ついに破綻をはじめた神戸空港
もはや、廃港しか道はない
06年2月開港した神戸空港は、07年度に06年度の旅客数を9%伸ばしたものの、08年度は、スカイマーク社の羽田便が4月便からの2便の撤退、同じくスカイマーク社のパイロットが2人退社したことによって6~8月期の羽田便のほとんどが欠航する事態になりました。そして秋からの金融恐慌。これで前年を13%も割り込み、利用客は258万人と当初見込みよりも100万人近くも減少。
所が、今年度に入って4月以降、今日まで毎月、前年の月を割り込み続け、このままでは、旅客数は230万人さえおぼつかないという状況にあります(右表参照)。
このため各航空会社が開港以来、撤退、減便、しかも機種の小型化を進めました。その結果、空港会計の最大の収入源であるはずの飛行場収入(着陸料)が減り続けています(左下のグラフ参照。朝日新聞より)。来年度は、飛行場収入の当初予算16億円を半分以下の7億円に下方修正したものの、その確保さえ難しい状況で、昨年までに蓄えられた黒字から3億円以上を投入しますが、来年度は、その黒字を使い果たしても赤字に転落する恐れが出てきたという状態にあります。
日本航空の全面撤退
そこへ、経営破たんした日本航空がその再建策の最初の方策の柱として神戸空港からの全面撤退を発表しました(11月5日)。70%の搭乗率があるにも関わらず、日航がその再建案として、最初に神戸空港から撤退となぜ決めたのでしょうか。その理由は、日航が格安航空券の旅行会社に売り付けて搭乗率を維持していたからです。地方と結ぶといわれながら、開港3年で結局、那覇、羽田、札幌の基幹航空路だけの空港になっています。それならば、20キロ圏内にある大阪空港、関西空港にすでに航路があります。おまけに羽田便は新幹線と競合しています。結果、神戸空港はスカイマークだけでなく、ディスカウント空港だったのです。神戸空港に資本参加し、役員を送り込んでいる全日空は、そのことを明らかにすることもできず、今年、羽田便を1便減便しました。増便する見込みなどあろうはずがありません。
日本航空の全面撤退は、神戸空港の経営をどうしようもない所に追い込んでいます。
最近になって、「関西に3空港は多すぎる」と、当たり前のように各自治体や、財界、そして「専門家」が口をそろえて言い始めています。そんなことは、私たち市民が、開港前に、いや計画そのものに対して指摘していたのです。しかも、この連中は、わずか3年前には、「関西の復権には3空港が必要だ」と宣伝し、開港を強行したのです。本当に許せません。
もう、神戸空港には、廃港しか道はありません。
借金をどうするのだ
神戸空港には、もう一つ大きな問題があります。建設のために行った2千億円の借金です。
空港島の83ヘクタールの土地を売って返済すると言われてきましたが、売れたのは3ヘクタール、45億円にすぎません。手前のポートアイランド二期工区でさえ売れない中、傾きかけた空港のそばなど誰が買うでしょうか。
今年から返済が始まり、神戸市は、「新都市整備事業会計」が保有する現金から借りて、今年の300億円の返済を行いました。来年度は、同じく300億円はこの会計の保有現金から返済しますが、約400億円を20年の市債を新たに発行して借り換えることを明らかにしました(10月28日)。少なくとも8億円程度の金利が毎年発生します。マスコミの「どうするの?」という問いに、神戸市は、「資金繰りの問題だ」と平然としていたと伝えられています。「資金繰り」とはお金が回ってこその言葉ではありませんか。
立て替えた「新都市整備事業会計」は、約2千億円の現金を保有していますが、神戸空港だけでなく、ポートアイランド二期の借り換え分や新産業複合団地が売れないことなどで、約4千億円の借金を抱えて、いずれも返済が迫っています。何が「資金繰り」でしょうか。
「土地ころがし」という言葉があります。神戸市が進めてきた「土地ころがし」による都市経営が完全に破たんし始めたことが、この神戸空港の借金問題で表面化したのです。
私たちは、この破綻によって市民生活に犠牲を転嫁させてはならないと考えています。
既に始まっている様々な福祉の切り捨て、弱者切り捨て、格差と貧困の強制。このことがますます激しく私たちに襲いかかるということではないのでしょうか。どうしてこんなことが許せるでしょうか。神戸空港の廃港に向け共に闘いましょう。
(東灘区住民の会・松原)
関実「実行委員会ニュース」第128号より。なお、神戸空港の中止を求める市民の会は、来年2月14日、神戸空港の廃港を求める集会(会場・神戸市勤労会館)とデモを行うことを決定し、準備を始めました。ともに闘いましょう。
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