第11回海洋環境調査
昨日、8月1日、神戸空港の埋め立てによる大阪湾への海洋環境への影響を調べる第11回海洋環境調査(神戸空港の中止を求める市民の会主催)が行われました(上写真は船上の作業風景。一番手前左の白い帽子が讃岐田訓市民の会代表)。
京都学園大学生の讃岐田先生の教え子たち、また讃岐田先生が関わる琵琶湖市民大学からも多数が参加し、総勢26名。 今までで最多です。しかも専門家が多く、いつもの調査に、新しく2つの調査を加えた。この日は、午前中土砂降りで、雷も、という大荒れの天気予報。しかし、風さえなければ大丈夫と予定通りの出航。案の定、神戸港を出たとたんに第1ポイントの垂水につくまで土砂降り。調査の準備をしていたみなさんはズブ濡れ。海底の溶存酸素などを図るクロロテックの記録計が異常。仕方なく、この日は、打ち出されるデーターを読み上げて、その場でノートに記入という手作業。調査は、右上図にあるように垂水から尼崎の海域で大潮の流れに乗って10箇所の定点で調査をする。
① 透明盤で、透明度を図ります。これが一番わかりやすい(左写真)。
② 先ほどのクロロテックで、海底から海面までの溶存酸素、塩分、水温、濁度などを測定。
③ 採泥器で泥を採取し、その温度とサンプリング。さらに、その中に棲む1ミリ以上の生き物をピンセットですべて拾い出し、ホルマリン漬けにして後で専門家が特定。 これが海底の状態を最も正確に表現する(右写真は、ピンセットで探しているところ。左は小学校4年生)。
④ 1回目で行った採水器(左下写真)で、海底の水の採取。これでチッソ、リンが測定され、淀川等の河川水の影響を見ることができる。
⑤ 新兵器で(名前を聞き忘れた)、海底の泥(ヘドロ)を容器を突き刺して(右下写真)、採取したサンプルを輪切りにして、泥の中に含まれるチッソやリン、そして重金属などを測定して、周囲の沿岸部の歴史と照らし合わせながらヘドロの歴史を探るという調査。 4番地点と6番地点でおこなった。
結果が全部でそろうのは、9月下旬。10月の市民の会の例会で、讃岐田先生から講評していただきます。
とりあえず判っているのは、透明度の変化です。左下に昨年のものを示しています。 最大でも8メートル台でした。また空港の東側(⑤、⑥地点)でも、3メートル台です。ところが今年は、梅雨も明けきらず、どの程度はっきりしたデーターが取れるのかなという私の懸念をよそに驚くほどハッキリとした結果がでていました(これは、口頭で伝えられた海底の溶存酸素でも同じでした)。
右に、今年の透明度のグラフを示しましたが、なんと、空港の西側(①、②、③地点)では、これまでで最高の透明度を示し、②地点では10メートルを超えました。雨が降っていて梅雨も明けきらなかったことが影響したかもしれません。 ところが、空港島を超えて⑤地点に来たとたんに2.1メートル、それ以降、⑥、⑦と下がり続け、ほとんど透明度がないといってもいい状態です。淀川、武庫川など河川の河口が近い⑧、⑨、⑩地点は、雨が多かったことから少し上がりますが、それでも2メートル前後です。
空港島がなかった頃には、明石海峡から流れ出る時計回りに回る大阪湾の外側を回る強い潮の流れがあったことが知られていました。東京湾では1970年代初めから「死の海」の象徴である青潮が発生していましたが、この強い潮の流れで、大阪湾では同じような汚染状況にありながら青潮は発生しませんでした。ところが、空港島ができた2年後の2003年から、大阪湾でも青潮が発生しだしたのです。これは、1994年に旧通産省の中国技術研究所などが発表していた「神戸空港の建設が、大阪湾の潮流に影響がある」という指摘を裏付けています。そして、私たちの11回に及ぶ海洋環境調査も、この指摘が正しかったことを事実でしめしました。
今年の明確に神戸空港を境にした透明度の急激な変化は、潮が空港島でせき止められ、島の東側、大阪湾奥部が全く停滞した海になってしまったことを示し、河川などからの汚染水の流入によって、深刻な汚染状態になってしまっていることを示しています。このことは、海底の溶存酸素、チッソ、リン、あるいは塩分濃度などによってより具体的、科学的に明らかに示されるでしょう。10月の例会が楽しみです(変かな?)。
しかし、新しい調査も加わったため時間が長くなり、船の上だけでも6時間、前後の準備を含めれば8時間、天候の悪い中、参加された皆さん、本当に御苦労さまでした。パイロットのWさんが初めて仕事の都合で参加できず、海図とレーダーを必死に眺めながら、船長さんに調査地点を指示し続けていた私は、作業もしながら、写真を撮りながらで、ほとんど立ったまま。今も、足がパンパンに、腰に痛みが・・・。歳ですねぇ・・。トホホ。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 今週の産直野菜 (5月29日)(2024.05.29)
- 今週の産直野菜 (12月6日)(2023.12.06)
- 今週の産直野菜 (10月25日)(2023.10.25)
- 今週の産直野菜 (10月11日)(2023.10.11)
- 今週の産直野菜 (9月13日)(2023.09.13)
コメント
学生さんや小学4年生、頼もしいです。
一人何役もの管理人さん、ご苦労様でした。
先日、関空の真下の「田尻町沖では魚が豊富、穴子はブランドもの。着離陸の飛行機を下から見られる!」なんてテレビ番組をやってました。見るに耐えない。
投稿: でっかいちゃん | 2009年8月 3日 (月) 10時44分