11月9日 市東さんの「耕作権裁判」
11月9日、千葉地裁で市東さんの農地をめぐる「耕作権裁判」の口頭弁論が開かれました。左写真(「反対する会」ビラより転載)のA、Bが「行政訴訟」「農地法裁判」で争われている部分で、それ以外(左端とA、Bの間の部分)は、市東さんが不法耕作をしているので土地を明け渡せと空港会社NAAが訴えた裁判が「耕作権裁判」。このNAAの主張は、正に「クロをシロ」と言いなす盗人猛々しいもので断じて許されない。法廷後に開かれた記者会見、報告会での葉山弁護士の報告と解説と、大口弁護士の報告をご紹介します。
この日の裁判の報告の後、11月4日に行われた天神峰現闘本部裁判における不当きわまる仲戸川裁判官の罷免を求めたことと、12日に迫った「最終弁論」攻撃に対する説明などが行われました。
葉山弁護士
とりあえず私の方から簡単に報告します。
今日の裁判闘争、傍聴闘争で闘っていただきまして、法廷を圧倒したということだと思います。こういう傍聴闘争がないと、いくら本人、弁護人が頑張ってもうまくいかないので、そういう意味で非常に大きな闘いになってると思います。
今日の関係については準備書面の12、これは遠藤弁護士が中心にがんばってやってくれて詳しいことはあとでありますが、農地法6条違反、不在地主は農地を持ってはならない。不在地主と言うのは、成田市に住所を持たない者。空港公団は、1999年以前は東京にあったわけで、明らかな不在地主。農地法6条違反だ。例外的な7条にもあたらない、いうことについて主張しているわけです。
それから準備書面13、これは一瀬弁護士が準備してくれたものですが、これは青柳土地家屋調査士の鑑定書が乙38号証という形で出ていまして、その鑑定書に従って、NAA側の測量がいかにデタラメかということについて暴露して、特に40番という土地について(右図参照、上写真の左端部分)、「旗竿の形」の地形なんか全くの大嘘だということを徹底的に暴露した鑑定書が出てるんですが、それを準備書面の形にしたということです。
NAA側は、藤崎(旧地主)が作成したと称する書面を出してきてるんですが、これがまたデタラメなものでありまして、ほそ長い市東さんの所を横切らないといけないから取り替えたと言ってるんですが、その図面に取り換えるべきところの部分が「石橋A」と書いてある。もう一つの方は「石橋B」と書いてある。つまり、「石橋A」を「石橋B」と取り換えるといったってね、同じ人間が同じところを取り換えるといったて矛盾もいいところ。なぜこんな変な図面を出してきたのかわけが分かんない。NAAの側は、これはそうじゃないんだ、いずれかの段階でこれは入れ替わって、「石橋A」と書いてあるところは市東さんが耕作していたんだ、それを昭和46年以降に取り換えたんだということを言ってるんだけれども、そんなことは図面のどこにも書いていない。ひたすら「石橋A」と「石橋B」があって、「石橋A」と「石橋B」を取り換えると言ってるんですが、同じ人間を取り換えたってどうにもなんない。矛盾そのものが図面の中に出てきちゃってる。
それから細長い畑の所を渡んなきゃいけないと言ってるんだけれども、取り換える段階ではすでに、市東さんは当然にこの白い細長い畑と四角ばった長方形の畑の間を作っているわけですから、もし横断するというなら、その細長い畑以外にもうひとつ市東さんの畑を横断しなければならないわけで、そこんところは何も書いていない。ということで、原告側(NAA)は、この図面について不自然なところは何もないと言ってるんですが、とんでもない不自然なことを言っているということです。それを釈明したということで、書面であとで出してくれと言うのでこれは出しますけれども、言ってることがだんだんと矛盾に満ちたことを言い出した。
しかも、藤崎については証人に出すと非常にボロが出るということで、認証を出す予定もありません、陳述書もありません、それでこのまま逃げ切ろうということなんで、こういうふうな不真面目なことをやってるんだったら徹底的に弾劾しなくちゃならん。矛盾はますます露呈してきたという風に思います。私からは以上です。
大口弁護士
この件では今、不在地主のことが問題になってるんですけれども、最近、小林多喜二の「蟹工船」ということが話題になっていますが、彼の小説は「蟹工船」だけじゃなくって北海道での不在地主制度の行政、それに対する激烈な小作争議を扱った「不在地主」という小説もございます。
やはり戦前、天皇家をはじめとして実際に耕さないで大土地を所有する、こういう制度が蔓延したために、農村が疲弊し、それがまた日本全体の非常な右傾化の根拠になって行く。こういう経過があったわけですよね。そういう歴史に踏まえて戦後制定の農地法というものが、不在地主の禁止ということを強く打ち出してきたわけでありまして、それが現在の農地法改悪の中で非常にいい加減にされてきているという現在の危機的な問題があると思います。
本件でも、別の裁判で、「移転が予定されていたから、云々」と言ってますけれども、それも20年以上ということで、かつ現在も黙っているわけです。こういう積極的なやり方が、単に事務的なあれが遅れたとか、そういうことではなくて、この「国策」を標榜しているこの空港を彼らが強行するために現地の農家をだましていくというそういう積極的なやり口、道具としてこういう農地法の簒奪ということがあったのであり、また空港は現在、農地法を改悪し、そういう戦後の改革をないがしろにしていくというこの大きな動きの中にこの問題があり、また我々が争っているんだという歴史的な意味も、しっかりと我々は生みだしていかなければならないという風に思います。
いま現在、今回の選挙でも自民党が大敗し、農協も自民党と手を切るという激烈な流動状況が生じているわけですけれども、このような流動状況において何が核になって行くのかいうことが非常に大切だと思うんですね。そういう点で、「耕すものに権利あり」いう大原則をわれわれが高く掲げてですね、この裁判を闘い、また権力、資本による農地強奪を絶対に許さないということで闘い抜いていく意義は現状況で非常に大きない意味を持っていると思います。
そういう裁判であるということを肝に銘じて、弁護団でも頑張っていきたいとそういう風に考えています。
【管理人より】 なお、11月5日に掲載した「11月9日裁判 市東さんの農地を守ろう!」の中で、この日の裁判を「行政訴訟」「農地法裁判」としたのは間違いだったことを訂正しお詫びします。論じられている内容は、そのままでいいと思いますが。
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