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2009年11月 6日 (金)

始まった神戸空港の破綻

09116  昨日、経営再建中の日本航空が神戸空港に就航している全路線から撤退することを正式に発表した(左記事)。矢田神戸市長は、「搭乗率は70%を超えており、受け入れがたい」と反発しているという。

 開港前から言われてきたが、すでに大阪空港と関西空港という国の基幹空港が30キロ圏内にあり、しかも、新幹線が整備されている中で神戸空港は必要なのかと。大方の予想通り、神戸空港の軸になるスカイマーク社と新幹線の値下げ競争が繰り広げられた。それは、昨年、大阪空港の羽田便と新大阪発の新幹線のダンピング競争まで引き起こした上に、大阪空港の前年割れをも生んだ。

 その中で、日本航空は、格安航空券を発売する各旅行会社に廉売することで搭乗率を確保したにすぎない。それは、70%以上あろうとも、まったく採算がとれない結果を引き起こし、日本航空再建案の最初に全面撤退が公表されるという結果を生んだだけだ。そもそも、7便が当初就航したスカイマーク社も、80%以上の搭乗率を確保しながら、経営改善のために2便を羽田‐旭川便に振り替えざるをえず、現在スカイマーク社の神戸‐羽田便は5往復に減っているのだ。

 もともと神戸空港の需要予測は、開港前の論議で明確に指摘されていたように、今日の経済危機はともかくとして、すでに低成長に入っていた当時でさえ、高すぎるGNP(経済成長)を前提とした予測であることが批判されてきた。しかも、需要の50%近くが、大阪府北部(つまり大阪空港周辺)に見込まれていたという、デタラメなものであることが批判されていた。神戸市当局はいまだに市議会の答弁で、このことをあげて「営業的努力不足」「汗をかかなければ」などと言って恥じない始末なのだ。

 予想されたとおり利用客は開港景気の2年目以降減り続けている。昨年度は、2年目を13%も割り込んで258万人。今年度は、その昨年を毎月下回り、さらに10数%落ち込むことは確実となっている。091021_2 来年度に神戸市が予測していた利用客の6割にしかならない。利用する航空機も29往復なければならないところが、各社の減便、撤退で22往復にしかならない。しかも、利用客の減少と航空会社自体の経営危機から航空機の小型化もあり、当然にも空港の営業収入の柱である着陸料収入は、右図(09年10月21日付、朝日新聞より)に示されるように激減している。今年度の予算の段階で、発生する赤字の予測に対し、3億1600万円のそれまでのもうけを吐き出して、かろうじて帳面を合わせているのがやっとだ。そこへ、この着陸料収入の4割を占める日本航空の全面撤退である。

 そもそも今年度の管理収支(予算)でも、収入18億円のうち、着陸料が7億円であるのに対し、国の地方交付税と兵庫県からの補助金が6億円もあるという、普通の会社ではとても考えられない内容で、それでも、3億円以上の赤字なのだ。この10月22日、関西経済同友会の山中代表幹事は「関西に3つの空港は必要ない」「神戸空港は廃止」と記者会見で言ったという(各紙報道)。06年開港前に、国交省、各自治体、財界が「3空港棲み分け」を大宣伝したことがなかったかのような、この厚かましい主張に苛立ちさえ覚えるが、しかし、当然の結論だろう。

 091029 そこへ神戸市は、10月28日に、2000億円にのぼる建設のために作った借金の返済を先送りすると発表した(左記事)。空港島の埋め立て80数ヘクタールを売却して返済するとしてきたものである。すでに完売されていなければならない今に至るも、3ヘクタール45億円しか売れていない。これで、空港の経営が危うくなるなかで、誰がそのそばを買うというのか。そもそも、手前のもっと利便性の高いポートアイランド2期部分でさえ、大半が売れ残り、返済が700億円も繰り延べされ、新たな返済が神戸空港のこの返済と重なって深刻な事態となっているのではないか。

 新たな市債の発行による返済の繰り延べは、売れる展望もない中、「新たな金利の発生」による負債の増大という事態を招く(それも市債が売れての話しだが・・・)。これに対し、神戸市当局は、なんと「資金繰りの問題だ」と平然とうそぶいたという。これほど市民を愚弄する態度があろうかと、激し怒りを禁じえない。そんな言葉が成り立つのは「売れる展望」があればこそであろうが!

