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2010年6月18日 (金)

市東孝雄さんのたたかい

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 6月12日、三里塚では産直交流会が開かれ、70人以上の消費者の家族が、ジャガイモ掘り大会など(上写真)を楽しみました。その交流会で、市東孝雄さん(右写真)は、4日前の8日に23日間の勾留という不当な弾圧をはね返して帰ってきたことについて語られました。「道路の管理者である成田市が看板を立てたのだったら怒らなかったかも知れませんが、空港会社にどんな権利があって立てるのだと怒りが爆発した」と。10612_2

 また逮捕された直後、接見に訪れた弁護士に、市東さんは私たちへのメッセージを託されました。「自分は元気です。頑張りますから、皆さんも頑張ってください。これで俺たちは本気だということを、空港会社に知らしめることができた」と。

 そして市東さんが奪還される前の日の6月7日、反対同盟による怒りの記者会見で、萩原進さんは、「起訴するならしてみろ。そのことで起こる事態の恐ろしさを検察、権力、空港会社は思い知るだろう」と怒りも露わに語られました。そして翌8日、市東さんが奪還された勝利を祝う場で、同じく萩原さん(左写真)は、「こんな出来過ぎた脚本はない」と笑みを浮かべながら、「2・25天神峰本部裁判の緒戦で勝利したこの一年の前半の中で、沖縄に決起したことの大きさが今回の市東さんの闘いを生んだ」「市東さんは、3月の集会で提起したように『まなじりを決し、火の玉となって』100人の機動隊を独りで相手にし闘ったのだ」と、市東さんの闘いを語られたのです。1068

 私自身、市東さん逮捕の一報を聞いた時、「やられた」というイメージが強く、必死の思いで先ず5月19日から3日間、現地に入りました。そして改めて6月3日から10日間援農や団結街道の監視台での監視行動を含めて現地に滞在させていただきました。この20日間余りの中で、事態は全く違うことがひしひしと伝わってきました。

 そもそも第3誘導路とはなんですか。監視台にまる一日上がったのを始め、4度監視行動を行いました。3月28日から暫定滑走路が着陸専用となっているとは聞いていました。着陸機だけを見ると、それまでの3倍近い着陸が行われているのです。北風の時のうるさいこと、うるさいこと。これでは東峰の島村さんたちや、菱田の鈴木さんのところは大変だなと思いました。しかも、驚いたことにジャンボ機が、何不自由なくどんどん着陸しているではありませんか。旧の誘導路(第1と便宜上します)がS字に曲がっている上に狭いのでジャンボ機が使えないから第2誘導路、そして第3誘導路をと言っていたのではないのか! 10610 なら、第3誘導路は必要ないではないか!(右写真は、南から着陸して市東さんの畑の監視台の前を行くジャンボ機。10.6.11)

 市東さんの家の西側100メートルを通る第3誘導路の建設は、すでに第1誘導路の使用で耐えがたい爆音と悪臭で苦しめられている市東さんの日常が、もっとひどいことになることは明らかです。

 そしてこの第3誘導路の建設を理由に強行されようとしている団結街道閉鎖のデタラメさ、違法行為という問題です。成田空港では、無理な建設を強行したことから10ヶ所を超える各所で、生活道路が誘導路や滑走路と交差し、やむなく地下道化されています。第3誘導路計画でも県道は地下道化されることになっています。しかし、団結街道は閉鎖されるのです。一体なぜでしょうか。市東さんの営農を破壊するためです。毎日、4か所の畑を何度も行き来する市東さんにとって、団結街道の閉鎖は致命的な影響を受けることは明らかです。つまり、第3誘導路による生活破壊と道路閉鎖による営農破壊によって、市東さんを叩き出したい。ここにその狙いがあるのです。1069

 理由は簡単です。左の写真は9日に監視台から撮ったものです。クリックすれば少し大きく見れますが、誘導路を行くジャンボに続いて、現闘本部の左側に信号で停止している航空機が4機も連なっているのが判るでしょうか。完全な渋滞です。第1誘導路による問題以上に、この誘導路の「へ」の字問題が解消しない限り、この空港で30万回の使用など夢のまた夢なのです。「へ」の字がある限り、この点からも第3誘導路では、何も問題の解決にもならないのです。ただただこの「へ」の字問題を解決したい、そのためには市東さんを叩き出すしかない。それゆえの、団結街道閉鎖であり、第3誘導路なのです。こんなことが許せるでしょうか。

 3月16日、成田市議会は不当にも団結街道が「市道」であることを廃止しました。しかし、市東さんが毎日何度も使うだけでなく、東峰、天神峰の住民を始めクロネコなど商業車を含め日に150台もの車が通行する生活道路です。道路法によってそのような道路を閉鎖するには、近在者を始め関係者の同意書を添えた手続きが必要とされています。つまり、成田市議会の決議によって成田市の管理権が放棄されただけで、もともと赤道として住民によって90年以上前につくられたこの道路を、まるで私有財産のように処分することなど出来ません。この6月14日に、成田市が750万円で空港会社に売却したと報道されていますが、たとえそうであっても道路を閉鎖する権限は成田市にも、空港会社にもないのです。1068_2

 たかが民間会社でしかない空港会社に封鎖を指示する看板を道路に掲示する資格も権限もありません。そればかりか、明らかな道路交通法違反です。すざまじい怒りの形相で市東さん(右写真は奪還された日の市東さん)が看板をぶち壊したそうですが、違法なものを関係者がぶち壊したとして何が罪でしょうか。事実、警察、検察は勾留し続けながら、市東さんに対して「黙秘は農民のすることじゃない」「黙秘するなら起訴する」と取り調べの中で脅し続けていたのです。これは憲法で保障された供述拒否権の否定であり、多くの冤罪を引き起こしてきた違法な取り調べです。断じて許されません。Photo

 国、空港会社が、追い詰められ、違法の上に違法を重ねて機動隊暴力を前面に出して団結街道の閉鎖、第3誘導路建設に突き進んでくるならば、孝雄さんのお父さん、故・市東東市さんが常々言っておられた「人民の抵抗権」を私たちは行使するだけです。実力闘争の爆発を最も恐れ、姑息な手段を彼らが行使しようと、正に大地に根を張った反対同盟を先頭に、実力闘争を爆発させ、闘い阻止します。阻止できます。

 すでに反対同盟は、全国に「6・27全国結集闘争」(6月27日正午 東峰・反対同盟員所有地 左図)を呼びかけておられます。

 「まなじりを決して、火の玉となって闘う」と言われる反対同盟の皆さんの、市東さんの決意を私たち自身のものとして、6・27三里塚現地へ!

 市東さんの農地を守ろう! 団結街道の閉鎖を絶対に許すな! 第3誘導路建設を阻止しよう!

 

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コメント

国家の謝罪は、嘘だった。国家が反省しているとは、思えません

投稿: 友愛主義者 | 2010年7月 3日 (土) 17時44分

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