3・15 講演とパネルの集い⑦ 特別報告2 中田潔さん
こんにちは。部落解放同盟全国連合会の中田でございいます。萩原さんが話しされて、それから知花さんが話しされて、なんでやねんということですが、これは恐らく私に発言をしろということは、大変な段階に来ている三里塚の闘い、そしてその闘いをもういっぺん大きな人民の力の中で支えていこうという情勢の中で、あらてめて三里塚をもう一遍大きくしていこうとこういう中で、多分、関実に参画をする団体の中で、「全国連よ、われわれ、こういう思いでいてるんだ。もういっぺん部落解放運動の立場から大きく三里塚を支え共に闘う陣形を広げていこうやないか」こういうために、私に発言をしろということであったんではないかなと思っております。まあ住宅闘争のことについてもいろいろ訴えなければならないことはあるんですが、そうした主催者の意図というか、腹の内を察しまして、先ずあらためて部落解放運動の立場から、三里塚の闘い、反戦平和、軍事空港反対の闘いの一翼をしっかり部落解放運動の中から担っていきたい。そして3・29には、18回大会を前にして全国連的には大変な時期ではあるけれども、しっかりと3・29現地でのたたかいを取り組んでまいりたいという決意を先ず冒頭申し上げておきたいと思います。
三里塚が大変な情勢を迎えているという背景に、今日の経済危機、あるいは その経済危機を突破していくために戦争もやむなし、こういう戦争への道の強まりが三里塚の情勢を規定していると同じように、部落解放運動もまたそうした情勢に規定されて大変な局面を迎えているということがあります。私たちは18回目の大会を4月に開催をするわけでありますが、あらためてこの情勢の中で部落解放運動をどういう風に進めていかなければならないのかということについて私たちは今、真剣な討議、討論を積み重ねているところであります。まあ、部落解放運動をめぐってはですね、様々な攻撃が強まってきています。部落解放同盟本部派の飛鳥会事件をめぐる不祥事から、いわゆる部落解放運動バッシング、あるいは同和バッシングいうようなものと競合されながら、非常に部落 解放運動への無理解や差別的な考え方がどんどんどんどんここ数年間、煽られてきました。こういった中で特に、部落解放運動の中で一番大きい団体は部落解放同盟です。私たちは通称本部派と言っています。この本部派は、この間の不祥事に関わるバッシングの中で、この3月に大会を行いまして、大幅な組織改革、あるいは規約の変更、運動方針の変更、見直しというものをを行いました。私たちは、こうした解同本部派の方針の変更や規約の変更を、大きくは融和運動への屈服、転換、このように批判をしております。数年前から解放同盟本部派の中では、水平運動に敵対をしてきた、あるいは水平社の闘いを妨害をするためにどんどんどんどん時の権力者がテコ入れしてきた融和運動の再評価という風な形を通しながら、今日の部落解放運動の大きな変質、私たちから言えば融和運動への大きな転換の道がさぐられてきました。いよいよ今年は融和運動に屈服する大きな解放同盟本部派の元年、いう風な大会になってしまったんじゃないかな。非常に残念でなりません。こうした既成解放運動の大きな崩れと融和運動への転換は、たしかに解放同盟本部派自身がだらしない、弱すぎる、いい加減だということもあるんですが、まさにこうした戦争をできる国にしたてあげていこうという、そのために労働運動や住民運動や、あるいは私たちのように部落差別とたたかうような運動すら認めない、そういう体制翼賛の国づくりを推進していこうという攻撃にその根本があると私は思います。特に、ここ数年間、こうした部落解放運動の根絶やし的な弾圧、あるいは運動つぶしというものが強められてきました。その結果、解同本部派は体制内の中で認められる運動、あるいは行政に容認される運動、こういう形で大きく融和運動への転換が始まったんではないかなと思っています。まあ、解同がこの間の不祥事の問題を通して、提言委員会というものによって組織の立て直しを図ろうとしております。本来、組織の中で生み出された腐敗や組織矛盾は、組織の中でしっかりと討論し解決されるべきものでなければならないと思います。多くのまじめな部落大衆は、解放同盟本部派の不祥事に対して本当に心を傷めておられたと思います。私たちも心を傷めました。そしてこの中からなんとかほんまもんの部落解放運動をやっぱり立ち直らせていこうという強い想い、力はまだまだ部落大衆の中に残っているはずです。しかし、なぜ第3者委員会なのか。部落民自身の手によって部落解放運動が再生させる事が出来なかったのか。ここに私は大きな落とし穴があるように思っております。国が認め、行政が認め、マスコミが認め、差別者も含めて容認できる部落解放運動でなければ、これから部落解放同盟という名前すら名乗れない、こういうほんとに厳しい時代を迎えているんだな。これが、こうした部落解放運動を取り巻く厳しい環境の、まあ、鏡に写した形が融和運動への転落という風になっているんではないかなと今思っています。
