11月9日裁判 市東さんの農地を守ろう!
11月9日午前10時半から、千葉地裁601号法廷で、市東さんの農地(上の写真の南台の畑と自宅前の天神峰の畑)をめぐる行政訴訟(市東さんが訴えた裁判)と農地法裁判(NAAが農地取り上げを謀った裁判)の口頭弁論が開かれます。市東さんの農地を守ることは、今や三里塚闘争の核心中の核心です。しかも、裁判という形で争われる最大の原因は、国とNAAにとって、土地収用法が失効した(1993年)ことによって、半分も完成していない成田空港が完全に展望を失っているということにあります。国家権力の伝家の宝刀「土地収用法」が使えない今、裁判所を使って農地を取り上げようとしているということです。
すでにこの間明らかにしているように、天神峰現闘本部裁判の仲戸川裁判長に体現されているように、裁判所(司法)は、もはや「三権分立」の府などではない。法理からも行き詰った国家権力の意志を実現するための「国策裁判」でしかない。
農地法が今年7月の国会で改悪されました。戦後革命情勢の中で、戦前の澎湃と起こっていた小作争議を引き継ぎ決起した農民大衆の怒りを鎮めるために制定されたのが農地法です。それゆえに、憲法9条、教育基本法、労働3法と並ぶ、戦後民主主義の柱ともいうべき法律です。この間、小泉政権以来、憲法9条改憲攻撃を前提に、これらの法律が次々と解体されてきた最後のものとして、この7月の農地法改悪が自民党政権最後の仕事として強行されたのです。しかも、民主党の同意をも取り付けて。
象徴的事態は、「耕作者に権利あり」と農民、農地の保護を掲げた第1条を削除したことです。しかし、市東さんが耕す、無農薬有機栽培がおこなわれている超1級の農地を奪おうと、農地法裁判が提起されたのはその前年の08年であり、何よりも、「耕作権解除申請」が農地法を理由にNAAによって行われ、成田市農業委員会、千葉県農業会議が十分な審議もおこなわず、堂本千葉県知事によって許可決定までが強行されたのは2006年の7月から9月というわずか3か月の間のことでした。農地法に基づくならば、このような拙速な決定が行われたこと以上に、本来受理されるべきものでなかったことは明らかであり、裁判などあり得なかったはずのものなのです。にもかかわらず、裁判が続けられているということ自体が、裁判所が「国策裁判」を行っているということなのです。
これが萩原進さんが、「三里塚の裁判は、形を変えた代執行だ」といわれる所以です。私たちは、このことへの市東さんをはじめ反対同盟の皆さんの根源的な怒りを、受け止めなければなりません。そして、このことが持つものへの本質的な危機感を受け止めなければなりません。並の裁判闘争ではないのです。現地の農地死守、実力闘争と固く結びついた闘いなのです。(右写真は、先日10月20日開かれた耕作権裁判後の報告会で挨拶される市東孝雄さん)
裁判そのものは、その前提自体がすでに明らかにしたように破綻した、法規をも無視したものであるだけに、法廷内の論理としても裁判所とNAA、千葉県、国を圧倒して進んではいます。しかし「国策裁判」なのです。裁判所を圧倒する傍聴闘争、裁判所包囲闘争が必要とされています。まだまだ不十分です。とりわけ、今回の法廷は、11・12天神峰現闘本部裁判闘争の決戦局面を迎えた闘いと一体のものとしてあります。多くの皆さんの決起を訴えます。
今朝の朝日新聞の朝刊の1面に、「日本@世界」と題する朝日新聞主筆・船橋の論文が掲載されていました。細かくは述べませんが、「日米同盟が盤石であってはじめて」とし、多くの農民が強く反対している「日米自由貿易協定と日中韓自由貿易協定を同時に推進すべき」とし、また沖縄県民のほとんどが反対している「普天間移転」を「現実には『辺野古沖』案と海兵隊のグアム移転案を基地統合再編の第一歩と位置付けたい」と結論付けています。
もちろん朝日新聞が「オピニオンリーダー」と言いながら、新自由主義勢力の闊歩の中で、反動化の道を進んでいたことは承知しています。しかし、この論文は、朝日新聞が公然と日本帝国主義の側にその立ち位置を定めることを宣言しているのです。
その典型的なインチキな論理を一つだけ明らかにしておきます。「普天間移転に関しては、『県外移設』案も『嘉手納統合』案も日本の国内、沖縄県内に強い反対がある以上、難しい」ゆえに「辺野古」だというのです。この二つの案を「も」で並べ、「日本の国内、沖縄県内に強い反対」と並べることに言葉のマジックというかインチキがあります。沖縄のほとんどの人々が「県外移設」を望み、同時に「嘉手納統合」などという本土の民主党だから考えるにすぎない「案」に当然にも強く反対しています。沖縄の人々の願いは「基地撤去」であり「基地統合再編」などでは断じてありません。この意見と「日本の国内」とを乱暴に並べることですり替えているのです。そもそも、日本国内の米軍基地の75%が、面積にして国土の1%しかない沖縄を占拠しているという現実を無視し、「沖縄県内」の前に「日本の国内」を置いて書くという論理の中にある数百年、少なくとも近代国家日本130年に潜む沖縄への差別を開き直った姿勢が、こうした稚拙な文章を生むのではないでしょうか。文章に責任を持ち、事実を正しく伝えなければならない朝日新聞の主筆がかくも幼稚なすり替えを行わざるを得ないところに、自らが果たそうとしている役割の破綻を、反動性を物語っているといえるのではないでしょうか。戦前の報道機関の歴史を長いこと検証してきた朝日新聞が、その上に立ってこうした「立ち位置」を自らのものとして選択したというこの宣言を怒りを込め弾劾します。
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