 神戸空港の建設の財源は新都市整備事業会計という特別企業会計で、そこには現在預金などを含め1927億円がある。それを使って一部は返していくと言っている。所が、この新都市整備事業会計は、先に述べたポーアイ2期事業や、新産業都市事業などで、借金総額3703億円もあるのだ。結局、神戸空港の分がまるまる不足している勘定なのだ。

 私たちは、建設が開始される前から、低成長期に入った経済状況の中で、しかもポーアイ2期事業が行き詰っている中で、神戸空港の埋め立て地は売れるはずがないと指摘し反対してきた。1998年、住民投票を求める署名が猛暑の中、わずか1ヶ月で35万人(法定投票31万余、有権者の30%)が集められ、市民の反対の意志が強く示されたのも、このことへの不安が最も大きかったのだ。そしてその不安が現実のものとなったのだ。

 建設当時、当該部局のみなと総局長として先頭で、市民の声を無視し建設を強引に進めた矢田市長よ。需要や環境破壊、財源、様々な指摘されていた問題が何一つ明らかにされないまま2006年開港を強行した最高責任者としての矢田市長よ。将来の神戸市の市民、子供たちや、孫たちにこの巨大な負の遺産を残してはならない。また、市民への犠牲の転嫁は絶対に認められない。自らの資産をはじめ、この事業に加担した企業などの総力をあげて矢田市長が、新たな任期のこの4年の間に全てを清算し、神戸空港を廃港にすることを強く求める。

 そして「死の海」に瀕した大阪湾は、神戸の一部の人間の儲けのためのものではない。将来に「ちぬの海」と言われてきた海を取り返していくことこそ、この半世紀で破壊してきたことによるその恩恵を享受してきた者たちの責任である。矢田市長よ、人生をかけ、神戸空港の埋め立てによって「青潮」を発生し、「死の海」に瀕している大阪湾奥部を回復させることを断固として要求する。そのために神戸空港島を直ちに撤去せよ!

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コメント

はじめまして。
この記事について、興味深く読ませていただきました。

一つ気になったのですが、この記事中では神戸空港を建設する目的のうち、非常に大きいものを見落としています。
それは「伊丹の代替」です。

伊丹はかつて、騒音問題で大きく揺れました。
その解決策の一つとして、神戸空港が考えられていた、と言う見方を落としています。

現在の伊丹空港周辺住民の多くは、伊丹空港容認の立場に立っています。
しかし、神戸空港の計画当時、彼らは伊丹空港廃止を声高に叫んでいました。
泉州沖に予定されていた関西国際空港は京阪神地区から非常に遠く、その点でも、伊丹と代替し得る空港候補地は神戸しかなかったともいえます。

そのような時代背景を無視した議論は、片手落ちと言わざるを得ないのではないでしょうか?

投稿: 当初の目的 | 2009年11月 6日 (金) 21時19分

伊丹空港(大阪空港)の代替え空港論は、関西空港の建設前の「騒音問題解決のため海を埋め立てる」という論議(当初は大阪空港撤去まで言ったのだ)。これ自体は、いつの間にか消されて関空が大阪空港と併存する(つまり運輸省は騒音問題を大阪空港騒音公害裁判に「勝った」ことで無視した)ことを前提に1994年に開港した。神戸空港案が浮上するのは1990年(この年市議会で正式に案となる)以前。この当時、神戸空港に否定的だった運輸省(当時)に持ち込むために神戸市が、論拠としたのが「3空港棲み分け」、「関西の大都市圏に3空港は必要」だったのであり、「伊丹空港代替えとしての神戸空港」など言えば(騒音問題を触れたくもない)運輸省に反発されることが明確だっただけに言う筈もない。(よしんば一部の人に言っていた方があったとしても、表面化はするはずもなかったし、問題にもされなかっただろう。)
なお、付け足すと、現在も国交省は、関空の強化のために大阪空港の大型便などを関空に移す、あるいは大阪空港の便数制限の理由に「騒音対策」を使うという周辺住民を愚弄したインチキを行っている。

投稿: 管理人 | 2009年11月 7日 (土) 06時26分

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