暑さはほんとに参りましたけれども、人間が参る以上に作物のほうが大変なんですよ。産直のほうが問題になります。関西のほうにもお願いしておりますけれども、ますますこれから力をお借りする形になりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
何よりも後半の闘い。一つは裁判闘争があります。先ほど話しにあったように、市東さんが迂回道路を定められたところを使わず近道をしていますけれども、それを封鎖するようなことがあれば、また我々は流血を辞さず闘いぬきます。そういう中で、我々が闘いぬいて火花を上げて、全国住民に訴えて「三里塚の農民ここにあり」「三里塚の闘いここにあり」、そしてこの中に沖縄と連帯して闘うんだと旗を掲げて闘いますので、ぜひ、10月10日には、少なくとも一人、二人仲間を連れて現地に駆けつけていただきたい、そして一緒にその姿を見て、職場なり、学園なり、地域なりに帰って、その輪を広げていただきたいということをお願いして、時間になりましたので終わりにいたします。
(注2)知花昌一さんが、8・6ヒロシマでの「平和の夕べ」で、「我々は、もう本土の政治、本土の運動に一喜一憂しない。期待しない。自分たちで闘う」と言われたことを指す。
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