日航の破綻、関西空港と神戸空港の衝撃
このところ新聞各紙の紙面を日本航空の再建問題が飾っている。左の記事は、今朝の朝日新聞のものだけだが、これだけにぎにぎしい(このうち手前2つが1面記事)。
当然、利用される空港の側にも衝撃が走っている。中でも、記事にもあるように関西空港と神戸空港だ。理由は簡単。いずれも水深16メートル前後の海を埋め立てて造った建設費が巨大すぎて、その借金がすでに重荷となっていた空港だ。
関空の経営責任がない橋下大阪府知事は、「撤退の自由を認める」と気楽だが、神戸空港の矢田神戸市長は、驚天動地、自らの市長選挙を1ヶ月後に控えて声もない。航空機の離発着に伴う飛行場使用料が、収入の最大の源だけに、軸になる日航の撤退が重大な問題となることは言うまでもない。
関西空港のこの間の経営不振は厳しく、国から毎年90億円もの税金投入を受けながら、昨年は900億円を超える大幅の赤字だ。政権交代の直前、国交省は、支援策として税金投入を160億円まで増額することを新年度予算に盛り込もうとしていたのだ。国から、最低13万回の離発着を求められながら、開港して15年、1度も越えていない。最近では12万回さえ無理な状況にある。
そこへ、軸になっている日本航空が、国際線の9路線を撤退するというのだ。 日経新聞によれば、国際線の6割の撤退だという。現在すでに経営危機にある関西空港が、深刻な事態を迎えていると言って過言ではない。極東アジアのハブ空港として躍進する韓国のインチョン(仁川)空港が、4000メートル滑走路3本を持ち、世界に166都市と結ばれているのに対し、関西空港は67都市でしかない。それがさらに減るのだから、格差はさらに広がり、深刻と言うほかはない。
実は、神戸空港はその比ではない深刻さに襲われている。開港わずか4年の現在、旅客数の減少は著しく、最近では神戸市が目標としたものの6割程度にしかならない。便数も、少なくとも29往復なければならないところが、現在22往復しかない。そこへ、日本航空の全面撤退、8往復の減少で、目標の半分にもならないという事態なのだ。神戸市は、今年の飛行場収入を当初予算の16億円から半分以下の7億円に予算修正をしていたが、日本航空が羽田便2往復の年内撤退を明らかにしているので、7億円の確保自体が難しくなっている。まだ昨年の決算が明らかにされていないが、最初の2年で生まれた黒字をつぎ込んで、ようやく黒字になるとは言われている。しかし、今年度は、もう無理だろう。管理収支の支出で最大の市債償還を将来に先送り(今年は11億円、5年後には21億円)しているだけに、逆立ちしても無理な状況が明らかになっている。
その上、空港建設のために行った借金の返済が今年から始まった。空港島の土地を売ることで返済するとしてきたが、2000億円の見込みに対して、現在までで6億円余りしか売れていない。手前にあるポートアイランド2期が売れ残り、それよりも高く(高く売れなければ返せない!)、しかも急激に経営の傾いた空港のそばの土地を誰が買うというのだろうか。「神戸市株式会社」ともてはやされた新都市企業会計は、現在残金が1千数百億円しかないと言われる。ところが空港の借金のほかにポーアイ二期の借り替えによる約700億円など、新都市企業会計の借金は合計4千億円近くあると言われる。今年からの返済を、とりあえず現在保有のお金から返済したとしても、すっからかんになった上に、2千億円以上の借金が残るのだ。残っている土地が売れなければ「神戸市株式会社」の完全な破産だ。しかし、売れる展望などどこをたたいてもない。そこへ、この空港経営自体の大変な危機だ。空港を建設し、空港事業を進めてきた張本人である矢田市長が言葉もないのは当然だろう。
関西空港は連絡道路を閉鎖すれば立ち入れない。無用の長物の4000メートル平行滑走路を1兆円を超える税金を投入し新たに作った理由は、「米軍の変革と再編」に対応した軍事使用しかないと私たちは考える。
他方、神戸市は、現在も日本で唯一の潜水艦の造船所(川崎、三菱)をもち、戦前の軍需景気で発展しただけでなく、戦後、米軍占領下での朝鮮戦争景気によって飛躍的な成長を遂げてきた。福祉を切り捨て、市民に犠牲を転化しつつ破産的だった市の財政を立て直しつつあるとはいえ、そこへ、この神戸空港の破綻と新都市企業会計の破産は、すでに医療産業都市建設をアメリカ最大の軍需産業ベクテル社の指導のもとで行ったように、「米軍の変革と再編」の流れに乗り、神戸港を基地の町として差しだし、その先端にある神戸空港をもそうした流れの中で使うことによって生き延びるしかないところへと行きつくのではないか。
私たちは、こうした関西空港と神戸空港の破綻の先に見える「米軍の変革と再編」を「日米同盟強化」の道で一体化して進めようとする日本帝国主義の政治を断じて認めるわけにはいかない。「関西空港の軍事使用反対」を軸とした新たな関空闘争を作り上げていく中から、「米軍の変革と再編」を阻む闘いを、この関西で生み出していこう。そして、三里塚、沖縄、岩国とともに歩もう!そのためには、9・27三里塚関西集会を成功させ、10・11三里塚全国集会を勝利させることが先ず何よりも大事だ。共に、9・27から10・11へ頑張ろう!
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