3・29三里塚全国集会④ 基調報告・萩原進事務局次長(その2)
そういう意味では、市東さんの闘いを、現在のそういう基調と、そこから醸しだされる戦争状況下における普遍的課題として、農民・市東さんの問題として単にあるんじゃなくって、まさしく全人民の課題として存在してるんだということを確認していただきたい。そういう形で、市東さんも2月3日の裁判の弁論で述べておりますけれども、労働者にとっての職場と農民にとっての農地、これが守られないでどうして社会が成り立つのか。農民にとってみれば農地は正しく命です。この農地を取り上げようとするものは、死を意味することなんですよ。こういう市東さんを守り抜く、こういう闘いを第2点としてやり抜きたいと思います。
第3点として、やはり農地法改悪との闘いですね。これは、教育基本法、労働基本法と同じですけれども、憲法を先取り的に改悪していく。今国会で農地法改正案が審議されております。農地を所有から利用促進だと軸足を移していく。我々は耕作するものが権利があるんだと、戦後革命情勢の中で農民の闘いによって確立し、今日まで守り通してきたものを、休耕農地がある、作らない土地がある、それを有効利用するんだという名目のもとに民間会社、企業がそこまで参入して、農地を買い漁って行くというようなやり方を、今日、法改正してやろうとしている。法改正する前に、もうトヨタなんかはそういう形でどんどん農地を転用している。それを法律的に固めていこうと。まさしく日本経団連の御手洗なんかが、日本経済に対する最大の貢献は企業に農地を差し出すことなんだと、真っ向から言っている。こんなことに我々は負けていられない。こんな農地法の改悪などあり得ない。われわれが勝ち取った権利を、この三里塚闘争の中で生かし、勝利し、全農民の力になってそういう闘いを展開していく。そういうのが農地法の闘いなんだ。だから、農地法そのものは、農民自身の決起を促し、全人民にそれを返していく闘いなんだということを第3番目に確認をお願いしたい。
第4番目には、いわゆる軍事空港との闘いです。先ほど述べましたけれども、恐慌は保護主義を生み出していく。これは歴史が物語っています。その先は戦争です。この2,3日にぎわしていますけれども、北朝鮮の衛星ロケットを問題にしながら、PACⅢの配備、実戦的配備を今、行っているわけです。首都防衛という形で、習志野から持って行く。習志野を移す必要ないんだけれども、移すことで実戦的訓練を行う。首都へ持って行く。国民を保護する、守るんだという名目で、そういうやり方をしていく。撃ち落とせということは戦争体制に入るということですよ。PACⅢの配備、全国的配備、これはものすごく重要です。横のつながりを徹底的にわれわれは重視しなければならない。習志野の配備は、成田の空港を見据えた上での防衛の中での配備なんです。これは、朝鮮半島の戦争の時に成田空港は閉鎖されるということは、何度も言われた通りであります。そういう中で要するに有事を想定した日米共同作戦の抜本的見直しも図られてきています。民間機の選定や将兵の搬入、受け入れ態勢、そういうことも含めて昨年度の秋までに「国民保護法」の名の下に、この成田の周辺では調査を終わっているはずなんです。その上での、今日のPACⅢの配備、そして移動訓練。そういう態勢に入ってるわけですね。その喉元を、市東さんは、土地を守るということをもって、労働者の動員を阻止している。戦争体制のために自治体労働者、医療労働者、運輸労働者が、全部そういう中に組み込まれようとしているんですね。しかし、市東さんは、その土地を守る、その土地で闘い抜くことをもって、その喉元を押さえているんです。そこに大きな闘いの勝利性があるんじゃないかと思います。
我々は空港に絶対的に反対なんだ。農地死守、実力闘争、この原則を守りながら、動労千葉を先頭とする闘う労働戦線と連帯をし、闘い抜いていく。一方、 沖縄や関西をはじめとする、反戦・反核・反権力・反差別の広範な市民運動、住民運動との連携も図っていく。そういう中で、市東さんの農地裁判と天神峰現闘本部裁判、一坪裁判を、そういう形での収用攻撃との激しい闘いを、現地闘争の一環として、そして現地闘争をも見据えた上で、現地闘争の準備をし、現地闘争の体制を確立し、そういう闘いとしてやっていく。そういう中で、今ちょっと述べましたけれど、我々は、今までの常識や価値観を投げ捨てて日常を観る必要があるんじゃないか。今かけられている攻撃というのは、ほんとに常識的な攻撃じゃないんですね。先ほどの仲戸川の攻撃も、法政大学の攻撃もそうです。あるいは組対法の攻撃もそうですね。市東さんへの土地取り上げにしても、農地を守るべき法律で、「耕すものに権利あり」というのがその法律の精神なんです、その法律をもって農民から土地を取り上げようとする。こんなやり方を今やろうとしている。国民を守るんだといいながら戦争を遂行する。こういうやり方に対しては、いわゆる非常識なやりかたを彼らはやってきているわけです。だから我々は、今までの価値観の延長線上で物事を考えていたら遅れをとります。そうじゃなくて、既成の枠にとらわれず、人民の中に飛び込んでいく。
今の情勢の中では、われわれを乗り越えるような形で闘いの主人公になろうとする人がたくさんいるんですよ。その人たちを、われわれが旗を振ることで、手を差し伸べることをもって引き上げ、あるいはわれわれ自身が学び、そして共に闘い抜いていく。そういう闘いが求められてるんじゃないか。今だからこそ、闘う主人公になる人たちがどんどん創出していく。そういう闘いをやっていきたい。本日でも、一回り大きくなった三里塚の姿が見られると思います。今日の集会の中で、4点について述べました。そして10月の集会も打ち出しました。10月の集会のときには、この段上に北総の農民だけじゃなくって、全国の農民が我々と一緒に段上に並ぶことをみなさんに約束して基調報告としたいと思います。
(昨日、被災地雇用と生活要求者組合、しごと開発就労者組合、関西合同労組兵庫支部の3者が共催した「団結花見」が開催され、30人を超える参加で、大いに飲み、語りあってきました。同じ日に開かれた三里塚反対同盟の花見を想いながら。)
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