10・20 三里塚・市東さんの裁判 (1)
10月20日、千葉地裁で市東さんの農地をめぐる「行政訴訟第9回口頭弁論」と「農地法裁判第4回口頭弁論」が開かれた。その内容は、法廷後に開かれた記者会見・報告会での弁護団からの報告で非常によくわかると思いますので、それを今回は紹介します。この日、10・22北延伸部分の供用開始と、前原国交相発言による「羽田ハブ空港化」論議に対する反対同盟による「弾劾声明」が冒頭、発表されました。その内容は、「09.10.20同盟声明.pdf」をダウンロード をクリックしていただければPDFで印刷できます。上の写真は、「弾劾声明」を鈴木謙太郎さんが読んでいるところです。
葉山弁護士
みなさん、どうも。今日の裁判闘争の参加、ありがとうございました。皆さんの参加で、ご覧の通り、法廷は圧倒的な雰囲気で展開できています。10月11日、弁護団も全力で参加し、皆さんも大いに参加して1700名以上ですか、そういう参加の下に大成功したということが、全体の雰囲気を盛り上げているという風に思っています。そういう意味では現地闘争の一環としての裁判闘争という反対同盟の位置づけ、まったく正しいという風に思っています。
今日の裁判、二つありましたが、一つの千葉県知事の許可取り消しの行政訴訟裁判ですが、被告千葉県側では極めて不当なことを言っているわけです。所有権の取得をしたかどうかはどうでもいいと、20条1項について許可の申請が出たか出ないかの問題だけだというんでね、一切の問題を逃げきろうとしているわけです。その結果として、成田市農業委員会でどんな審議があったか、あるいは千葉県農業会議でどんなことをやったのか、そういうことについては、一切、県知事の許可とは関係がない、いうことを言い出したわけですね。
まあ、自己規制という言葉がありますが、千葉県農業会議の審議についても否定してしまった、そんなものは関係ないと、千葉県知事がやったことだと。そういうことでですね。しかし、農業委員会に申請をだして、その申請の中で、すったもんだして、大反対があったなかで、農業委員会としてはようやく付帯意見を付け加えて、千葉県知事に送ったという状況で、農業会議についてもみなさん参加された方があると思いますが、とんでもないでたらめ、まあ、録な時間もない上に、千葉県農地課用地部が一方的にリードして、それで答弁を打ち切るという風なことでありまして、その農地課が許可を出すという、そういう自作自演をやっているというのが実態でありまして、この点について正当だというならもう少しはっきり言えということをやったわけであります。
それから、農地法6条違反、これは、その時に住所がないと取得できないと、小作地を取得できないということに対して、空港公団、そして空港会社は成田市に本店を持ってるからそれでいいんだと言ってる。そんなデタラメが通るわけがない。1996年7月以前は、東京にあった。東京にあった段階で土地を取得している。それを誤魔化して逃げきろうとしている。これはさらにそれを捕まえて追及するということになると思います。
それから、市東さんの許可処分に関わる所の土地について明け渡せというその事件、農地の取得について、それから賃貸人の地位の取得について、当初は一貫して2003年の12月の段階で取得したと言っていたわけです。度重なって「それはおかしいんじゃないか」と言って、ようやく「それは1988年の3月、4月に取得したんだ」と言ったわけですが、いったいこの間の関係はどうなってるのかということについてはっきりしないわけです。
引き続き、藤崎、岩澤という旧地主に地代を受け取らせ、市東さんはせっせとそこに地代を持って行った。「そろそろ名義の書き換えをしなきゃあならんな」と市東さんにそんなことを言いながら地代を受け取っている。そういう状況の中で、公団、空港会社は黙って地主として農地を取得したという違法行為があるわけです。その点に関しても、これから追及するわけですが、求釈明を出しているんで、その釈明を待って、その上で反撃をするという状況にあって、終始、こちらとしては絶対的に正義がありますんで、その正義に基づいて勝利しようという風に思っていますんで、ご協力よろしくお願いします。以上です。
遠藤弁護士
不在地主の問題ですけれども、県のほうは争うと言ってるわけです。じゃあ、どこをどう争うんですかと今日聞いたわけですよ。そしたら、従前反論済みだと。その「従前、反論した」とこを見るとね、「空港会社が、本店が成田市にあるんだ」ということが書いてあるわけですよ。こっちは、そうじゃないんですよ。96年段階で、成田市に本店なんかなかったじゃないかと言ってるわけです。「だから不在地主でしょ」というのに、その点は口を拭って、もそもそと小さい声で「次回反論します」とこういう風に逃げたのが今日の展開であります。