私たちは、こうした部落解放運動をめぐる大変厳しい状況の中で、じゃあ部落解放運動はどうあるべきなのか。
住宅問題について私が与えられた時間は10分ですので、住宅問題についてはあまり触れられることは出来ませんけれども、この4月1日から、政令であらたに同和住宅に対する規制が強められるていくことになります。今まで15万数千円の政令月収があれば同和住宅に入居できた。それが例えば改良住宅で は13万円そこそこの政令月収でなければ入居を認めない。まあ、それぞれの家族世帯構成によって違いますけれども、だいたい政令月収15万ちょいというのは夫婦と子供、1人か2人ぐらいのあわせた家族構成で、年収で約260万円程度というのが政令月収15万の額に大雑把な数字ですがなります。ところが年収にしたら260万の人たちが、もう同和住宅に住めない、改良住宅に住めない、明け渡し義務を課せられてしまうという事態が起こっています。まあ、4月1日から起ころうとしています。ですから当然、これから結婚をして、生まれ育った部落に自分たちは住んで、そこでもう一ぺん全国連の支部に団結して差別をなくすために頑張るんやとか、あるいは年老いた両親が村に住んでて、自分も親の近くで一緒に暮らしながら生きていきたいんやとかいう風に思っても、この規定によって村に住むことすらできないという事態が、4月1日から起こってきます。そういう人たちはいったいどうするのか。高い民間の家賃を払うか、それとも、今は35年まで銀行ローンが可能なようですが、高い金利を払ってですね、銀行資本と大手ゼネコンに一生奉仕させられるという、こういうふうな住宅ローン地獄の中にたたきこまれていく。部落解放運動はこれまで、同じところに生れ、そして同じ差別を受け、そして同じ学校に通い、同じ職場で共に働き、そういう地域的な連帯や、そういう意識が団結をはぐくみ、差別に負けない、差別されたとしても決して泣き寝入りしない団結の力を部落は育くみ続けてきました。その部落の共同体を根底から破壊しようとするのが、この4月1日から始まる新たな規制であります。私たちは、応能応益家賃制度の導入に対してこの10年間、家賃値上げ反対で徹底的に闘ってまいりました。その中で広島の兄弟や山口の兄弟にも明け渡しの決定が下されるというふうな事態の中にあります。私たちは、こうした事態は決して住宅闘争、家賃が高い、低いの問題に関わらず、部落解放運動そのものを否定する攻撃であるというふうに思っています。こうした攻撃に対して、西宮の兄弟を中心にしながら全国連の兵庫の仲間はこの攻撃をいかにしてはね返すのか。もちろん徹底的に実力闘争で闘うということを基本に据えた上で、この部落の苦しみ、家賃の値上げをめぐる、あるいは4月1日以降からの部落解放運動そのものをつぶしてしまう、あるいは部落の共同体をこなごなに解体してしまうような攻撃に対して、必ず全国の部落の兄弟たちは、いや兵庫県下の部落の兄弟たちは必ず怒るはずだ。そして融和運動に屈服した解同はすでに住宅家賃値上げ反対闘争を完全に放棄してしまいました。むしろ行政と一体となってこの間応能応益家賃を推進し、それに闘う人たちを背後から裏切ってくるというような事態がこの10年間続いています。兵庫県下のある部落に、私たちは署名とビラを持って入りました。「ほんまに大変なことになった。役所のやり方はめちゃくちゃや。でもこの村の中にはもうなんの運動もあらへん。もし私でよかったら。私とこが連絡先になってもいいよ。このまま黙ってられへん。」 こういう部落の人たちの立ち上がりが始まっています。
私たちは、あらためて差別に苦しむ、そしてこの不況のもとで生活破壊がどんどんどんどん進行していく部落の現状の中で、解同本部派にとって代わる、こういう思いで「全国連5万人組織建設」を17年間叫び続けてまいりました。今こそ、その情勢が来ているんだというふうに確信しています。その時に、私たちの運動は、これまでの、いろいろセクトと親しくつき合わせていただいたということもありますが、そうした私たちの運動が持っている弱さ、全体、こういうものをこの間見つめなおしてきた経過があります。18回大会では、こうした部落大衆の想いとしっかりと結びついていく。あの全国水平社が、全国6千万の部落の兄弟たちにに大きな影響と立ち上がりを訴えたように、私たちは、18回大会を通して今日の全国水平社のこの再現を何としても18回大会を契機にしながら実現をしてまいりたいというふうに思っております。こういう私たちの部落解放運動の闘いこそが、反対同盟の訴えに応えられる闘いであり、そして関実世話人の皆様方の私に発言をさせた目論見ではないだろうかと思っております。ともに頑張りましょう。
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