農民階層の存在とたたかい
(先日の「市東さんの農地取り上げに反対する会」主催の「講演&パネルディスカッション」の中での萩原進さんの発言から)
今の憲法よりも、教育(基本法)、労働(三法)、農地法というのは先に出来てんですね。その中で、教育、労働は別にしても、農地法というのは上から作られたものじゃあなくって、農民階層そのものが騒動を起こすことによって闘いとって作り上げたものなんですね。後は、憲法を作るにあたって、教育や労働、もろもろの法律などが作られるわけだけれども、それよりも前に農地法をつくらざるを得なかったということがあるわけです。 それが今日、この1、2年、教育、労働の改悪、そして農地法の改悪がなされてきたわけです。
小川さんの話にあったけれども、農地の問題というのは、ブルジュア社会、現在の資本主義社会の中で、戦争というのは、宗教戦争とかいろいろあるけれども、煎じつめれば領土の問題ですよね。土地をめぐる問題からでているんですよ。そういうのが基調にあって今日まで来てるんだけれども、先ほど自分はわかりにくい形で「農業問題は(資本主義では)そういう意味では解決できないんだよ」と言いましたけれども、日本の農業だけに限って言えば、第二次世界大戦において敗戦して、6割近い農家が立ちあがって小作争議を起こし、農地解放にまで行きついて、ある意味での革命前夜というようなかたちで、農地法が出来ていって、自作農が作り出されるという歴史がそこにあったわけですよ。
ある意味では、革命を起し得なかった、支配階級を倒せなかった、資本主義社会を倒せなかった。それで、資本主義社会の方へ移行して行って、労働者階級が主人公として登場してきた。それが今日の世の中なんです。
だけども、そういう意味で三里塚の闘いというのは、それじゃあ労働者が作った闘いなのか、労働者が主人公の闘いなのか。そういう風に言ってる、主張する部分がありますけれども、決定的に間違えている。
資本主義社会の中といえども、やはり農民階層というものがこういう形で、歴史的にあって、農民階層そのものが闘い抜いて、しかも労働者と同盟軍として闘い抜いていくんだというそういう一方の柱を築いているんですね。
ここにおいては、単に封建社会の残存物として、今日、資本主義社会の中で農民が存在してるんじゃないんですよ。そのことの誤りというのが、非常にあるんですよ。どこまでも労働者階級が主人公なんだ、農民階層はもう封建社会の解体によって終わったんだという形で、片付けようとしている、また思いこもうとしている部分というのは非常に多いわけです。だけど、違う。
この農民を解体することができなかった、分解することができなかった資本主義社会の中で、ひきずって、ひきずって、引きずり込んで今日まできちゃったわけです。だから、まだ痛み分けとしてそこに存在してるわけですよ。農民階層というのが。そういう意味では、世界の人口の中でも圧倒的に農民階層というのは多いんですよ。
そういう人たちとどうやって行くのかということが問題になってくるのが、先ほど第1次産業こそが必要なんだという話題が出ましたけれども、そうなんですけれども、運動が持つ意味から言えば、そこで労働者がどうなんかという事で言えば、今、資本主義社会が倒されようとしているわけでしょ。そこで労働組合なり、労働者が、資本主義、自分の会社が倒されちゃったら大変なんだと、会社のためにやるんだというところに行くのか、会社がつぶれようと何しようと、自分たちが生きるためにそこで闘わなきゃあしょうがないんだという、非常に選択が迫られているのが今日だと思うんですよ。
だけども、その上でよく考えていただきたいのは、そういう意味で、また保護主義に走る、貿易管理に走るというのが出てきますけれども、トヨタのためには、キャノンのためには農民がつぶれたってしょうがないんだと、そういう風になるのかどうかというのが問題なんですよ。このことを訴えたいんですね。
だから、そこで断絶というのがほしんだと。そういう断絶を作ろうというのが今の支配階級であり、資本家であると。ややもすると会社を活かすためにはというのがそこにつくわけでしょう。そのための見返りとして農産物を輸入するのが日本の農業を潰していく、そういう形になっていくわけで、そういう意味で憲法改正論もそうだけれども、アジア・ゲートウェイ構想、あるいは東アジアの経済構想が、むしろ憲法改正を先取り的にくる。そしてしかも農地法改正そのものが、憲法改正の先取り的にやってくる。そういうものに対する闘いとして市東さんの闘いがあるんだということを示してるんですよ。三里塚が。
だから、労働者階級そのものが、ほんとにそこまで血肉化し、理解して、そして文字通り、農民と一緒にやっていくのか、できるのか、単に残存物として農民はそこに存在してんじゃねえんだということを、三里塚が今、示していると思います。
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