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2009年2月 1日 (日)

やんばるの森にヘリパッドはいらない

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 沖縄本島北部の豊かな森に囲まれた「やんばる」(山原)は、ここだけにしかいないヤンバルクイナ、ノグチゲラなどの珍しい生きものが数多く生息しています。その中に小さな部落、高江(人口約150人)があります。辺野古から車で北へさらに1時間あまり行ったところです。その周辺にすでに15か所のヘリパッドがあります。右写真は国頭村との境の近くでとったやんばるの森ですが、「ブロッコリーの森」と呼ばれています。

 ヘリパッドとは、ヘリコプター離着陸帯で、森を切り開き直径75メートルの円形09129_3 で、軍用ヘリの離着陸訓練が行われます。その存在と訓練は、すでにやんばるの森を破壊し高江の住民の生活を爆音と墜落の恐怖で脅かしています。

 ところが日米両政府は「SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意」(1996年)に基づいて、使われていない北部訓練場の北側半分(4千ヘクタール)を返還することを理由に、高江の部落を取り囲むように、最も近いところでは民家の400メートルという近さに6か所のヘリパッドを新たの建設すると発表しました(2006年)。

 しかも、この新しいヘリパッドは、辺野古新基地に配備が予定されているV-22オスプレイ(左写真 Wikipediaより転載)の訓練場と見られています。オスプレイは2005年イラクに実戦配備された垂直離陸が可能な巨大なヘリコプターです。Photo オスプレイは、アメリカでは「未亡人製造機」と呼ばれる危険なもので、2000年時点で製造された15機のうち3機が墜落したという安全性が疑われているものなのです。

 高江の住民の皆さんは06年2月に「ヘリパッド反対」の決議を行い、07年7月工事着工の暴挙に抗議して24時間体制の座り込みにはいりました(最初の写真が、座り込みが続けられているN1ゲート前のテントです)。高江の村には、若い人たちも住み、2割が中学生以下の子供たちで、小さな子どもたちも座り込みに加わっています。パパイアの生産が、農業では中心になっています。Hゲートの近くでは、伺った29日も、パパイアの収穫をしている農家の方を見かけました(右写真)。

 ところが沖縄防衛局は、この住民の生活を犠牲にした座り込みの抗議を「通行妨害」として14名を訴え、テント小屋の撤去を求める仮処分申請を行ったの09129_4 です。最初は8歳の少女まで訴え、大きな批判に慌ててひっこめています。その 第1回審尋が、1月27日、那覇地裁で開かれました。地裁前に辺野古から駆けつけると、すでに まよなかしんやさんの演奏で盛り上がっています。続々と集まった人々は200人。仮処分の撤回を求める緊急集会では、安次嶺共同代表は「私たち住民は何一つまちがったことをしていない。堂々と胸を張って審尋に臨みます」と挨拶されました。緊急に全国から集められた署名はわずか1ヵ月で2万5千筆にのぼり、この日裁判所に開廷前に届けられました。

 沖縄防衛局による仮処分の訴えは、国による生活破壊、人権侵害に対する住民の正当な抗議権の行使を「犯罪」とするもので、到底許せません。高江の問題にとどまるものではありません。しかも、法廷で明らかにされたのですが、「妨害行為の対象者とされた14人の中に、当時はすでに県外に転居していたり、パインを差し入れただけの住民らが含まれている」(沖縄タイムスより)ずさんなもので、指摘され差し09127_2 替えてきたものがまた写真と名前が違うという体たらく。申請に妨害行為の具体的特定がないことを裁判所が指摘せざるを得ず、この日に決定が出るかもしれないと言われた仮処分申請でありながら次回公判が3月23日、次々回が5月11日と、通常の裁判と変わらないテンポで裁判が進められることが、この日勝ち取られたのです。

 高江と並んで金武町ブルービーチでも、オスプレイの使用を想定したヘリパッド建設が目論まれており、辺野古新基地と伊江島飛行場と連動してやんばる全体が米軍の、とりわけオスプレイの戦闘訓練の場となり、その爆音と風害、そして墜落の恐怖は想像を絶するものとなる恐れがあります。こんなことを住民に押し付ける米軍再編、そしてSACO合意を絶対に許してはなりません。09129_5

 沖縄の差別と分断の歴史に加え、こうした沖縄における米軍再編の名の下に進められる事態を、私たちがどうするのかが問われているのではないでしょうか。

 厳しい寒さの関西から、突然沖縄を訪れ、その暖かさに驚きました。右の写真は高江で咲いていた桜です。

 

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