で、一面、非常に尊大な態度を取っているわけですね。例えば、農地法6条の話しなんですけれども、これの規定に反するかどうかなどというのは、農地法20条の解約許可にあたって、考慮される事柄ではない、ようするにどうでもいいんだと言ったわけですよ。いやしくも公共機関の最たるものである千葉県が、許可するにあたって申請した人が中身変えて持ってきても、そんなことどうでもいいじゃないですか、なんたって空港なんですからという、こういう視点に貫かれてる、非常に不遜であり、傲岸であり、かつデタラメである。絶対にこの追及の手を緩めるつもりはありません。
空港廃港まで、弁護団も、同盟と連帯して断固として闘いたいと思います。
大口弁護士
ちょっと今の点に関して補足したいと思います。千葉県が、今日の遠藤代理人の追求に対して何と言ったか。「いずれ移転する予定だったからそれでいいんだ」というような、そういう言い方をしたんですね。しかし、一定の行政処分、あるいはその効果というのはね、その時点、時点で要件が備わっていなければダメなんですよ。そんな「見通しがある」とか、ほかの件では絶対に通用しないですよね。そりゃあ、こういう空港問題については、なあなあでいいんだという、そういう姿勢が出ているんで、これは絶対に許せないということを言っておきたいと思います。
それから、それに関連するんですけれども、後の裁判で、空港会社の方が釈明して、そもそも6条というのは転用目的には関係ないんだと、そういうことまで言い出してるんですよね。そしたら、どこの不動産会社だって、これは開発しますからと言って、どんどんできますよね。そしたら農地法は何のためにあるんかという根底的な問題にもなりかねないわけであって、その根底には、これは空港なんだ、何をやっても許されるんだというね、傲岸、傲慢な態度が歴然としている。こういうものは絶対に粉砕していかなければならないと考えています。
今の点に関してですが、転用目的ならば6条の適用がないというのは、本件を見れば、いかにデタラメかというのはね、わかると思う。15年間にわたって、そして現在まで22年間にわたって、続いているわけだよね。2003年まで、地代をとってたわけだよ。そういうことを、一時的な状態だという風に言わざるを得ない。そんな滅茶苦茶な話はない。やはり、この6条1項という問題点は、向こうの致命的な問題点というか、徹底して追及していきたいという風に思います。
一瀬弁護士
鑑定の意見書は、A事件と言っている不法耕作明け渡しの訴訟の方で、青柳さんに作っていただいて出したんですけれども、今回、こちらの二つの訴訟の方でも出した。まあ、書証の番号が違うので、全部整理し直して出したんで、ちょっと時間がかかったんですが、出した。これは、B、C事件ともに相手方に致命的な打撃を与える筈なんですよ。何と言っても、市東孝雄さんの、あるいは市東東市さんの代からの賃借地についてデタラメであると。それから、40番と41番の形状についてもデタラメであると、そういう相手方の弱点を客観的な証拠でもって暴いたという風なものになってます。そういうことですから、次回は、こちらから準備書面という主張の形で、向こうに認否させるというそういう手続きになるかと思います。
それと、今も話が出ていた農地法の関係のことなんですけれども、「転用なんとか」と言ってることもあるんですが、そもそも、農業委員会なんかでは、そういう転用という可能性について明確に客観的な証拠がないとですね、・・・というようなことは認められないんですね。いったん許可が出ても、時期が来れば、ずっと放りっぱなしにすれば、取り消しにされるようなものなんですよね。それと合わせて6条の適用を免れるなどというでたらめなことも主張し出しているわけですから、このところは、相手方の法的な弱点をね、とことんついていくという風な感じで、今後、裁判は展開していくことになるかと思います。
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コメント
自分の知り合いにも、自治体労働者が又増えた。みんなに訴える。千葉県の自治体労働者、また、全国の自治体労働者は、千葉県の、そして国の農地法を巡る違法行為を居直る態度に職場から抗議の声を挙げよう。職場から、市東さんを守れの声を挙げよう。
投稿: 自治体労働者仲間へ | 2009年10月21日 (水) 08時56分